2004/09/07
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カテゴリ: 国内小説感想
「すばる」に2000~2001年に連載されたものを集めた短編小説集。2002年10月、作者は大腸ガンで逝去。遺書のようなもの。闘病生活、リハビリの苦しみ、死の近い人に見えてくる景色など書きながら、一方では年下の女性写真家への恋慕の情や看護婦への好意なども赤裸々に記されていて、若いなあと思う。「芥川賞候補作のコピーを読んでいるうちに、いつのまにかずるずると椅子からずり落ちていた」なんて書き出しをやれるのはこの人くらいだろう。
 相変わらず好きになれない文章なのに、作者の死を知っているからか、長く抱くように読んだ。最後『神の小さな庭で』で、公園に坐っている主人公が子供達を眺める場面で少し涙が出た。通院生活の愚痴や泣き言を家族や看護婦には言えないが、道端の雑草には素直に言葉に出来るという感覚、自分も死に近づけば分かるだろうという予感がある。
 俳句を始めて3kg痩せた。

集英社 2002年





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Last updated  2004/09/08 02:10:59 AM
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