<作品> 「三四郎」
・「風馬牛」「自分と無関係なこと」の意味。中国の古典。
・この小説は世間で言われているような青春小説ではない。簡単な小説ではない。
・教養小説…ドイツ。自我の成長のため。「明暗」・・・津田は、30歳でも成長していない。まして三四郎は・・・。成長しない。
・のんきな小説ではない。大学生レベルでは分からない小説。
・広田…怪しい人物。高橋英夫「偉大なる暗闇」。岩元偵。
・「三四郎」広田と野々宮の関係。ホモセクシャル。三四郎は脇役。
・美禰子・・・婚期が遅れて焦っている。野々宮が好きなのに相手にしてくれない。広田はどうでもよい。美禰子の欲求不満が三四郎に向くだけ、それが三四郎には分かっていない。
・漱石は三四郎の人間の側にはいない。味方をしていない。三四郎は田舎者で何も分からない存在。
・「森の女」・・・「偉大なる暗闇」の関係。
・美禰子は、いつまでも野々宮が求婚していてくれない。焦っている存在として書いている。美禰子は見かけの良いものが好きなだけ。容に拘っている。女性はそんなものだ。
・よし子が美禰子のこころを見破っている。よし子は最後のシーンには出てこない。
・ストレイ・シープと「もも」の関係。
・ダビンチの髭・・・両性具有的・・・モナリザ。ホモ・・・ダビンチ。ミケランジェロ。
・プラトン・・・プラトニック・ラブ。・・・「三四郎」との関係。
・教養ある人たち・・・同性愛者。分からないように書いている。広田・・・ちょう。
・謎解き小説になっている。
・卒論で、教授が書いてからのこれまでの付き合い。謎解きのような作品だ。
・「虞美人草」のようではない。はじめから構想を立てていない。意図的に構想を考えないで書いている。自分で動きだす。
・こういう書き方は普通できない。漱石だからできる小説。「夢十夜」を書くような作家だからできること。
・小説のはじめに出てくる「池の女」はよし子だった。美禰子ではない。漱石は、あとで辻褄を合わせている。このとき美禰子とよし子は未分化である。あとでよし子の部屋で分化する。女の謎。
・汽車のはじめの女・・・人妻・浮気の条件。名古屋の宿。女の正体。「度胸のない男」が最後にどうなっているか。
・三四郎は、何で口の中で「ストレイ・シープ」というのか。口外していないのは何故か。公言していないこと。それだけ幼い。大人ではない。客観的ではない。
・誰が「ストレイ・シープ」か。三四郎か美禰子か分からない。
・ダビンチ・・・意図的に書いている。昨夜の女とダビンチ。無関係なものが結びつく。
・あの女と美彌子。おんなは解からない。別の女ではない女はみな同じと漱石は思っている。
・「ハムレット」を知っていない」と理解できない。教養のある人に向けて書いている。
・広田・・・森有礼事件(暗殺)・・・「幽霊」・・・「森の幽霊」・・・森の女に繋がっている。学生レベルでは分からない。初恋体験。「動くものは卑しい」。
・広田の初恋・・夢の中・・「森の女」。
・ハムレット・・・広田。母は夫を殺した義弟と一緒になる。ハムレットは結婚したくない。
・漱石(当時)は、40歳過ぎた男。簡単な青春小説は書かない。ダビデとバセテバ。
・母とおじの関係。ハムレット。
・列車で一緒になった不倫を厭わない(妻)のすがたと・・・美禰子との関係。おんなは同じ。漱石の意識がある。
・年配の男・・・広田・・・髭の男。野々宮が三四郎と美禰子を引き裂いている。小川のほとりの三四郎。(つまり、小川三四郎と洒落ている。)
・素直に真面目に読む本ではない。
・広田は、三四郎と美禰子はどうでもよい。
・「三四郎」は脇役でしかない。つまみでしかない。
・この作品はしたたかな小説である。
・髭の男では美禰子は結婚しない・・・髭を剃った男と結婚する。
・美禰子は、三四郎が自分を好きだと知っている。三四郎をいたぶっている。
・漱石は美禰子をインテリに入れていない。インテリでないものがインテリをストレイ・シープという。陳腐である。
・真の教養人ではない美禰子・・・女そのもの。彼女の女を描いている。
・絵葉書の場面。三四郎の思い違い。デビルは広田。そして「迷子」は、三四郎ではなく、野々宮と美禰子のこと。
・ももと羊。
・メレジュコフスキー「先覚」戸川秋骨訳。毒ある果実。「もも」には毒は廻らなかった。「羊桃」
・ズーデルマン「消えぬ過去」 フエリンタス・・無意識の偽善。
・野々宮と美禰子・・・広田が邪魔している。意図的かどうか判らない。無意識の偽善の男が広田。
・読書は、一新させるように読まねばならない。
・「神々の復活」。古本で。
・芥川の「邪宗門」・・メレジュコフスキーからの引用。「ピーターとアレックス」。「地獄変」も。漱石にもある。
・若い人の書いた青春小説ではない。謎解きゲームとして書いている。
・人物が勝手に動くように書いている小説。それだけ味のある作品でもある。
・次回の「夢十夜」との繋がりがある。大人の小説である。