彩感(つれづれ日記と社労士受験)

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解雇の無効

最大・最強の方法

あなたが解雇の無効を争うことを決心したら、あとは行動を開始するのみです。



その方法は、いくつかあります。



1、裁判を起こす

2、労働審判制度を利用する

3、裁判所の調停を利用する

4、都道府県労働局のあっせん制度を利用する

5、当事者同士で話し合いをする(代理人を使う場合もあります。)



それぞれ長所・短所がありますが、2~5に関しては「労働紛争の解決方法」のページで説明します。(解雇だけではなく、他の労働紛争にも共通します。)



裁判を起こすと言うと、難しそうに思いますが手続きさえ理解すれば、誰でもできるものです。



憲法第32条に「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と明文で保障されており、裁判所もこの条文を尊重しおよび拘束されていますので、現在では一般の人のいろいろな質問にも親切に対応してもらえる体制が整っています。怖がることはありません。

裁判の一番の長所は、その強制力です。こちらが提訴し、裁判所から相手側に呼び出し状が送達されれば、相手は必ず応じなければなりません。いやだからといって、拒否することはできないのです。これがその他の方法と、決定的に違うところです。もちろん、判決が出ればそれに拘束されますし、守らなければ強制執行も可能です。

反面、短所としては通常弁護士に依頼するので、費用がかかる。手続きがあり、時間がかかる等があります。



さて、その裁判ですが、日本の労働裁判の一番の特徴は、解雇無効を争うにはほぼ「労働者の地位保全(解雇が無効だから、労働契約は継続していますよ)」に特化されていることが挙げられます。

会社から解雇を言い渡されたならば「こんな会社二度と戻りたくない」と思うのが、普通の感情だと思います。そうした場合、不当解雇という不法行為または契約不履行による損害賠償請求が法律的な訴えになるのですが、ご存知のように日本では懲罰的損害賠償請求は認められておらず、損害賠償額は微々たるものです。これが例えばドイツでは、不当解雇→解雇無効→最大18か月の損害賠償→退職という流れで法整備ができています。しかし日本では、もちろんこれだけの金額が損害賠償で認められるはずもなく、あくまで地位保全で争うことになってしまうのです。判決でこの地位保全が認められば、解雇日から判決確定時の間(通常1年前後)の給与支払い命令が出されるわけです。



争いの主戦場、「仮処分」

そして、もうひとつの特徴が本訴訟とセットで、民事保全法に基づく「地位保全の仮処分」が申し立てられる事です。これは、本訴訟が通常時間がかかり判決がでるまでは、金銭的な補償がないことから、債権者(労働者)に著しい損害又は急迫の危険を避けるために認められる制度で、本訴訟の判決の前に、仮に地位保全(あなたは会社の社員ですよ)と当然それに基づき給与を支払わなければならないという命令を裁判所に出してもらう手続きです。あなたが解雇されたために、生活の破綻が予想され、それは法律上間違いなく急迫の危険ですよとなるわけです。仮処分決定までに要する期間はだいたい2~3か月です。急迫の危険があるわけですから、裁判所にも至急決定を出さなければならない義務が課せられます。

通常、この仮処分が認められればあとは会社より給与(出勤までは普通認められれないので、仕事はしないで給与の8割とか7割)を支給してもらい、本訴訟に望むことになります。そして、仮処分が出れば、本訴訟はだいたいその線で判決がでます。



仮処分申し立てですがふつう下記のように記述します。

申し立ての趣旨

1、債権者(労働者)が債務者(会社)に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める。

2、債務者(会社)は、債権者(労働者)に対し、平成○○年○○月(解雇月)から本案判決の日まで、毎月末日限り金○○円の割合による金員を仮に支払え。

という内容になります。



ですから、仮処分が出た段階でほとんど決着がつき、本訴訟は形式的な手続きになってしまうのです。



そして、仮処分の段階で裁判官が解雇無効の心証を持っていれば、和解を熱心にすすめるようになります。よほど微妙な話でなければ、初期の段階で裁判官の判断は出るものです。なんせ、そのような労働紛争事件を何十件何百件も扱っている専門家なのですから。



ちなみに東京地裁の場合は、この地位保全の仮処分の窓口は民事第19部になります。



和解に関しては、あとはあなたの気持ち次第ですが、通常、和解金として給与の3か月から半年でまとまる事が多いみたいです。なかには1年分という事もありますが。

退職方法も和解条項に入れたほうが良いと思います。自主退社にするのか、会社都合の解雇にするのかです。会社都合の解雇にしてもらえば、雇用保険は解雇日以降、待機期間を除いてすぐに支給されます。

和解が成立すれば、和解調書が作成され双方に送達されます。この和解調書は判決と同じ効果があり強制力があります。これに反すれば強制執行も可能です。

実は仮処分上の和解が、一番ベストな方法かもしれません。後ろに裁判という強制的な手続きがまっており、相手も誠実に対応せざるを得ないからです。



弁護士費用に関しては、それぞれの弁護士さんのホームページを見てください。報酬額一覧を掲載している弁護士さんもいます。



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