宇宙の果てはどんな場所?



●この宇宙の外側
別項「 四次元 」で述べる四次元空間の概念から、縦横高さを持った3次元空間が時間の流れの方向によどみ無くフワフワと流れる様を想像するか、3次元空間のあらゆる方向に拡散(または収束)して放射状に飛散するのイメージを持つか、あるいは全く違うイメージかは、皆さん個人の想像力に任せますが、実在するこの宇宙の外側がどうなっているか、想像した事がありますか?

「ビッグバン」と呼ばれる爆発的な物質の拡散が、この宇宙の誕生の姿である事は近年定説となっており、その証拠として4度K背景ふく射(注1)や銀河の運動(注2)が観測されています。しかし、その前はこの宇宙は一体何だったのでしょうか? また、この宇宙が浮かぶ空間(?)はどんな物なのでしょうか?

注1)ビッグバンの時に発生した熱の余韻として宇宙空間に残る熱。宇宙のどの方向を観測しても、4度K(-269℃)の一様な赤外線を検出できます。
注2)この銀河系を含む全ての銀河が、お互いに遠ざかる運動を続けており、遠くにある銀河ほど、遠ざかる速度が速いという事が観測されています。つまり宇宙は一様に膨張し続けているという事であり、ビッグバン説はこの観測結果がヒントとなり構築された説です。

●ビッグバンと宇宙の成り立ち
ビッグバン以前、この宇宙は影も形も無く、ふわふわした時空の「ゆらぎ」があるのみだったと考えられています。その「ゆらぎ」がある時急激に成長し、非常に局部的に超高温、超高圧、超高密度の点が生じました。これがビッグバン直前の瞬間です。(というのが今提唱されている有力な説です。)

そして、ついに爆発的な拡散が始まりました。これが「ビッグバン」です。その急激な拡散に伴い、形成された時空の中で物質の密度の濃い部分と薄い部分ができ、濃い部分はどんどん成長してチリの塊からいずれは星に成長し、といった宇宙の進化の過程は、皆さんも御存知の通りです。(ビッグバン以後の宇宙の進化は、近年急速に発達した宇宙物理学と、それを支える観測衛星=ハッブル宇宙望遠鏡等=により相当明らかになっています。)

現在の宇宙も、このビッグバンの名残で膨張し続けていますが、最も遠い天体は140億光年彼方の銀河が観測されており、150億年と推定されているこの宇宙の年齢から、最も古い天体のひとつと考えられます(光速で140億年掛かる距離という事は、我々が見ている光は140億年前に発せられた物であるという事です)。

●宇宙の果て
アインシュタインの一般相対性理論によれば、物体の相対速度は光速を超える事はなく、種々の実験や観測からも裏付けられ、現在の定説です。とすると、光速に近い速度で遠ざかっている天体が見付かれば、そこが殆ど宇宙の果てに近い、という事です。現在のところ、上述の140億光年の距離にある銀河が発見されている最も遠い天体ですので、人類はまだ宇宙の果ての手掛かりも掴んでいない事になります。

一般相対性理論によれば、相対速度が光速に近付くほど相手の時間の進み方が遅くなり(加えて長さが短くなり、重さが重くなります。あくまで双方とも、自分に対して相対的に、です。)ますので、宇宙の果てでは一方の宇宙の果ての時間が止まっているように見え、また長さ(大きさ)も限りなくゼロに近付きますので、観測不能となるでしょう。従って、宇宙の果ては誰も見る事ができないのです。仮に一般相対性理論を超えて、宇宙が光速以上の速度で膨張しているとすれば、もはやある距離から先は、それ以上先を見る事が出来ない事になり、宇宙の広がりを正確に掴む事は永遠に不可能です。

ただ想像の範囲ですが、宇宙の果ては決して風船の如き膜の状態ではなく、壁でもないでしょう。その外側との境界となる何かがあるのか、またあるいは地球の大気圏のように、徐々に時空が薄くなって行き、最後は物質も時間の流れもない世界に辿り付くのでしょうか。はたまた、一直線に進んで行くと最後はまた元の場所に戻るような、無限で閉じた空間(メビウスの輪の無限の面を想像して下さい)なのでしょうか。

皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。

平成15年3月10日

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