問.日本で将来作る法律は、外国と無関係に日本独自の内容で良い、という意見には?
答.
15年前に世界カイロ連合(WFC)が創設され、1997年にWFCがWHO(世界保健機関)に認められてから事情が一変しました。世界の80の国・地域が参加するWFCを無視して「日本だけで良い」「でも、外国から研究情報は欲しい」は、国際社会から見ると単なるエゴです。
「グローバル時代」と「カイロはアメリカ生まれ」を考えてもカイロの法制化は世界を無視して考えられないでしょう。
問.でも、日本のほとんどの「カイロ学校」は国際基準と無関係ではありませんか?
答.
世界にはCCEという教育面での国際基準があります。
日本には多数の団体が、自分達の会員を増やす目的で学校を経営しているので、自分達の利益に反する統一基準には否定的です。
カイロを標榜する人たちが日本のカイロ発展を遅らせているといえます。これからはWFCやCCEの協力を受け、日本のカイロ教育のレベルを上げ、カイロを真の「職業」に育てる。それを日本人の手で成し遂げることが大切です。
問.RMITを除いて、日本のカイロ教育は2年間の昼間部・夜間部制ですが。
答.
日本に帰国したDCたちが、2年生カイロ教育を初めて30年が経ちます。
振り返って見ると、速成教育はテクニック教育止まりで、世界レベルのカイロプラクター養成は不可能なことが明らかになりました。考えてみれば当然です。
例えば2年生夜間部は、RMIT日本校の1年間にも満たない内容です。
それでは、カイロの安全性、有効性、倫理、研究、適性さなどを教えられず、しかも教員の質も問われません。
それを憂慮した2001年のWFC総会は、国際的CCE基準以下の学校は「カイロプラクティック」の名に値せず、それらの学校を卒業した人は「カイロプラクター」とみなさないとの宣言を出しました。
WHOの見解も全く同様です。それらの学校教育に関与している日本のDCは、この宣言を重く受け止めるべきでしょう。
問.そのような学校で教えるDCは多いのですか?
答. 数は不明ですが、海外で正規の教育を受けたDCが、いまでもWFCが認めない学校で「カイロ教育」をしているのは事実です。彼らにカイロの職業倫理に反する行為を改め、国際基準のカイロ教育づくりに貢献して欲しいと思います。
問.WFCの他にもWCA(World Chiropractic Alliance)というカイロの国際組織があると聞きましたが?
答. WCAはWFCに対抗するためにアメリカのテロー・ロンバーグという人が始めた国際組織で、新聞を発行して活発に宣伝活動をしています。
WFCは1カ国1団体(米国のみ2団体)で構成されていますが、WFCは個人加盟制で会費を払えば誰でも加入できます。
「国際組織」の意味はその程度です。
質問.カイロプラクティックはPTやOTとどのように違いますか?教えて下さい。
回答. PT(理学療法士)、OT(作業療法士)は最近人気のある分野です。 カイロもPTもOTも国民の需要の高い仕事です。
ただPTやOTは病院で医師の指示のもとでしか一生働けません。
カイロプラクターは自分の判断で治療を行える魅力があります。 PT・OTの学校は約10年前に私立17校だったのが、現在は94校と爆発的に増えました。
カイロは誰かの指図でなく独立開業し、自分の判断が生かせます。 それだけに国際基準の正規な教育を受ける必要があります。
質問.いま柔道整復師かカイロプラクティックか選択に迷っています。柔整は国家資格だからと友人は勧めます。カイロも魅力あるし、善きアドバイスを。
回答.
いま国家資格が人気です。ところで資格はなんのために取得するのでしょう。 それは「仕事の機会を得る」ためです。逆にいうと、仕事の機会があれば資格は不要かもしれません。
いま社会が求めているのは「職業開発」という人もいます。
柔整や鍼灸の学校はここ3年間に3倍に増えました。患者数は横ばいですから、これら国家資格を取得しても「仕事の機会を失う」ことになりかねません。
国際基準のカイロはまだ全国に数百名で、これからの職業です。
仕事の機会は豊かにあります。
友人の勧めでなく、自分の将来を真剣に考えて決断してください。
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