
・太宰は無頼の作家だったが、その中に「清潔さ」を見た勘の鋭い女性のようなひともいたのだろうし、梶井の中にも心の奥に「すこやかさ」をみたのではないだろうか。ひとは一般の評価とは違う「新鮮さ」や「新しさ」を求めているのではないだろうか。それは、閉塞した時代にこそ高まるのではないだろうか。すべては、汚れてしまった世界観や価値観の上に成り立つ社会である。汚染されたものが充満している。環境は破局へ向かいつつあるのではないだろうかという、絶望が感じられもする。
・へ2・・・危機を感じ絶望したグループが暴走する鼠がいるという。闇雲に走り出してしまうのだろう。それに付いて行こうとする鼠たちがいて皆死んでしまうのだ。怖ろしいことだが、人間も同じ動物であることを忘れてはならない。理屈ではない行動をしてしまう人たちがいる。逆上した動物が何をするかは分からない。そのために絶えた種もあるかも知れない。「新鮮さ」の匂いのする者たちが、私たちの中にいるだろうか。それを見分ける力があるだろうか。少なくともそれは二つの目では見えないのだろう。眼の奥にあるもので見なければならないのではないか。