中学編



長い人生の中でいくつもの恋をし、終わり、また恋をする。

しかしそんな恋愛をする上でだれもが必ず通る道。

それが初恋。


こんなわたくしにも当然のようにそれはありました。
ここではそんなわたくしの初恋を紹介させていただきます。

あのころの純粋さをわすれることのないように。

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初恋、の話なのになぜ中学編・高校編、と2つあるのか。
それはぼくのなかでは理由があります。

中学での初恋は、相手に想われて始まった初恋。
高校での初恋は、自分から想い始まった初恋。

ここでは中学での初恋を記したいと思います。

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あれはぼくが中学校1年の冬のころ。

当時、ぼくは恋愛と言うものにあまり興味をもたないような
中学生だった。
それよりも「恋愛」という言葉は僕のなかではドラマの中でのことであり
まだまだ日常ではその言葉はぼくのなかで重要性をもつような
ことはなかった。
その年の冬までは。


中学1年のころ、ぼくは普通の学生のように部活や勉強に明け暮れていた。
勉強では常に学年1位を狙い、
部活ではサッカー部に所属し、小学校のころからクラブに所属した
やつらに負けまいと毎日ボールを追いかけていた。

当然女の子のことには興味がむく余裕もなかった。

部活にあけくれていた冬、ぼくは怪我をしてしまった。
左手首を骨折してしまったのだ。
症状は普通の骨折よりも少し重く、全治2ヶ月だった。

雪の振る僕の地元では冬の室内トレーニングの時期に入り、
その期間に体力をつける、という先生の言葉にすこし不安を感じた。
手首だからサッカーには関係ないとおもわれるだろうが
意外とこれがきつい。どうしても痛みが走るため自然と
練習もできなくなり、病院へ通うことも多くなった。

病院へ行くために部活を休み、友達と一緒にかえっているときに
その友達がぼくににやにやしながら言ってきた。

「なぁ、おまえUのことどうおもうよ?」
「どう・・・って?いいやつじゃん」
「それだけかよ~?」


意味がわからなかった。

Uさんは同じクラスの子で、ひときわおとなしいタイプの子だ。
どうおもう?といわれたところでどう答えればいいのか
当時のぼくには検討もつかなかった。
だけど

そいつがそのあと発した言葉をいまでも僕は鮮明に覚えている。

「あいつ、おまえのことが好きらしんだ」

「え!!!!!!!」

びっくりした。びっくりしすぎて頭が真っ白になった。
体ががちがちにかたくなり、まったく言うことをきかない。
その友人が発した言葉ひとつひとつを丁寧に思い返し
自分の頭の中で整理しようとする。
好き?ってえ、どういうこと?あいつがおれのことを???

そのあとそいつとどういう会話をしたのかおぼえていない。
ただ呆然と家にかえっただけだというのだけおぼえている。

うれしい、という感情もでてこないままその日は過ぎた。

次の日、ぼくは学校に行った。そして彼女をクラスでみた。
実はこの子、そのときぼくの真横の席だったので、逃げようがない。

ぼくは高鳴る鼓動を抑えつつ彼女をそっとのぞいてみた。
今思うとどうしてそんな彼女の態度にきづかなかったんだろう?と
本気で不思議に思う。なぜならそこにいる彼女は経験の少ない中学生にすらわかるほどはっきりとぼくを特別なまなざしでみていた。

ドキドキした。

この種のドキドキはそのときがはじめてだろう。
好きといわれる、それまで、恋愛なんてドラマのなかだけだと
信じていた少年がいきなりその中に叩き込まれた瞬間である。

想像できるだろうか?
はっきりいってパニックである。

彼女、Uさんはかわいい人だった。照れ笑いの多い、とてもかわいらしいでもおとなしい、やさしい子だった。

昨日まで普通のクラスメートだった子がたった一日で特別な人、にかわった。
実は彼女はぼくの天敵の女の子の仲良しの友達だった。
そんな天敵の女の子、ですら彼女を応援しているようだった。
かんがえられない事実である。
クラス内でぼくの目のまえにたったその天敵の子は
彼女のよこにいたUさんのスカートをばっとめくったことがあった。
Uさんは激しく動揺しその天敵の子に「もー!」とおこったあと
ぼくにむかい赤くそのほっぺたを染めて、とてもはずかしそうにわらいながらこう小さな声でつぶやいた。

「ねぇ、みえちゃった?」

すいません、見えました(爆笑)
事実はそうなのだが、うぶなぼくにいえるはずがない(うぶじゃなくてもいわねーか)
「え。。。い、いや見えなかったよ、全然(←ここがうさんくさい)」

あのときのUさんは最高にかわいかった。あのはずかしそうな笑いにはまいったねーまじで(笑

その後はしばらくそんな感じの日々がつづいた。
最初はどうようしかしていなかったぼくも「好き」といわれることの幸せをやっと認識しはじめ、彼女のことをだんだんと好きになっていった。

毎日学校にいけば隣の席にかのじょがいる、それだけで
毎日が幸せだった。初めて感じる種類の幸せだけに
ぼくはとまどいつつも
すこしづつすこしづつ恋愛をしていた。

だがそんな幸せな日々はながくはつづかなかった。

ささやかながら幸せな日々をすごしつつも
ぼくは苛立ちを感じ、ストレスをためていた。
毎日行われる部活でどんどんうまくなっていく仲間達をみているのが
くやしかったのだ。しかしぼくは何もできない。心に余裕なんてなかった。
ただぼくはそこにひとりだけ取り残されていく孤独感に日々襲われていた。

そんなときほんとーにささいなことがぼくの初恋を
おわらせた。


給食中(←懐かしいねーおい)。
席を向かい合わせてグループでたべる仕組みになっていた
ぼくのクラス。
当然ぼくの目の前はUちゃん。
そんなとき、骨折をしているためにつけていたギブス(石膏)が
牛乳瓶にあたって、なんと目の前にいるUちゃんの机に
こぼしてしまった。

ぼくは当然、その瞬間に謝ろうとして、ごめん、の「ご」まで
言いかけていたとき、ぼくの天敵の女の子(ほんとーに仲が悪かった)
がぼくにたいしてこういった
「なにしてんのよあんたー!Uちゃん超迷惑ジャン、あやまんなさいよ!!!」

ストレスがたまっていたぼくはよりによってこんなときに
そのストレスが爆発した。

「なんだよてめーうるせーよ、バカ!なんでてめーに言われてあやまんなきゃいけねーんだよ!」

・・・・最悪である。
今おもいだしても意味がわからない。
Uちゃんに謝るのはとうぜんなのに、その天敵に触発されたせいで
結局謝れずじまいでおわったのだ。(けんかになったので 恥)

彼女は・・・泣いていた。

そして次の日から口をきいてくれなくなった。
結構ろこつに無視されはじめた。ぼくのほうからは何度も何度も
話しかけるが、相手はずっと無視。

どうしようもなかった。

そして席替えの季節がやってきて、ふたりは離れてしまい
仲を元に戻すきっかけも結局つかめずに終わった。

でも当時のぼくははっきりいって鈍感王だったので
無視されながらもどんどんどんどん話しかけた。
無視されても笑顔で、いつも笑顔で話しかけた。
Uちゃんの怒っている顔はすごくつらかった。逃げ出したければそのままの状態でほうっておくこともできたけど、どうしてもそれはできなかった。

原因はすべて自分の幼稚さゆえなのだから。

その想いがあったから、謝罪の意味もこめて話しつづけた。

なんとそんな無視された日々が1年も続いた。
今思うとなんて根性があるんだ、とおもうが
当時は純粋(ただの無知とも言う)だったのだろう。なんの疑問も感じなかった。

2年の正月だったと思う。

彼女から年賀状がとどいた。

そこにあった彼女の文字はちょっとぎこちないながらも
ちゃんとぼくに向けて書いてくれた昔のような
とてもやさしいことばたちだった。

自分の努力が報われた瞬間だった。

うれしかった。

それからは卒業まで仲のいい友達ですごした。
恋愛というのはぼくはもう求めなかった。今のままでいい、とおもっていた。普通にやりとりされる彼女との会話、友達としてだが、それだけでもう満足だったのだ。

卒業後

ぼくたちはお互い別々の高校に進んだ。

ぼくはがんばって勉強して念願の県内トップの進学校に進み
彼女は志望どおり比較的ぼくの高校に近い
県内では数少ないクリスチャン系の女子高へと進んだ。


中学の卒業式、
いつかあそぼーね、とお互いが言い合って離れ離れになった。


だけどその後、

同窓会で一度会ったきり

彼女と会うことはもうなかった。




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