峠幾三のちいさな発見・旅模様

< 新しい記事

新着記事一覧(全2457件)

過去の記事 >

2008/09/02

２００８　北海道ツーリング！　計呂地の夜…

(10)

カテゴリ：旅

　なかなか居心地よさそうだ。

　マット、寝袋などを列車内に持ち込んでいつでも寝られるようにしておく。

　大阪のライダー、東京の爺さんは飯の準備をしている。

計呂地JPG

　幾三も材料を買いに向かいの海産物店に入る。

　その中で気になったのは馬鹿でかいシジミだった。

　松江もシジミの産地だが、こんなにでっかいシジミを見るのは初めて。

　思わず１パック購入。値段はかなり安い。

　戻ると大阪のライダーが味噌をくれた。

　ネギも持ってるし、これで材料は揃った。

今夜はシジミ汁とご飯、梅干だ！ （文字をデカくするほど豪華ではないが…）

　安く食材を仕入れて適当に料理して食らう。

　旅の楽しみだ。

　少々塩辛くっても、生焼けでも、米が硬くても気にしない。

旅人同士の会話、星空、夜風、そして酒… 。

　これがあれば最高に美味しい。

米を噛み、汁をすする

　時折、酒をチビッとやる

　至福のひと時だ…

　飯を食いながら３人で話す。

　まずはお決まりの話。

　どこから来たか、何日の予定かなど…。

　大阪ライダーは、生死にかかわる病気でこないだまで入院していたらしい。

　「世話になった人に元気になった証拠を見せたいねん。北海道ツーリングできるぐらい元気になったで！って」と言っていた。

　病気になって頑張っていた店も閉めたそうだ。

　もう１人の爺さんは東京から車で来たという。

　この爺さん、もう７０を過ぎているというのだが、話し出したら止まらなかった。

　若い頃は女がどうのこうの…とか、つい最近までナンパしていた…とか。

　こちらが話に入ろうとすると、それを無視してひたすらしゃべっている。

　ううむ…、つまらん。

　そんな話を聞きながら？俺と大阪ライダーは会話をしていた。

　「俺、ほんまにやばかって、このまま死ぬかもって思とってん。

　回復してからは、もらった命やと思てな。

　こんな爺さんの話でもな、もしかしたら役にたつことがあるかもしれへんから聴いてみよう思うようになってん。

　話聞いて、２割でもちょっとためになる話があったらええかな～って（笑）」

　黙って聞いておくことにした。

　大阪のライダーは、時折爺さんに相槌をうったり、ちょっとちゃかしてみたり。

　俺は黙って爺さんの話を聞いていた。

　しばらくして、大阪のライダーが、

　「おい、２割やぞ、２割！」

　と、爺さんの前で俺に言った。

　爺さんは怒ることなく話し続ける。

　うまいこと爺さんと接してるな～と思った。

　俺はまだまだだな。

　飯タイムも終盤。

　シジミ汁を分けたときに爺さんが言った。

　「僕はシジミの身は食べないんだよ。シジミはダシを味わう。ダシだけでいいんだ」と。

　…

　…

　…

　「 なんやと～！通ぶりやがって。人にもろとんやから黙って食うたらええんちゃうんか！ 」と叫ぶ。

心の中で♪

　やっぱ腹立つ、このジジイ。

　なんとか耐えて、「そうなんですか～」と笑顔で接した…。

　さらに、俺の飯が炊けて「さあ、食べよう」とした時。

　「僕のご飯は美味しいよ。毛布で蒸らしてるから～」と言ってやたらとすすめてくる。

　「自分の分炊いてあるんで大丈夫ですよ～」

　…

　…

　…

　なんとか笑顔を保つことができた。

　しばらくして、俺の平穏を奪った爺さんは列車で寝始めた。

　大阪のライダーと２人で飲みなおす。

　それぞれのことをもう少し深く。

　酒も程よくまわって。