ココ の ブログ

リンゴ (1)

リンゴ (1)

 仕事関係の知り合いからリンゴが贈られて来た。信州佐久の産である。たまたま偶然その日は妻の誕生日だったので妻は大喜びだった。数種類のリンゴの中にラフランス(洋梨)とプルーンのジャムも入っていた。早速、礼状を出しておいた。サラリーマン時代は盆暮れの届けモノが多かったが、辞めて独立してからはそういう類のモノはトンと来なくなって少々寂しい気がしたものだったが、反面、気楽になったのを覚えている。何かと贈られて来て喜んでいる内は小物に過ぎないと妻には言い聞かせていたものだったが、それでも辞めた途端にバタッと来なくなるのも寂しい気がしたものではあった。これが宮仕えの終焉の合図かとも想えたものだが、盆暮れの付け届けで相手への評価が変わるものでもなく、逆にそれが無言のプレッシャーになるのが嫌だった。僅かな事で借りが出来るからだ。

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 役人をしていた義弟なぞは贈られて来る度にわざわざ返送していたものだった。「その程度のモノは賄賂には当たらないから、そのまま貰っておけば良いものを」と妻に言っておいたが「父が、そういうのを嫌う性分なので弟も・・・」と弁解していたのに、役人では無いボクへの業者からの付け届けは喜んでいたから矛盾する話だ。ボクは皮肉っぽく笑ったものだ。然しながらお中元やお歳暮は日本では世間の習慣になっている。その証拠にデパートはそれが大きな売り上げの一つになっている。民間の仕事関係ではそれがつき物に成っていて当然のように受取るが、役所は後ろ指を指されるのを気にして受取り拒否をする。それがボクはおかしいと笑うのだ。勿論、そういう事をして仕事の手加減をしてくれという気があるのはナンセンスだが、実際は裏でそういう事は平然と為されている。 

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 そういう現実は誰もが薄々感じ取っているだけに誤解を招かないように受取りを拒否するのは、それはそれでその人の信条だから良いとは思うが、目くじらを立てて問題にする程のものでも無く大人気ないと想うのだ。贈収賄事件で時々問題になるのは巨額の金が動くからで、それによって私腹を肥やす連中が居るからだ。が、古今東西、何処の国でも一向に無く成らないのは人間の性のようなものだからだろう。だから検察が見せしめの為に定期的に事件にする。かつてリクルート事件という巧妙な贈収賄事件(1988年)があったが、上場前の株式を表面上は売買の形で買わせて贈るというものだった。上場前だから額面で手にする事が出来、上場後は確実に値上がりする優良株だから額面の数倍もの利益が出る仕組みを利用したものだ。社会正義からすれば公共の株式方式が内々に取引される訳だからズルイやり方だった。

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 今ではインサイダー取引(2008年法改正)になるから誰もが注意深く成ったが、自分の会社の株式をどうしようが勝手だと思う経営者が多く居た時代が遥か遠い昔の様に想える。処が、こういう世の中でも自分の個人的な会社という意識が強い経営者の中には、平気で100億ぐらいの金を自分の個人口座に振り込ませ、ラスベガスで博打をしてすってしまうという前代未聞の事件が最近起きて世の中を驚かせた。それでも会社の創業者の一族でもあり、借入金を返済するという合意が出来たせいか会社は彼を告発せず役員解任をしただけで済ませるという。不況と言いながら儲けている会社もあると言う事だ。博打なぞ胴元が必ず勝つシステムになっているから賭博の雰囲気に呑まれてしまった彼は良い鴨であった訳だ。ビップ扱いで自家用ジェット機で送迎されて舞い上がったのだろう。

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 誰でも簡単に100億もの金を自分の口座に入金させる事が出来る環境に居れば」、自分も世界の富豪の仲間入りをしたと勘違いするだろう。中東の石油貴族なら自国の地中から湧き出る石油は自分のモノのようなものだから湯水のように博打ですっても一時の快楽として済ませてしまえるだろうが、日本の金持ち程度では高が知れている。あのドバイの金持ち連中ですら、リーマン・ショックで資金が枯渇して、パーム・ジュメイラのリゾート開発も中座し、隣国の石油貴族からバックアップして貰ってやっとタワー・ホテルだけは完成した経緯がある位なのだ。デフォルト寸前のギリシャにしても個人的にはオナシスの様な金持ちも居るのだろうが、時代が変わって今では遺産相続人がひっそりと暮らしているのだろう。しかし案外、ヨーロッパの社交界で遊び回っているのかも知れない。

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 世界の富は偏っているものだから、アメリカの格差社会に反発してニューヨークでデモをする庶民を窓辺で眺めながら金持ち連中は「自由世界で富が偏財するのを反対する連中は一生貧しいままで居るだろう」とうそぶいているのだ。彼等は国が財政赤字で苦しもうが無関係な顔をして「大統領が次期選挙で勝ちたい為に選挙対策で耳触りの良い事を言っているに過ぎない」と割り切って、民主党と共和党のどちらが勝とうともアメリカの金持ち層は殆ど変わらないと思って居るのである。もし、アメリカがデフォルトに成ればサッサと逃げだせば良いと考え、それよりも世界からアメリカに金が流れ込む方法に血道をあげているのだ。TPPもアジアからアメリカに金が流れるシステムの問題に過ぎないのだから、日本の政財界で的違いな議論を交わしているのをまどろっこしく観ながら「どうでも良いが、早く話し合いのテーブルに付け」と急きたてている訳だ。(つづく)

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