作用は、体内リズムの生物学的な意味を解明することは治療に役立つ。マラ
リアのほかにも、ガンなどのさまざまな病気について、外科療法や薬物療法
の効果を最適化する試みがされ始めている。これをクロノセラピーという。
薬剤等の実験動物としてラットやマウスは夜行性であり、昼行性動物である
ヒトに適用することの問題性もある。薬を最も効果の高い時間に投与するの
は理に適ったことであるが、殆どの薬は、刻一刻と変化している患者の生理
的、生化学的状態とは無関係に処方され、服用されている。薬の処方は、血
中レベルを維持するのが目標でしかない。本当に薬が効くかどうか。
薬の効果が患者にどれだけ影響するのかを医者は、どれだけ責任をもてるの
であろうか。甚だ疑問だ。薬に対してどれだけの知識を持っており、患者の
病態をどれだけ把握しているだろうか。医療メーカーのマウス実験の効能だ
けの知識を鵜呑みにしただけで医療行為をするのであれば、やぶ医者と言わ
れても仕方がないだろうし、現代医療ではないだろう。
人間の生命は、教科書に載っているほど貴重に扱われてはいないし医療もお
ざなりで、医師も必ずしも有能ではない。若い連中は傲慢で生意気だし、そうでない
人たちも卑屈だったり、無神経だったりするが、誰も時間を止められない。
私たちが時間をどう考え、どう感じるか。これはひとつの世界観だ。
自然から急いで立ち退こうとするか。そこへ飛び込もうとするか。