シアトルからこんにちは

シアトルからこんにちは

『神谷美恵子著作集』より



それは
ひとりの人間のもつ可能性を
本人自身よりもよく見てとり、
それを固く信じて疑わず
たとえ外見上
どんなにそれに反するような歩み方をしても
いつかは本来の道にもどるであろうと
望み 信じ 待ちつづけ
また遠くから
「汝の本質にかえれ」
と呼びつづけているもの

愛それを発見したときの
おどろきと衝撃を
何と言いあらわそうか
能力や体力はたとえ奪われても
愛こそは常に注がれ
静かに受けとめさえすれば
それは
自然に外へあふれ出す
「私は器」

神谷美恵子さんの祈り ]
東京女子医科大学卒業を目前にひかえて

ああ神様 …

人知れず愛を行い得るような、いな行うのでなく
ただ存在するだけで周囲に愛と光とを放つような
そんな何気ない素朴な人間たらしめて下さいませ!

彼女が敬愛していた新渡戸稲造は 『 存在は行為に先行する 』 という言葉を説いていましたが、これは彼女の思想の中核をなすものでした。
彼女は長島愛生園でハンセン病の方々との関わり合いを通して、人間は必ずしも行動することにおいて価値があるのではなく、 人生をどのような姿勢で生きているのか、ということ自体が大切な意味を持っている、と確信していたのでした。





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