ココ の ブログ

運転(7)

運転(7)

 車の運転は簡単なものである。簡単だが、遵法精神は難しい。技術は簡単だが、精神の問題が難しいのである。だから違反者が多い。軽微な違反なぞ数え上げれば切りが無い。信号無視やスピード違反や携帯を片手に運転するなぞ朝飯前である。ウインカー(方向指示器)を点滅しない者や、しても間際やカーブに入ってからする者まで居る。要するに自分本位で他人の事なぞ考えていないのである。考える余裕が無いのかも知れない。後続車や対向車はその発信する信号を見ながら対応して運転しているのだから運転者の考えている頭の中まで見えない以上、急にカーブしたりストップしたりすると戸惑う。発信信号が無いのでそれを信じて行くと事故に成らないとも限らない。前の車が三叉路で左折するのか右折するのか分らない場合、後続車は用心しながら車間距離をとりながら自分の進路を表示して進む。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 たまたま前の車が自分と同じ方向であっても反対方向であっても気分の悪いものである。更にはブレーキ・ランプが片方故障している場合も気分が悪い。整備不良車両に気が付かないのか知っていても放置したままなのだ。昔は、昼間に対向車がヘッド・ライトを点けたまま走っていると、ライトで合図して教えたものだったが、最近はそういう風景は見掛けない。多分、トンネルから出て消し忘れの延長なのだろうが、最近の車は自動点滅するから、むしろ点けっ放しの方が珍しく、何か意図があって点けているのだろうと想ってしまう。対向車がヘッド・ライトを点滅する場合は、ねずみ取り(スピード違反取り締まり)をしているぞと教えているのだ。それも最近では余り見掛けなくなった。ねずみ取りは相変わらずやっているから対向車に教える運転者が減ったのかも知れない。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 運転が楽になった一つにカーナビがある。わざわざ地図を見なくても済むから前方不注意をする事もなく、登録しておいた行き先に向かって要所要所で女性の声のアナウンスで教えてくれるので便利だ。時にはひつこいと想うほど懇切丁寧にアナウンスするから耳障りな場合もあるが、概して知らない土地では有効に働く。オーム心理教の拉致事件で犯人が言ったという言葉に「カーナビが実に役立った事か」というのがあった。文明の利器が犯罪に使われるから世の中複雑になって来た。スパイ映画を観れば小型の発信機やカメラや最新兵器が目白押しに出て来るが、実際は盗難防止ナビや携帯の発信電波で車の位置が直ぐに割り出せ、一寸した心得のある者なら素人でも目的の車を探し出せる。探偵で無い限り素人がそういう事はしないが、技術的に可能だという事は犯罪にも利用できるという事で妙な時代になったものである。 

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 それだけ科学技術が発達して車の運転だけでなく機械操作が楽になったのであるが、目的が事故防止と利便性、スピード・アップ、省エネにあるとするなら結構な事だ。建設機械も建物が高層化して来るとオペレーターはモニターを見ながらの操作になるから、どうしても精度の良いものが求められ、オペレーターも熟練した経験者でないと楽にこなせない。車は逆で、ボクが最初に遊園地で電気自動車で遊んだ様に簡単で誰でも運転できるものになってしまった。亦、そうでもないと此処まで車社会にならなかったかも知れない。何も複雑な操作が良いとは限らず、むしろ簡単な程良い訳だが、言葉と同じで複雑な方が高尚な気持ちにさせるから本末転倒な事で感心していては詰まらない。パソコンも簡単になって、昔のフォートラン(計算を主としたパソコン)を使っていた頃と比べると雲泥の差がある。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 計算機も手回しのタイガー計算機を使っていた時代と卓上型の太陽電池のものを使うと簡単になり過ぎて呆気に取られる。益々そういう方向に行くのだろうが、家電商品もそうで、冷蔵庫もアナウンスし、浴室の給湯器もアナウンスする時代である。総てが電子回路を使っているから消費電力も少ない。先日入れ替えた書斎の空調機なぞは、部屋の右と左の方向をセンサーで熱感知し、部分的に温度差があればその部分の方向を冷やしたり暖めたり出来るようになっているので驚いた。人物が移動すれば、そちらの方へセンサーが向くので何か機械に監視されている様な気分になる。車も衝突防止のセンサーが働き、衝突する直前で自動的に停車するシステムのものが売り出されている。車間距離も自動制御出来るものが近々売り出されるそうである。益々、安全が売り物になって来たのである。

Mni1ni2Mni3Mni4Mni5

 しかし、何でも最新のものが良いとは限らず、人間は逆にレトロなものにノスタルジアを感じ、心が癒されるから、車内をレザー張りにしたりするのだろう。布製よりも埃が出にくいメリットもある。ちなみに音楽のCDも内容はレトロなものが癒しの効果があって、最近では青年時代によく聴いたソニー・ロリンズやウェス・モンゴメリーなどのモダン・ジャズを毎日聴いている。バッハのカンタータやオルガン、ピアノ、チェンバロ、ギター曲などばかり聴いていたのを、先日ふと、ネットで昔のレコードと同じものがCDで出ていたので早速注文したのだった。懐かしい青春の頃を彷彿とさせるサックスのセント・トーマスなんか聴いていると身体が一緒にリズムに乗ってしまう。いい歳をした親父がキャップを被って運転している姿は、傍目にはまさか68歳の爺とは観えないだろう。(つづく)

にほんブログ村 美術ブログ 建築家(芸術家)へ ←ブログランキングに参加中です、クリックをどうぞ!




© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: