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動く重力
普通免許とフリーター(11)
普通免許とフリーター(11)
「よし、決まり」
雪穂さんは言った。
「そこの奥に篠塚君がいるから、シロを返してもらいなさい」
僕はその言葉に従って篠塚さんが入っていった店の奥の方へ向かった。
そこには部屋が二つあり、まっすぐ突き当りまで行くと、手術室、手前の右側の部屋が事務室となっているようだった。廊下には段ボール箱がたくさん積んであり、見たことのない記号や、僕の読めない外国語が書かれていた。こんなものどうするんだろうか、と気になったが、すぐに思い当たった。篠塚さんは獣医もやっているらしい。だから、その医療関係のものが置いてあるんだろう。僕は薬品なんだか道具なんだか分からないダンボールの山を抜けて、事務室に入ることにした。
「そうですか。では、お返しします」
そう言った篠塚さんはキーボードで何か言葉を打った後、モニターの上でぐっすり眠っている我が家の黒猫、シロを僕に渡した。
「桐原君、勘違いしないでくださいね」
「何をですか?」
僕はそれが何を指している言葉なのか分からなかった。それに、勘違いをするかどうかは、僕がどうにかできる問題ではないだろう、と思った。
「店長は一見、適当にやっているように見えますけど」
店長というのは確か雪穂さんのことだったなと思い出しながら話を聞いた。
「店長は相当、頑張って働いているんです。私は店の資金繰りと動物の健康管理をやっているに過ぎませんが、店長は外回りはもちろんのこと、動物の食事と世話、そしてこの店の掃除を一人でやってきました。あんなに適当にやっているように見えても、意外に真面目な人なんですよ」
それは確かに意外だった。外装も内装も清潔感のあるこの店の掃除は、細かいところまで気配りが利く人がやっているものだと思い、僕は勝手に篠塚さんの担当だと思っていた。だが、あの何でも適当にやりそうな雪穂さんの仕事らしい。
「店長はどうも他の人から見るといい加減な性格だと思われてしまうんです。まあ、あながち間違ってはいないんですが」
「そうなんですか?」
掃除の件を持ち出されるまでは僕も何の疑いもなく頷いていただろう。だが、僕は雪穂さんが意外に几帳面なのかもしれないと思い始めていた。
「店長は適当なところも多々ありますよ。店長がこの店を始めようと思った理由だって、まるで博愛主義者みたいに聞こえますけど、ただ店長が気に食わなかっただけですからね。あの人は動物を守るということよりも、自分が満足できるように行動するということのほうが大事なんです」
「それは雪穂さんらしいですね」
自分を周りに合わせるのではなく、周りを自分に合わせる。まるで子供みたいな生き方だな、と一方で呆れながら、僕はそんな生き方が少し羨ましかった。
篠塚さんは言った。
「店長が動物好きで良かったですね」
「どうしてですか?」
「もしゴジラ好きだったら、店長は今頃、放射能を世界中にばら撒いているところですよ」
「この話を素直に笑い飛ばせないところが、雪穂さんのすごいところですね」
事務室にはため息に似た笑い声が響いた。
僕と篠塚さんは事務室を出て、雪穂さんと夏美がいるところに戻った。このとき僕は忘れずにシロを抱えていた。シロは寝起きのせいかボーっとしていて、僕が抱えても、ぐったりしたまま、されるがままだった。こんなところがシロの頭が悪いとされる所以なのだが、本人が幸せそうなのでそのままでもいい、というのが我が家の総意だ。
戻ってみると、僕と篠塚さんが奥で話している間に、雪穂さんと夏美も何かを話していたようだった。
「夏美、何の話をしてたんだ?」
「シロの話よ。シロに名前を付けたときの話」
ああ、と僕は思った。黒猫の名前がシロだということが雪穂さんも気になっていたのだろう。
雪穂さんはシロをじっと見た後、僕に言った。
「ねえ、ちょっと見せてよ」
シロが我が家にやってきたのは二年ほど前のことだ。ちなみに、僕はその頃まだ高校に通っていて、その後フリーターになるなんて思っていなかった。もし昔の僕が今の僕を見たらこう言うだろう。『何やってんだ。しっかり働け』ただ、今の僕も言い返す。『お前のせいだろう。先のことぐらい考えとけ』
その日は帰りが少し遅くなった日だった。家には両親と当時、高校一年生だった夏美が、つまり、家族全員が揃っていた。家に入った後、僕は居間に向かった。そこで 僕は驚いた。居間に黒い猫がいたからだ。
「夏美、何でここに猫がいるんだ?」
驚きながらも僕は聞いた。
「買ってきたのよ。これから毎日この家にいるから仲良くしといてね」
「何で買ってきたんだ?」
「何でって、ものを買う理由なんて一つしかないじゃない。私が欲しかったからよ」
「何で急に?」
「急に欲しくなったから」
「ペット?」
「そう」
もう僕は何も言わなかった。普通はもっと手順を踏むのものだとは思うのだが、それがなかっただけだ。反対する理由もないし、動物は嫌いでもないのですぐに受け入れることが出来た。
夏美は猫で遊んでいた。猫と遊ぶというよりは、猫で遊んでいるという表現が正しかった。実際、猫は迷惑そうな顔をしていた。だが『嫌だ』と言うこともなく、夏美を引っかくこともしなかった。ただ流れに身を任せてすべてが終わるのを待っているようだった。僕はこのとき、こいつは動物としてどう生きてきたのだろうかと疑問に思った。
「兄ちゃん、これ見てよ」
僕は夏美に呼ばれて、大の字になって横たわる猫を見た。こいつはストレスで死ぬかもしれないと思った。
「全身真っ黒なのに、お腹のここは白い」
確かに腹部のちょうど真ん中辺りに、ゴルフボールより大きく野球ボールよりは小さい大きさの、白い毛が生えている部分があった。
「こんな毛の生え方があるんだな」
僕は月並みな感想を言った。すると、夏美は心底感心したように僕とはまったく違った感想を述べた。
「すごいよね。腹だけは黒い人間とは大違いだよ」
とても高校一年生の言葉には思えなかった。
「夏美、腹黒くない人間だっているよ」
僕は月並みな忠告をした。
「兄ちゃん、この猫の名前どうしようか?」
「シロとか?」
僕は冗談のつもりで言った。ただこのときこの黒猫は、僕と夏美の間でだけ、白い印象が強くなっていた。そのせいだろう。
「じゃあ、シロね」
おいおい、冗談だろう?
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