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ヘイフリックの限界part2
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2006.01.25
誰れも憂き世に一人と思ふて下さるな
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カテゴリ未分類
一葉「十三夜」の一場面で、お関が幼馴染の今は落ちぶれて車夫になってい
る録之助に言う。
「・・・阿関はさめざめとして誰れも憂き世に一人と思ふて下さるな。」と。
お関は、親から諭されて離婚を諦めて、鬼の良人の元に帰ろうとして、昔淡
い恋心を抱いていた二人が出逢うシーンの中にある。
父は、「・・・同じく不運に泣くほどならば原田の妻で大泣きに泣け、なあ
関さうでは無いか、・・・」
そして、「・・・阿関はわっと泣いて夫れでは離縁をといふたも我ままで
ほんに私さへ死んだ気にならば三方四方波風たたず、兎もあれ彼の子も両親
の手で育てられまするに、・・・今宵限り関はなくなって魂一つが彼の子の
身を守るのと思ひますれば良人のつらく当る位百年も辛抱できさうな事、よ
く合点が行きました、・・・」
お関は、良人に屈しているのではない。新しい目標をもったのだ。そして生
きる意味を覚った言うべきだろうか。子を守ることは、たとえどれほど理不
尽な世界でもこれほど崇高な使命はないだろう。良人はいつの時代もちゃち
な暴君である。性をただで買っているだけであろう。
かかる文章は、時代背景を見て考えなければならない。勿論有名な作品であ
り、一応予備知識はあるだろうし、一般の方なら理解してくれるだろう。
それでも最近では、大学でも、古文でもないかかる文章さえ正しく解釈でき
知って、今の社会を考えて欲しいことだ。昔と何が違い、何が違わないの
か。テキストはどこにでもあることを。一葉が、私たちに問うていることを
考えなければならない、と思う。
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最終更新日 2006.01.25 16:37:12
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