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⑬なぜキレる?脳の働きを探る




なぜキレる?脳の働きを探る


日時 : 平成15年2月25日
記者名:増満 浩志

ニュースタイトル:
知を創る   

取材先:京都大学霊長類研究所助教授
中村 克樹  氏

ニュース内容:
若者たちが社会に背を向ける「引きこもり」や「キレる」子ども、凶悪犯罪の低年齢化。
中村は、そんな社会問題に、脳の研究から切り込もうとしている。

「脳の働きをはぐくみ、健康に維持するには、どうしたら良いのだろうか」。

そんな問題意識を常に思い、抱く。

社会、文明、文化の根源には脳の働きがある。
多数の人間が協力して壮大な事業に挑むのも、破壊的な戦争を引き起こすのも、脳がそう働くから。

若者や子どもに起きている異変の背後にある脳の機能はなにか。
中村は、「非言語コミュニケーション」能力に注目している。

言葉ではなく、声の抑揚や身振り、表情などで感情を表現して伝え合う能力で、これが人間が社会生活を営むうえで重要な役割を担う、と推測する。

「例えば、他人に何かされた時に不快な表情をすれば通常、相手はそれを見ただけで『悪いことをしたかな』と感じ、取り繕う。

社会生活の中で、不必要な争いを避け、より良い人間関係を築くのに役立っているはず」。中村はそう語る。

この「非言語コミュニケーション」を担うのは脳のどの部分かを調べるため、男女15人の大学生に協力してもらい実験した。

まず中村が、「声」「表情」「身振り」の三つの手段で、うれしそうな様子や困った様子などを学生に伝える。
この時、脳内で活発に働く部分を、fMRIという脳の画像診断手法で観察した。

その結果、共通して活性化する脳の領域が二か所、浮かび上がった。
右こめかみの奥にある「右下前頭葉皮質」と右耳上部の奥にある「右上側頭溝」だ。

興味深いことに、前者は、言語のコミュニケーションをつかさどる左脳の「ブローカ野」という部分と、ちょうど左右対称の場所。
言語と非言語のコミュニケーションは対になっていた。

医学的にこれを裏付けるデータも見つかった。
脳に損傷を受けて声の抑揚や表情などを失う「プロソディ障害」という症状に関する文献を調べたところ、脳の損傷範囲は、患者ごとに違いがあるものの、右下前頭葉皮質か右上側頭溝のどちらか一方を含んでいた。

「感情の制御が苦手な人は、右下前頭葉皮質の働きが鈍いとの報告もある。
脳の中でも、こうした高度な機能を担う領域を活性化させる方法が見つかれば、教育などに応用できるかもしれない」。

そんな期待を込めて今年、高齢者を対象にした研究にも乗り出す。
高度機能の領域は、生命維持に不可欠な領域より、老化で衰えやすいからで、「楽器の練習」「食事内容の記録」などの作業を約40人にしてもらい、脳のどこが活性化するかを調べる。

研究は緒に就いたばかりだが、「脳研究を通じて社会に貢献したい」と意気込む。

(敬称略)

※以前、『ゲーム脳』のところで出てきた「前頭葉」という脳の一部分が関係していると思われる、今回の中村助教授の話に、私はかなりの興味を感じました。
今後の研究の進み具合がとても楽しみな記事でした・・・。nikoniko



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