出会い①シンガポール



オットとの職場結婚のいきさつをちょっとばらしちゃおうかなあ。

入社した10年前。オットはシンガポールに駐在していた。
出向元は隣の部。名前も顔も知らない人。それどころか
存在すら知らなかった。

入社3年目。シンガポールでの展示会で担当システムの
デモをするため、一週間出張した。
デモシステムのセットアップ、現地子会社スタッフへの
操作説明し、展示会での対応マニュアル作り、そして
展示会現場でVIP対応をするのが仕事。
このシステムは現地に日本人担当者はいなかったのだ。

出張前に上司から、現地で出社したら彼に挨拶するよう
言われていた。3年のうちに隣の部とはいつの間にか合併し、
彼は「うちの部から出向している人」になっていたのだ。
その時初めて彼の名前を聞かされた。

出張時には駐在している日本人にちょっとした手土産を
持参し、挨拶をするのはごく普通のことである。
出社してすぐに挨拶まわりはした。が上司から言われていた
彼の姿はなかった。

仕事開始。展示会は翌日機材搬入というスケジュールだ。
現地スタッフと打ち合わせをしていたら、突然日本語の
怒鳴り声が聞こえてきた。どうやら電話でやりあっている
らしい。そして会話にはさまる人の名前はうちの部署の
人のもの...

ちょうど打ち合わせが一段落したので、メンバーに聞いてみた。
「挨拶するように言われている人がいるんだけど。
どの人かな?」と。

予感は的中。
「ん?ああ、さっき電話で怒鳴ってた人。」

恐る恐る挨拶をしに行ったのだが。
あなた何人?と思うような日焼けした真っ黒な顔。
そしてでっかい目が黒い顔の中で光ってる。

彼の前に立った私の膝はガクガクしていた...


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