



読書が面白いのは、視点の面白さでもある。だから童話でも駄作でも、読み方次第で果てしなく興味が湧いても来る。読者の読解力が問われもする。今日は梶井講座の最後の日で、そのひとつに「温泉」というのがあり、それが三作品あり、みな「断片」である。作品ではなく断片である。作家が、書きかけている。それを並べてある。文学をできたものしか喜ばないのは、文学を娯楽にしている者たちだろう。
・へ2・・・ひとは元々勝手な生き物でもある。だから自分の好きなものを見て好きなことを考えようとする。梶井も自分が肺病で死んでしまうと諦めていた。彼が結核がこんなに簡単に克服されるとは思ってもみなかっただろう。ひとは自分の心の中にデッドロックを造ってしまってしまう。それは、何でもないかも知れない。がんもあと5年もすれば、特効薬ができるかも知れない。自分の一生を生きているのは胡桃の中の フレーム・オブ・レファレンス でしかないのだ。