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おさるの日記
あらすじ
この間、脱獄を繰り返し、そのたびに再逮捕され刑期が加算され、19年に延びていた。
収容されていたツーロンの監獄に火災が生じ、彼は命がけで同囚を助けたことから刑期が「2か月」短縮される。
が、「2年」ではないのかと反抗したため、刑期が「2か月」延長され、結局19年の刑期を務め、1815年に出所する。
ツーロンから北北東に約160キロ、ディーニュの司教館でようやく一泊の恵みを受ける。
その夜、銀の食器類を盗み去るが、翌日逮捕、ミリエル司教の前に連行される。
だが、高徳慈悲あふれる司教は、銀の食器は彼に与えたのだといい、銀の燭台もあげたのになぜ持っていかなかったのかと言う。
銀の食器と燭台を手に、ディーニュを後にしたバルジャンは、道で煙突掃除の少年から40スーを強奪。
と、銀の燭台が目に入り、ここに彼は良心に目覚め、少年を追うがすでにいない。
しかし、以後、真摯に生きるようになる。
バルジャンはマドレーヌと名を変え、カレー海峡(ドーバー海峡)に近い小さな町、モントルイユで事業に成功。
有徳の士として知られるようになり、再三の辞退にもかかわらずついに市長となる。
警察当局はモントルイユのマドレーヌ市長の資金に疑問を抱き、調査のため、ジャベール警視を担当に任命する。
かつてツーロンの監獄の副所長だったジャベール警視は「悪党は罪を重ねるもので、更正などあり得ない」が持論だった。
ある日、馬車の下敷きになった男を怪力で助けたマドレーヌ市長の姿を見、ジャベールはマドレーヌがバルジャンではないか、と考えるようになる。
もし、そうならば、煙突掃除の少年から40スーを奪った容疑で逮捕しなければならない。
ファンティーヌは憧れのパリへ出たものの、男にもてあそばれた果てに未婚の母となり、失意のうちに帰途に向かう。
が、幼い娘コゼットがいては思うように働けないと考え、パリ近郊のモンフェルメイユで宿屋を経営するテナルディエ夫妻に預かってもらうことにする。
故郷モントルイユに戻ったファンティーヌはマドレーヌの紡績工場で働くが、未婚の母であることが監督マダム・ビクチュルニアンに知られ、会社の規則を口実に工場を解雇される。
テナルディエからの度重なる養育費の送金要求に応じられなくなったファンティーヌは、まず髪の毛を売り、ついには夜の街頭に立つ。
ある夜、嬌客が彼女に暴力をはたらくが、逆に訴えられ警察に逮捕される。
ファンティーヌのいきさつを知り責任を感じたマドレーヌは、市長の権限で彼女を釈放させる。
そこへ、バルジャンが逮捕されたという知らせが入る。明日、アラスの裁判所で刑が宣告されるという。
苦悩するバルジャン。
自分のために無実の人間を有罪にするわけにはいかない。
彼は夜通し馬車を駆って80キロ離れたアラスへ向かう。
「自分こそ、ジャン・バルジャンである」と名乗り出るために・・・。
裁判所に自首したのちモントルイユに戻ったバルジャンは、病床のファンティーヌに娘のコゼットを連れてきたと告げる。
そこへ、ジャベールがバルジャン逮捕に現われ、すべて嘘だと言い、ショックでファンティーヌは死んでしまう。
バルジャンはジャベールの追跡を振り切り逃亡する。
バルジャンはモンフェルメイユの森でコゼットと出会い、テナルディエと交渉してコゼットを1500フランで引き取り、立ち去る。
翌朝、テナルディエの宿屋にジャベールが現われ、テナルディエはバルジャンをかくまった罪とコゼットを売ったことで5年間の監獄送りとなる。
パリへ出たバルジャンとコゼットは、街の浮浪少年ガブローシュの手引きで下宿屋「ゴルボー屋敷」に身を隠す。
が、ジャベールの執拗な追跡にあい、ある壁を越える。
そこは女子修道院の庭で、モントルイユ市長時代に世話した庭師フォーシュルバンが働いていた。
マドレーヌに恩義のあるフォーシュルバンは、2人の事情を飲み込み、自分の弟とその娘としてイノサント修道院長に話をつけてくれる。
バルジャンが無給で働く代わりに、コゼットは付属の寄宿舎で教育を受けられることになる。
数年の平穏な生活の後、イノサント修道院長は成長したコゼットに修道女への道を勧めるが、コゼットが嫌ったため、バルジャンとコゼットは再び外の世界へ戻ることとなる。
「ゴルボー屋敷」には若い男爵マリウス・ポンメルシーが入居していた。
そこへ、刑期を終え、すっかり落ちぶれたテナルディエがジョンドレッドと名前を変え一家で越してくる。
マリウスは弁護士志望の学生で、共和派の学生たちがたむろするカフェ・ミューザンの常連だった。
この頃、パリの学生たちは共和派として官憲と対立、まさに一発触発の情勢となっていた。
警察は今や、学生ら思想犯の取り締まりに躍起になっており、ジャベールも学生たちの監視役を命じられていた。
修道院を出た後のバルジャンは、パリで豪邸を借り、幾つかの変名を使いながら慈善家として貧しい人々をひそかに援助していた。
ある日、バルジャンとコゼットが公園を散歩していたとき、偶然マリウスとすれ違う。
これが、コゼットとマリウスの運命の出会いであった。二人は一瞬で恋に落ち、マリウスは学生運動も上の空となる。
ゴルボー屋敷に慈善家ファーブルが娘と訪れる。
ジョンドレッドことテナルディエはこの2人がバルジャンとコゼットであることを見抜き、復讐を企てる。
それを隣室の壁の穴から見聞きしたマリウスは、愛する彼女を救いたいが、さあ、住所も名前も知らないのだ・・・。
ジョンドレッドことテナルディエの襲撃計画を知ったマリウスは、ジャベールに通報する。
ジャベールは一味を現行犯で捕まえるため、マリウスに事が始まったら合図として銃を撃つよう指示、マリウスの合図のもとに、警官隊が突入し悪党一味は逮捕される。
バルジャンはジャベールに気づき、窓から逃亡する。
マリウスは、ジョンドレッドの本名がテナルディエで、ワーテルローの戦いで自分の父を助けた軍曹であることを知り、父の命の恩人を売ってしまったと、自責の念に駆られる。
一方、逮捕されたテナルディエは、あの場にいたファーブルがバルジャンであることをジャベールに告げる。
投獄されたテナルディエらは、娘エポニーヌらの手引きで脱獄に成功。
今度こそ、とバルジャンの屋敷の襲撃を企むが、エポニーヌが阻止する。
マリウスに恋するエポニーヌは、コゼットを失って悲しむであろうマリウスの姿を見たくなかったのだ。
さらには、コゼットの事を何も知らないマリウスに屋敷の場所まで教えてしまうのだった。
バルジャンはジャベールの追跡をかわすため、イギリス移住を決める。
コゼットはそのことを記したマリウス宛の手紙をエポニーヌに託すが、エポニーヌは手紙を渡さないどころかコゼットはすでにイギリスへ渡ったとマリウスに告げる。
絶望したマリウスは再び過激派学生運動の仲間に戻る。
一方、コゼットの部屋でマリウスへの恋文を見つけたバルジャンは、マリウスに会いに、学生蜂起の拠点カフェ・ミューザンへ向かう。
暴動は圧倒的な数的不利で学生たちのバリケードは陥落寸前となっていた。
エポニーヌはマリウスをかばい銃弾を受ける。
死の間際、エポニーヌはワーテルローでの真実と、コゼットがまだパリの屋敷にいることを告げる。
ここでマリウスは、過激派学生から恋に生きる青年に回帰する。
その姿をバルジャンが遠くから見ていた。
一方、警察のスパイとして店の柱にくくりつけられていたジャベールは処刑されることになり、バルジャンがその処刑役をかってでる。
そして、バルジャンはジャベールに銃口をむける。
バルジャンはジャベールを逃がし、さらに、重傷を負ったマリウスを背負いバリケードを脱出。
下水道を通って逃げるが、出口でテナルディエと再会する。
テナルディエはバルジャンがマリウスを殺したものと勘違いし、出口を開けてやるから、その死人の金をよこすよう取引を持ちかける。
そしてマリウスの懐から金とハンカチを盗り、下水道からセーヌ川の支流に出してやる。
そこにはジャベールが待ち構えていた。
バルジャンはマリウスを祖父の屋敷に運ぶまでの猶予を乞い、ジャベールの馬車でマリウスを運ぶ。
さらに、自宅に戻りコゼットに別れを告げたいとジャベールに頼む。
バルジャンはコゼットにマリウスの居場所を告げ表に出ると、ジャベールの馬車はなかった。
悪党は生まれつき悪党であり、罪を重ねていくだけと信じていたジャベールにとって、バルジャンの人柄とその挙動は衝撃だった。
今までの信念が打ち砕かれたジャベールは、自ら死を選ぶ。
バルジャンはマリウスの祖父ジルノルマンに、コゼットの身の上を打ち明ける。コゼットは孤児であり、平民であり、自分は後見人であると。
しかし、持参金がものを言い、コゼットとマリウスは結婚に至る。
また、バルジャンはマリウスに自らの過去をすべて語り、コゼットを愛していることを告げる。
マリウスは不安を感じ、以降、バルジャンを遠ざけ、辛くあたるようになる。
一方、テナルディエはコゼットとマリウスが結婚したことを知り、マリウスにバルジャンの秘密を買うよう屋敷にやってくる。
バルジャンはかつて囚人であり、昨年6月の暴動のときに人を殺して下水道から逃げようとしていた、証拠はこのハンカチだ、とマリウスが持っていたコゼットのハンカチをみせる。
マリウスは自分の命の恩人がバルジャンであることを知り、バルジャンへの仕打ちを悔いる。
マリウスはコゼットと共にバルジャンの屋敷へ急ぐが、バルジャンはすでに死の床にあった。
バルジャンは、しかし、駈けつけたコゼットとマリウス、そしてかつてミリエル司教から貰った銀の燭台の光に見守られながら安らかな最期を迎える。
物語の最後に四行詩が出てくる
『彼は眠る、奇しき運命だったが、
彼は生きた、彼は死んだ、天使を失ったときに。
すべては自然にひとりでに起こった、
昼が去ると 夜が来るように。』
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