
ジェイン・オースティンの「高慢と偏見」が、語り口とキャラクタ―とのバランスのとれた代表作。腎臓病のため42歳で亡くなった。(1775~1817)。小説家としていまなお広い支持を受けている。分かりやすく身近なストーリーで、ヒロインの恋愛とハッピーエンド゙で終わる作品が殆んど。通俗的だと見られがちだが、奥の深い作家でもある。イギリス人らしいアイロニ―の利いた文章が特徴だとの講師の話だった。同作品は、「プライドと偏見」(2005)という映画にもなっているが、寧ろ傑作として、BBCドラマ1995年「高慢と偏見」の人気が高いそうだ。この作品は映画になっているものが数多くあり「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001)もこの作品が下敷きになっている。それでも原作の語り口の巧妙さは伝わらない。漱石もオースティンを「写実の泰斗なり。平凡にして活躍せる文字を草して技神に入る」(「文学論」)絶賛した。
・「限嗣相続」という制度が当時のイギリスになったらしい。それだけ女性は抑圧されていた。英語では entail という。当時女性は飾り物という風潮の中で、作品のヒロインである「エリザベス」の当時としては珍しい型破りで、自分の考えを持った自立心の強いキャラクターが読者に注目されたようだ。オースティンの文章を理解するというのは、平易な文章であるが奥が深く難しい。作家の本意を読み取るのは容易ではない。文化の背景を知らなければ作家の深さは分からないと解説された。
・へ2・・・2コマ目は、「アーサー王物語の女性」を19世紀の作家たちがどのように描いているかの講義だった。アルフレッド・テニソン「シャロットの乙女」とレティティア・ランドン「テインタージェルの伝説」における「エレイン」の人物像を、男性作家と女性作家がどのように創作しているかの比較についての話だった。他に、二ミュエ、グイネヴィアの二人の女性が紹介された。いつも講義よりも一杯資料を貰い、図書館で読んでみてくださいと宿題を山のように戴いている。