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2021.01.30
耳目ありて
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カテゴリ未分類
メジロ。
岸田吟香は、「新聞は国家の耳目なり、事の細大に拘わらず見聞する所あら
ば即ち録し、速やかに海内同胞に報知するを以て責任とす、・・・」という。
事実は如何と言えど、精神は立派な信念であろう。人間は、謂わば耳目に拠
って知るのであろう。何がそのひとの耳目であるかで知ることが決まり、思
考も方向付けられる。だから政府は新聞を統制して国民をコントロールしよ
うとした。報道の自由とは、かっては政府の掌の内の自由であった。勿論反骨精神
の記者や記事もあったであろうが、その光は世論に届くことはなかっただろう。
ベトナム戦争の報道は、やがてアメリカの侵略を止めさせる大きな力になっ
た。それまで、罪のない多くの人たちの血が流された。
よく、「知らなかった。もっと早く知っていれば、まさかこんなことになら
なかったのでは・・・」と後悔するひとの声が報道されることがある。聞く
度に、空虚な思いがしてくるのは何故だろうか。
歴史は唯、繰り返されるだけだろうか。
「耳目」を広辞苑で引いてみた。
・耳と目。
・聞くと見ると。
・多くのひとの注意・注目。「耳目をひく」
・上の人の意を受けて見聞する所を告げ、補佐するもの。「耳目となって働く」
「耳目を属す」が本来の意味なのだろう。メディアが皆そうなのかは知らな
いが似たようなものであろう。併し、情報は揺らぎだしている。一つだけで
はない情報が流れ出している。ブログもそうだろう。これまで手の届かなかった
情報を知ることができるようになった。それでも、まだそれを正しく処理す
るだけの準備ができていないだろう。唯「知る」だけでは「分かる」ことには
ならない。私たちは試されているだろう。喜劇にするか悲劇に終わるかは知
れないが、せめて、「聞くと見ると」くらいまではできるだろう。
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最終更新日 2021.01.30 09:48:15
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