
前に仕事に出かけて暗くなって家路につく冬場はなおさらだ。それでもリス
の生物時計は繁殖行動や冬眠を日長変化に合わせられる。人間は自分でつくった
光環境に適応できずにいる。私たちは人工の照明で夜を延長して、生物時計
を狂わせているし、現在、私たちが日中に浴びる光の量はリスよりも短い。
ヒトの生活は自然の明暗サイクルからどんどん離れているが、体内の概日ペ
ースメーカーは季節による日長変化を感じ取る能力を失っていないが、人工
の照明環境に対する代償を払わねばならない。
イギリスでは人口の約3%は、SAD(季節性感情障害)という病気に苦しんでいる。
ノールウェー北部トロムセーでは冬季に気分の落ち込みを経験する人は人口の27%
に達するという。SADになると炭水化物を大量に欲するようになり、体重が
5~10キロ増加する。そして春になるとうつが軽快する。光環境が影響し
ているといわれる。