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Vol. 16あなたも痛風チェック

あなたも痛風チェック――食べ過ぎず、軽い運動を




 働き盛りの男性に多いのが足や手の指に激痛が走る「痛風」。血液中に尿酸がたまることで起きるが、発作がなくても尿酸値が高い痛風予備軍は成人男性の5人に1人にも上るという。原因となるのが食べ過ぎ飲み過ぎをはじめとする生活の乱れ。あなたも痛風チェックをしてみよう。

 痛風の怖さの第一は、尿酸の結晶が関節にたまることで起こる激痛の発作だ。大抵の人は動けなくなってしまう。通常痛みは1週間程度続き、忘れたころにまた表れる。高い尿酸値を放置すると腎障害のおそれがある。さらに、合併症状として高血圧となる人が約5割、高脂血症の人は6割にもなる。心筋こうそくや脳血管障害なども起こしやすい体質といえる。

 「痛風はホルモンの関係から99%が男性の病気。最近は若年化の傾向も指摘されている。最も多いのは30代後半だが、20代も高い数値が出ている」と話すのは東京女子医大・膠原(こうげん)病リウマチ痛風センターの山中寿・助教授だ。

 「痛風ほど症状の危険度を数値で判断できる病気はない。大前提は自分の尿酸値を知ることから。血液1デシリットルあたりに尿酸が7ミリグラムというのが境界。この数値の超え幅が大きいほど、長い期間数値が高いほど、痛風になりやすい」と山中さん。


(1)食事の総量規制を

 痛風の人には肥満が多い。第一に食事量に気をつけたい。かつては「この食材はだめ」という細かな注意が必要との声もあったが、最も大事なのは食べる合計量だ。

 1日の目標数値は「標準体重×35」キロカロリー。身長172センチの人なら標準体重は六五キロ。1日の摂取カロリーは2275キロカロリー程度にとどめておこう。「よくかんでゆっくり食べること。間食はしない、お酒を飲んだ後のラーメンをやめる、昼食はそばにするなど工夫して」


(2)酒は毎日1単位まで

 「ビールでなければ大丈夫というのは単なる飲んべえの思いこみ」と山中さん。酒ならば何でも、アルコールを分解する段階で尿酸はできる。ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、ウイスキーならダブルを1杯と、1単位でとどめるのが賢明だ。


(3)水分をたっぷりとる

 痛風患者や予備軍には太った人、汗っかきの人が多い。体が脱水気味になると尿酸値は上がる。また痛風の人の5人に1人は尿路結石であるという。1日に2リットルの水かお茶が目安になる。目覚めに1杯の水から習慣づけたい。


(4)軽い運動をのんびり

 息が上がるような強い運動は尿酸値を上げるので逆効果。うっすら汗がにじむ程度のウオーキングや軽めの水泳などがいい。心拍数の目安として20―30代なら1分間に110から120、年齢が高い層は100から110程度の運動を取り入れる。


(5)ストレスを上手に発散

 「ストレスを大食い、酒、スポーツジムでの強い運動などでメリハリよく発散する人は、できるサラリーマン。でもこれは今まで挙げた原則の逆をいく行為。だから有能な人に痛風が多い。精神的ストレスをわざわざ肉体ストレスに転嫁している」と山中さんは指摘する。体をいじめず、ゆったりのんびり。痛風予防や改善のためには、一念発起で何かを始めるより、のんびりマイペースのストレス解消が合言葉になる。

 痛風になった人も「薬を飲めばすぐに治る」と言って、この5原則を忘れがちになる。尿酸を減らすには薬とも5年から10年の付き合いになる。痛みがないときも、この5原則をしっかり守ることが大切だという。


[2002年11月16日/日経プラスワン]



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