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建築家45年(11)

建築家45年(11)

 世界は広いようで狭い。何故なら地球と言う小さな宇宙船に200からの国に分かれて70億人もの人々が住んでいるものの、ネットワークで瞬時にして情報が伝わるからである。知らなくても良い様なニュースまで聴かされ、肝心の知りたいニュースはマスコミ操作され伝わらない点がもどかしいが、それも言い替えれば世界が狭いから出来るだけの事である。情報を遮断したり出鱈目の報道を流して人々を混乱させる権力者は、やがて同じ手段で自分達も追いやられる事を覚悟しながらビクビクとしているものである。だから「ははーん、何かおかしいぞ」と感じれば必ず裏がある。そういう直感を人々は常に持つべきである。そして何がそうさせているのか究明し、多くの人々をして糾弾すべきである。そうでないと酷い目に遭う。国民の安全の為に事前に察知する能力を養っておくべきなのだ。

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 被害を受ける前に問題を処理する方法では、例えば予防医学が発達したお蔭で毎日歯の手入れをする習慣が定着して最近では虫歯が激減した。少なくとも虫歯の痛みに泣く子供の風景が観られなくなった。今は美容の為に歯を白くしたり歯並びを矯正する時代である。歯の綺麗なのは文化の象徴の様に言われる。が、アフリカや南米の先住民は白くて綺麗な歯並びをしている。それは文化のレベルが高いと言うよりも環境に合った食生活で歯の為に悪くない物を偶然採っているからである。日本は糖分が不足した戦前の反動で戦後は急激に糖分の多い食生活になった。その為に虫歯が増え、歯科医が儲かった時代があった。しかし、戦後が遠く成った今では歯科医は増え過ぎ、過当競争の時代だ。そうなると歯科医も考えたのか健康保険の効かないインプラントで儲けるか出張サービスをする様になった。

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 何でも考えればそれなりの知恵が浮かぶものである。建築家も予防医学の考え方や付加価値のある事を考えれば閑古鳥が啼いて仕事が無いと嘆くよりも積極的に動く事で仕事が追いかけてくれる様になるだろう。それには先ず社会的な使命を果たす事だ。社会的使命とはギリシャ・ローマ時代の石造ドームのキー・ストーンを思い浮かべれば分かる。それが命取りになる重要ポイントであるから命を張って社会に貢献出来、尊敬もされたのである。今の時代、命を張る建築家が居るだろうか。福島原発事故でメルト・ダウンした原子炉に建築学会や建築家協会が改善策や安全策を助言若しくはボランティアで行動し核燃料を取り出させる努力をしただろうか。ついぞそういう話を聴いた事が無い。あれは経産省の保安院や原子力関係者が考えるべき問題だと逃げているいるのではないか。大いに疑問である。

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 原子炉は原発関係者の設計によるものだろうが、それを覆う建屋はれっきとした建築家の仕事である。確認申請が為された建物として中間検査も竣工検査も受け合格し登録されたものである。であるにも拘わらず改善策や安全策を何一つ講じないのは建築家の怠慢である。どのような危険なものが格納されるか当初から分かっていながら核燃料は別物として全く設計概念から除外されていたとするなら馬鹿である。核燃料は炉内で核分裂させ、その放熱で水を温め水蒸気にして発電タービンを回して発電させる言わば火力発電と同じ理屈である。そんな中学生でも分かる理屈を知らないとは言わせない。核燃料がメルト・ダウンしない為の方策や、仮にメルト・ダウンした時の被害縮小法を考えておくのも建築家の仕事の一つである。今は兎に角海水で核燃料を冷やしているだけだが、それは応急処置に過ぎない。

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 馬鹿な首相が「海水を注入すれば海水のナトリウムで再臨界(メルト・ダウン)するから直ぐに止めさせろ!」と言ったそうだが、現場責任者の発電所長が「素人が何を馬鹿な事を言うか!殺されても海水注入は止めないぞ!」と注入を続けたお蔭で炉は再臨界もせずに小康状態を保っている。それを見て、安心するだけならまだしも「首相の命令をきけない様な奴は首にしろ」と言う始末で、馬鹿の上に更に馬鹿がつく事になって、とうとう四国のお遍路でさ迷う結果になってしまった。ある評論家なぞは「(四国で)何時までも廻ってろ!」と当意即妙な評論をしていていた。それを聴いてボクはプッと噴出してしまった。多くの国民の声を代弁したからだ。海水で核燃料を冷やせば当然汚染される。その水の再処理と最利用だけが前に進んで、今はそれ以上には進んで居ない状態である。

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 ロボットが開発中であるが、今すぐ機能して核燃料を取り出せる処まで行っていない。建築家は原発建屋を設計する前に与条件を検討したのかと問われれば「何もしていない」としか応えられないであろう。権限を与えられていないのと先に建設場所が決められていたからだ。活断層の近くであるとか、核燃料対策に関してもノータッチの状態だったからだ。それでも事前に危険防止策の提言は出来た筈である。例えば、メルト・ダウンした際の冷却方法として原子炉下のコンクリート・マット(巨大なベタ基礎)にメルト・ダウンした場合の核燃料の冷却水路を設けておくべきであるとかその為の水の再処理施設を設けたり使用済み核燃料の冷却プールは遠く離れた別棟に設ける等の基本対策である。経済設計と称して安全よりも近視眼的にコンパクトに収める事にばかり神経を費やしたせいでとんでもない事故拡大になってしまった。(つづく)

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