高校編

誰もが通るこの道。

忘れたくない思い出のひとつでもある。

ただ僕の場合、その思い出はふたつある。

ひとつは好きといわれて始まった初恋。
（詳しくは「中学編」をご覧ください）

そしてもうひとつはぼくが好きになってはじまった初恋。

これは本来あまり思い出したくない。
なぜならあのころの自分を思い出すだけでなさけなくなってくるからだ。

それでもぼくは忘れられない。

それほどぼくにとっては強烈だったのだ。

はっきりいってほかのひとに比べるとしょうもない内容かも
しれないが、それでもここにのこしておこう。

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ぼくは高校生になっていた。

県内TOPの進学校とは言え、その学校はいわゆる変人の集まり
だった。いわゆるがり勉、という種類のやつはひとりもいなかった。
自由奔放という言葉がもっともあてはまるやつらの集まりだった。

変人しかいない、という環境はすさまじく楽しく
毎日がハプニングの連続で一日たりとも暇だ、と思うことのない
日々だった。

でも恋愛、という要素はあいかわらず結構無頓着だった。
女の子といる喜びより、友達といたほうがはるかにおもしろかったのだ。

気になる子もひとりはいたが、そんなのは恋愛とは呼べないものだった。
こんなぼくを好き、というなんとも奇特な方もいらっしゃったが
このケースは申し訳ないが、鈍感すぎて気づかなかった・・。

そんな高校生活１年のある夜。
ぼくはある変な夢を見た。

あたり一面すべて真っ暗で何も見えない。ぼくはそのままそこでうずくまっていた。
そのときある一部分だけが急にあかるくなった。
そこには誰か女の子が背中を向けて奥にむかって駆けていた。
そしてふいに振り返った、その子は満面の笑みを浮かべながら
ぼくのほうを向いていた。

そこで夢が覚めた。

夢の中にでてきた彼女は今まで見たことのない子だった。

だれだったのだろう？？
疑問だけがのこったまま、でもなぜかその夢だけは忘れられぬまま
時は過ぎた。

そして年があけ
ぼくは高校２年生になった。

新入生もはいり活気付く学校。
なにも部活に所属していなかったぼくは友人のいる弓道場にむかった。

そのときぼくの時は止まった。

ぼくの目の前に
袴をはいて弓道の練習をする夢の中で見たと思われる彼女がそこにいた。

これほどびびったのはいつ以来だろう？
記憶にないぐらいの衝撃だった。
即座に弓道部の友人を半ば強制的にひっぱりだし
彼女の名前を聞き出した。
M.Kさん、という名前だった。聞き覚えのない名前だ。
しかし、どう見ても夢の中の彼女に見えてしまう。

それからすこしたって
また弓道部の友人を拉致し、その子のことを聞いてみた。
「いや～超級の天然だな～」

めちゃ好みじゃないっすか（笑

いろいろ話をこまかく聞いてみたが
たしかに超ど級だった（笑

その子はいっつもいつも笑顔で、田舎くさい、といえば悪く聞こえるがそうではなく、言い換えるなら純真な感じの子で、実際、部内での評判もかなりよかった。

知れば知るほど好きになった。

そのスピードは今考えると恐ろしいほどだ。いまではとてもそうはいかない。とにかく即すきになった。

これが僕の人生はじまってはじめての一目ぼれだった。
あとにも先にもひとめぼれはその一度きり・・・あ、しまった、もう一回あった。（笑　まぁ、そこはほうっておきましょう。

このころぼくはある後悔の念でいっぱいいっぱいだった。
実はぼくは入学当時
なぜか

弓道部に入ろうとしていたのだ。

理由はよくわからない。とりあえずなぜか入ろうとしていた。
しかし結局ははいらずじまいのままおわってしまった。

これは後悔した（笑

はいっておけば彼女と触れ合う機会が十分すぎるほどもてたのに！！！

しかし後悔先にたたず、だ。
どうしようもない。まさかその子目的のために２年で中途入部するわけにもいかない。
この想いは唯一弓道部にいる信用のできる女の子の友人にうちあけた。
彼女は手助けをしてくれようとしたが、いかんせん、当事者のおれには決定的にかけていたものがあった。

度胸である。

好きになりすぎるあまりはなしかけられなくなったのだ。
ただでさえ学年も違うし、部活も違うのに話かけられるわけがない。

いつか偶然くるチャンスを待とう、といっていたが、実際はにげていただけだった。当時はそんなことも認められなかったが。

彼女に関する思い出はほとんどない。

数少ないなかでもあるのが
文化祭のアピールのためにでた街中行列の際、彼女との距離が非常にちかくおよそ５時間ほど興奮しっぱなし、という若さあふれること。

結局話しかけられなかったが。。。。

彼女のことを思い出すときにどうしてもわすれられない
ささやかな思い出がある。

それは夕方、校舎を夕日が差し込む時刻。ぼくは何かをしていてその時刻まで校舎にのこっていた。そして校舎と校舎をつなぐそとにむき出しの通路を渡ろうとしたときだ。

向こう側の校舎から彼女がひとりで向かってくるのが見えた！
心臓がとびでそうになった。

そしてゆっくりとふたりの距離がちかづいた。
すれ違った瞬間ぼくのなかの時間はストップした。
そんなふたりを夕日があたたかく、しかし残酷に照らしていた。

彼女はそのままゆっくりと歩いていき、
ぼくは彼女が通り過ぎたあと、数歩歩いた後、立ち止まり
振り返って彼女が歩いていくのをただただ見つめることしかできなかった。

こころのどこかで
「たのむ、すこしでもいい、ふりかえってくれ」と
何度も何度も心の中で叫んでいた。

ただその願いは叶うことなく
無常にも彼女は歩いて僕の前からその姿がきえていってしまった。

結局
卒業するまで
ぼくはたった一度も彼女と会話をすることなくおわった。

たった一言も、である。

ぼくは卒業後、大学にはいけず浪人した。
日本の大学に生きがい・やる気を見出せず、センターをうけただけで
大学は受けなかった。自分の進路を適当に決めるのがゆるせなかったのだ。

だけど、その浪人時代の一年ははっきりいって地獄だった。

いつもいつも時間があると
思い浮かぶのはしゃべったこともないMちゃんだけなのだ。
でも連絡はとれない、しりあっていないんだから。
高校にいけばあえたのかもしれない。
でもそれはできなかった。

会えた感動のあとに確実に襲ってくる孤独感に打ち勝てる気がしなかったのだ。
今考えると信じられないことだが
ぼくは彼女に手紙を書こうと思った。
自分の想いを抑えきれずに、である。

でもよく考えてみてほしい

あった記憶もないような男から
「好きです」などといわれてみたと想像してください。

ね、怖いでしょ？（わらうしかなきね、こりゃ）
今ならあなた、すとーかーってラベルをはられちゃいますよ。
えぇ、確実にね。

でもこんなばからしいことだが
ぼくは真剣になやんだ。ぎりぎり人間としての常識が勝って（辛勝）
そんな行為はしなかったが。

そのころからやく２年、ぼくは苦しみうづけた。
後悔+自己嫌悪である。

もしタイムマシンがあったら、というほんとにくだらないIFだが
いつの時代にいく？と問われればまちがいなくぼくは彼女にあったころ
の時代にもどるだろう。
そして自分自身をなぐってでもこういう。

後悔するようなことだけは絶対にするな。

結果よりも逃げることだけはするな。

結局、ぼくはもう二度と彼女に会うことはなかった。

一度、街で彼女らしきひとを見かけたがきっと似ているだけだと自分をなっとくさせた。

夢で会った人。
もしかしたらにているだけで違う人物だったのかもしれない。
もしかしたらそう思い込もうとしているだけかも。

ぼくはいま、思い込みだとおもっている。
素直にそうおもっている。

夢でみたからって運命の人とはかぎらないしね。

でも彼女とのことがあってぼくは人生の教訓を得ることが出来た。

「後悔だけはするな。」

このことを学べただけでも、ぼくは彼女に会えてほんとうに
よかったと思う。

卒業してから２年後
ある人に恋をしたことによってｋぼくの心は完全にMさんから旅たつことができた。
もう恋できないかも、とおもっていた心がある素敵な女性によって解き離れたのだ。

いま
Mさんと会いたいか？と問われれば、ぼくはNOというだろう。
もう過去にとらわれることもない。
感謝の想いでいっぱいだ。

願わくば彼女が今でも素敵な人生を歩んでいることを切に願う。

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