ヘイフリックの限界part2

ヘイフリックの限界part2

2005.11.25
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一葉「暁月夜」F大講座I講師メモより

明治26年作品。一葉22歳。当時一葉は、原稿料は薄謝に近く精神的にも

物質的にも行き詰まりを感じていた時期だ。ヒロインの一重は「私し一生ひ

とり住みの願ひあり」なのだが、最後の章で謎解きがされるが、因縁話に過

ぎない。謂わば蛇足である。後年の「たけくらべ」の一葉であれば、この章

は書かれないだろう。「暁月夜」も、相変わらず古典のモチーフが使われて

おり、露伴の「風流仏」や紅葉の「拈華微笑」が引用されている。ふたりが

出会うシーンは、「拈華微笑」と同じ「人力車」だ。そして、ことばを発し

ない間はうまくいったが、ことばをだしたためにうまくいかなくなるとい



だろう。そして、物語の展開は「かぐやひめ」だ。男が女を求める伝統的パ

ターンでもある。古典では、男が女を見ようとすること、訊くことは結婚

を伏線にした行為と看做された。何と素朴なことだろうか。平面的にみれば

敏と一重は、自分のことしか考えないありふれた悲恋だが、実は一重の弟の

甚之助はふたりと違い、他人を思い遣る心を持ち、無私の姿を描いて生き生

きとして「気ばたらき」を見せている。これは、一葉が書きたかったことだ

ろう。この作品は駄作と言われる。然しよく読めば「風になびく富士の煙の

空に消えて 行くへも知らぬ我が思いかな」など、西行への憧憬がある。

そして一葉は、自分はその出家さえできないという絶望感があったのではな

いか。一葉は、既に家長であり「ますらお」であらねばならなかった。一重

の「一生ひとり住み」は、一葉の思いでもあった。「暁月夜」は、古典のス



くらべ」に到る片鱗が見られる興味深い作品でもある。

PS

講義を終えて、近くのタリーズで、ある女性からのお奨めの「ティラミスラ

テ」賞味してきた。ティラミスと生クリームと珈琲とのブレンドが女子大の

帰りには相応しいテーストだろう。それからスタバによったらもう「クリス









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最終更新日  2005.11.25 17:56:45
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