2005/04/23
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テーマ: 本日の1冊(3748)
カテゴリ: 読了本

船戸冒険小説の原点(ブラジル篇)

ブラジル東北部の町エクルウは、アンドラーデ家とビーステルフェルト家に支配されている。
両家はことごとに対立反目し、殺し合いが絶えない。
そんな怨念の町に、<山猫(オセロット)>こと弓削一徳(ゆげいっとく)がふらりと現れた。
山猫の動く所、たちまち血しぶきがあがる。謎の山猫の恐るべき正体はいつ明かされる?

**********************

80年代前半のブラジル、反目しあい100年にわたる抗争を続ける二つの旧家が支配する東北部の小さな町が舞台。
この旧家から出奔した娘の捜索のため、裏社会で名を馳せた謎の日本人“山猫”こと弓削一徳が呼ばれる。
だが彼は単なる請負仕事で終わるつもりはなかった・・・。

内部に対立をはらみながら、急遽編成された探索隊を率いて“山猫”は出発する。イバラの原野とサボテンが密生する砂漠、灼熱の気候、野盗強盗団、元秘密警察出身の”山猫“のライバルの登場。

逃げた娘を連れ、町にもどった“山猫”は反目しあう2つの旧家と漁夫の利を狙う警察・軍隊を煽る。
やがて争いが連鎖的に発生する。全てを見通した“山猫”の哄笑、封鎖された町の中で起こる凄惨な闘い・・・。

前半の過酷な自然の中での追跡行から、後半は小さな町を舞台とした闘争へとストーリーはぐいぐいドライブされていく。
予想がつかない展開、主要人物も容赦なくばたばたと殺されていく。
灼熱の南米を舞台にした船戸与一得意の冒険小説。
執筆が80年代と船戸作品の中でも初期作品にあたるが、扱われているモチーフは以降の作品群と相通じるところがある。
本作はなによりも冒頭から強烈な個性をもってストーリーを引っ張っていく“山猫”のキャラクターがたっている。
船戸冒険小説の文句なしの傑作。







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最終更新日  2005/04/23 02:57:22 PM
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Re:『山猫の夏』・船戸与一さん(04/23)  
123mao  さん
この本は、何年か前に読みました。
「山猫」の存在感と、殺伐とした町の雰囲気が印象的でした。
南米3部作、他のも読みたいのですが、厚いしなかなか手がまわらず。
読み始めると夢中になるんですけどねぇ。
(2005/05/05 10:21:27 PM)

Re[1]:『山猫の夏』・船戸与一さん(04/23)  
☆かよ  さん
123maoさんへ
>南米3部作、他のも読みたいのですが、厚いしなかなか手がまわらず。
読み始めると夢中になるんですけどねぇ。
-----
全く同感です=
厚いしなかなか手がまわりません。
読み始めると嵌りますから夢中になるんですが、最近はかなりセーブしてるんですが、それでも読みたい本が多すぎて。。。
(2005/05/06 01:36:37 PM)

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