・「意外と厄介」に思い煩わされながら自分のエリアから離れられずにひとは死んで逝くのだろう。西太后も子孫から見れば偉大な人なのだ。一般の話とは随分と違う。当時西欧人とは多くの中国人にとって、「毛唐」どもでしかない。李来中は義和団を前にして檄をとばす。
「・・・長年にわたり西洋の奴らは我らの土地を侵略し、いわれもない理由で無辜の同胞の命を奪ってきた。奴らは宗教を利用して我らを愚弄し脚下に踏みつけて、いばりちらしてきたのだ。・・・朝廷では皇太后陛下が我らを支持され、・・・赤子の如き素直な心で朝廷への帰服を受け入れ、官軍とともに奴らに立ち向かい、我ら血を持って我らの大地を守り抜くのだ!」
・少なくとも八カ国連合軍を前にして、当時の中国は統治能力を失っていた。大清国は崩壊の寸前で権力者が換わるたびに歴史も変えられた。それは史実に基づかない歴史でしかない。それでも語られることばはすべてが間違いではないが、それは一部の話であって総体ではない。ラストエンペラーにも視点があったというだけだろうか。
・へ2・・・当時紫禁城では、皇帝だけでなく、数千人の宦官や妻や女官たちの存在は不気味である。それは歴史的所産であろうが、それを支えた人々のことを忘れてはならない。それが原因であり、その歴史的史実や結果を招いただろう。恐るべき歴史観だ。
「替天行動、扶清滅洋!」
・日本では「尊王攘夷」だろうか。短いフレーズでアイデンティティを得ようとした。いまもその手法は使われているようだ。まあ小説を読むような面白さがあるが、とても史実とは思えない。
西欧に打ち勝つためには、何をどうすべきだろうか?本気で考えていただろうか。ことばと実行が伴ってはいない。形式ばかりにこだわっていられない。
未来へのビジョンのないものは長続きをしないのだ。