ココ の ブログ

運転(9)

運転(9)

 かつて日本ではアメリカ車(アメ車)は馬鹿でかくて欧州車は小型と決まっていたのが、ガソリンが世界的に値上がりして行き、日本の半額以下だったアメリカでさえも日本の価格に近付いて行くと国民にガソリン意識が芽生え、大型車は次第に小型車に替わって行った。そして今ではすっかり日本ではアメ車は消えてしまった。キャデラック、リンカーン(コンチネンタル)、マスタング、マーキュ-(クーガ―)など往年のスター達が憧れたタイプやオープンカーも全く消えた。今はベンツやBMWやアウディ等が取って替わり、ワーゲン、ボルボ、シトロエンがその次の外車の代表の様に走っている。極たまにロールス・ロイスが走る程度で、国産車の高級車も増えた。世の中は不況が進み、そのせいで二極化も加速され、車の世界でも高級車と軽四輪との分化が顕著になったのである。

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 トヨタ、日産、ホンダの大手メーカーが夫々高級化路線と小型車路線の二つで戦略を絞っているせいだろうが、その他のメーカーはトラックと小型車と軽四輪で勝負を掛け、乗用車では軽四輪が圧倒的に多くなり、国民のニーズに合わせたのかメーカーの戦略が功を奏したのか雨後の筍のように増えた。そのせいで地方都市には軽四輪が我が物顔で走り、ボクのような高級車の下位ランクではあるが、軽四輪よりも大きく性能が良い車は奇異の目というか白い目で観られながら走る事になる。だから大都市に入り込むとボクと似た様な車やそれより上位ランクの車が多くなりホッと落ち着く。変な話だが、生まれも育ちも都会派のボクは長年の習慣で都会派から抜け出せないでいるのだ。自然の緑の多い田舎に憧れ、郊外の住宅団地に住んでいる割には都会の方が落ち着くのである。

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 ところが、今更ながら37年も住んでいると引越しをするのも煩わしく、セカンドハウスとして都会生活をすれば利便性があって魅力はあるものの、車の事を考えると迷ってしまう。当然、都会生活は集合住宅になるだろうし地下ガレージを借りる事になるだろう。仕事をする上では便利ではあるが、もうこの歳になってバリバリやる事も無いからメリットを考えるとデメリットの方が多く、迷ってしまう。折角慣れ親しんだ郊外の生活はそのまま残し、都会での生活をしながら週末に戻るというのもかつては理想的で良いとは想ったものの、既にそうしていた近所の老人を見ると次第に郊外の自宅へは間遠になって荒れ放題になり、誰かが住むか管理をしなくてはならなくなっているのだ。勿論そういう人は息子や娘の家族とは別々だから他人に任せるより無く何の為の家なのか分らなくなっている。当然ながら車社会からは縁遠く公共の乗り物ばかりである。 

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 あと10年は運転を続けたいと想っているから未だまだ車に興味があるのだろう。住むところを今更都会にしなくても高速道路を30分も走れば都会のど真ん中に行けるのだから多分このまま10年は行くのでは無いだろうか。その代り当たり前ながら呑みに行く時は電車かタクシーになる。が、この前、京都へ小学校の同窓生達と呑んだが、矢張り帰りが遠くて嫌になった。今度はホテルに泊まる事にすると言って別れたが、そうまでして飲みに行く程のものでもないと想った。懐かしさから会うなら昼間の食事会でも良いのだ。それなら電車でも車でも良い訳である。段々と横着になるというか楽な方法を考えてしまうものである。それも歳のせいだろうか。足腰が弱るから敢えて歩くという人が多いのも分る気がする。老人にとって足は命に直結する問題だからである。ゴルフで歩くだけでは不足するのだろう。

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 さて、今後も車が存続するだろうと考えて自動車産業にエールをおくる訳でも無いが、次世代はガソリン・エンジンが減少して行き電気自動車に移行する時代が確実に来るだけに車は家電商品と同じ扱いになり、自動車産業の独壇場では無くなるだろうと言われている。だから巨大産業にまで成った自動車産業も先行き不安で何か新しい事業でも考えないと大変な事に成ると危機感を抱いている。そこでそれを見越して住宅産業(工業化住宅、いわゆるプレハブ住宅)にシフトしている会社もあるが、それだけでは競合があるだけに安心して居られない筈である。それに住宅は統計上殆ど行き渡った形になっていて今後は建て替え需要が見込めるだけで、更地(住宅団地)での新築は行き詰まりつつある。更には高層マンションが次から次へと建設されて大手ゼネコンまでが住宅産業に参入している時代である。

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 企業90年説という観方によると、最初の30年間は成長期で、次の30年は隆盛期、最後の30年は衰退期と観るのだそうだが、鉄鋼も繊維も造船も、そして自動車もそういう歴史を経た結果、今日の社会があるとすれば、次世代の車を扱う企業はどういう戦略を取っているのだろうかと少しばかり気に成るところである。何故かと言えば、建設業界も再編を言われて久しいが、潰れては亦新しく出来たりしながらジリ貧の斜陽状態に向かっているから、その上流にある設計事務所は尚更展望が悪いのだ。建築家は草の根的な地域密着型の住宅設計やコミュニティー活動に専念すれば良いのかも知れないとも想ったりもする。金持ち相手(クライアント)の設計商売の時代はもう終わってしまったのだ。そういう意味でも車の行く末と建築家の将来は似ていると言え、運転方法を考えるべき時なのだ。(つづく)

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