デビュー10周年を迎えた“盲目のピアニスト”辻井伸行さん。彼の演奏は“色彩感にあふれている”と評される。その要因の一つが、母・いつ子さんの関わり方にあった。
息子さんは盲目――そう告げられた母は育児書を読みあさった。だが、そこには健常者の“見える世界”に適応させようとする記述ばかり。失望しかけたとき、知人の視覚障がい者から言われた。「生まれながらに『見えない』世界に生きる人にはその世界観があります」。
“「適応」ではなく、この子らしく育てよう”。水の音、木々のささやきなど、大自然の美しさを感動のままに伝えた。ある時、伸行さんが聞いてきた。「今日の風は何色なの?」。息子が豊かな彩りの世界にいることを教えられた(『のぶカンタービレ!』アスコム)。
子どもの可能性は計り知れない。一人残らず“伸びよう、成長しよう”とする生命力が躍動しているからだ。それを支えるのが大人の責務。大人こそ“できるはずがない”と決め付けたり、諦めたりする心を排し、前向きな生命で接していきたい。
池田先生は後継の友の育成について「仏に、師匠に、仕えるような気持ちで、私は、皆を育てていくのだ」と。子どもたちの尊い使命を信じ、育む大人でありたい。きょうから「未来部勝利月間」。

~~~~~~~~~聖教新聞名字の言より~~~~~~~~~
【今日は何の日】