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2021.03.03

京極夏彦さんの妖怪絵本シリーズです。シンプルで読者を引きむ文章に加え、繊細な絵で強い印象を与える絵師の山科理絵さん。

好奇心の強い女の子は、世の中の不思議を気にしてしまうでしょう。大人が気にしないような、路地裏の隙間でさえも何かがいるんだろうなと考えてしまうかもしれません。

日が暮れていくとき、女の子にとってさらに不思議が大きくなる時間なのかもしれません。

ことりぞは、島根県出雲地方での呼び方です。ことりぞは、子どもを絞って油をとると言われているようですよ。

日本全国で人さらいに関する呼び名がいくつかありますが、妖怪の一種として『隠し神』があります。夕方になっても遊んでいるような子どもたちをさらう妖怪だと言われています。

隠し神というと、こわいと思いつつも、異界を垣間見るような気がしますが、子どもをさらって油をとると言われると別の怖さをひしひしと感じます。

夕暮れ近くになっても外を出歩いている女の子ですが、この後どうなってしまうのでしょうか。

女の子に手をのばす異形の手、ふりかえって異形の者の顔を見る女の子の表情。

怪しくも美しい作品です。