地を這う虫

2024/02/11
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カテゴリ: ジャズ
このアルバムはColumbiaレーベルの数多いアルバムの中では地味なアルバム、あまり注目されないアルバムではないかと思います。Jazz史上に燦然と輝く超々名盤"Kind of Blue"(1959年リリース)や"Kind of Blue"とは全く異なる音楽ですが、その後のJazzに決定的な影響を与えた超名盤"Bitches Brew"(1970年リリース)などJazz初心者向けの「Jazz初心者はこれを聴け 厳選100枚」てな本には決して載らないアルバムです。








レコードは多分学生時代に買ったと思います。購入当時、私はこのアルバムをそれほど多くは聴かなかったような気がします。当時ジャズ喫茶で頻繁に(でもないか 笑)かかったライブ盤の"My Funny Valentine"や”Four & More"等に比べると、地味なアルバムであることは明白です(笑
東京在住時の10数年前にamazonや自宅近所のイトーヨーカ堂内にあったレコード店(CD店と言うべきか)でJazzのCDの廉価版や輸入盤を数十枚買いました。その内の一枚にこのアルバムがあります。レコードを持っていることは記憶にありましたが、当時はレコード再生システムを復活させることはあまり想定してませんでしたから(苦笑





"My Funny Vallentine"については過去記事でとりあげています。

今日聴いたレコード Miles Davis / My Funny Valentine (Columbia US輸入盤 CS9106)

Miles Davis / My Funny Valentine (Columbia US輸入盤 CS9106)を中性洗剤洗浄しました

今日聴いたCD Miles Davis / My Funny Valentine (Sony 国内盤 SICP822)


このアルバムの歴史的意味合い・価値は上記"My Funny Valentine"と同じメンバーのQuintetでの初録音(未発表分はしらんけど)であることです。

trumpet       Miles Davis
tenor saxophone   George Coleman
piano        Herbie Hancock
bass         Ron Carter


このメンバーでの演奏がA面2曲目、B面1曲目、3曲目の計3曲入ってます。Jazzに関して記事を書いてるブロガーさんの何人かのこのアルバムについての文章を読みましたが、多くはこのメンツでの演奏を高評価し、別メンツのQuartetのA面1曲目3曲目、B面2曲目の3曲がそれに比べると劣るかのように書かれていますな。まぁ、劣るとまでは書かれてないか・・・。ただ、テンポの速い曲もQuartetは録音してるんだけど、それらはQuintetの演奏に劣るのでボツになったという見方をされています。まぁ、たしかにそうなんだろうけど、私の見方は違います。

このアルバムの価値はテンポの速い曲をボツにされたQuartetの演奏にこそあるんですな。私に言わせれば・・・。 そのQuartetは

trumpet   Miles Davis
piano     Victor Feldman
bass     Ron Carter
drums    Frank Butler

帝王Miles DavisのOne Hornなんですね。これが素晴らしい。Miles DavisのOne Horn演奏の録音は少なく、全曲One HornのアルバムはPrestigeレーベルの"The Musings Of Miles"(オリジナル盤はPRLP-7007)だけの筈です。

Miles Davisは全曲ミュートで吹いています。上述したアルバム"My Funny Vallentine"でのバラードにおける硬質で極めて高い緊張感でピリピリ、キリキリした演奏とは異なり、程よい緊張感に満ちた上質のバラードです。素晴らしい。Victor FeldmanのPianoを私はあんまり聴いたことがないのですが、このアルバムでの彼は素晴らしい出来だと思います。Ron CarterのBassは過去世代のBassistとは明確に異なる新感覚のものなので新鮮です。Flank Butlerは安定したDrummingで屋台骨を支えています。

あ~~~、Quintetの演奏も勿論悪くはないです。ただ、結成してあまり時間が経過していないバンドなんで、まだバンドが熟成していません。Herbie hancockのPianoは後年の彼の演奏には遠く及びません。Anthony WilliamsのDrumsは彼の天才振りを既に表出していますが、まだ遠慮がちな演奏であります。

このアルバムの私の評価点は、One Horn Quartetの演奏はその希少性、歴史的価値を含めて★★★★★、Quintetでの演奏は★★★★☆、それらを総合して★★★★☆となります。ですが、大変お薦めのアルバムの一枚ですよ。


Discogs記載の情報を適宜編集したものを以下に貼っておきます。






Miles Davis - Seven Steps To Heaven

レーベル: Columbia - CS 8851
フォーマット: レコード, LP, Album, Repress, Stereo, Terre Haute
国: US
リリース済み: 1971

収録曲
A1  Basin Street Blues

A2 Seven Steps To Heaven
   Written-By - Davis*, Feldman*     6:24
A3  I Fall In Love Too Easily
   Written-By - Cahn - Styne*       6:47
B1 So Near, So Far
   Written-By - Green*, Crombie*    7:00
B2  Baby Won't You Please Come Home
   Written-By - Warfield*, Williams*   8:27
B3 Joshua
   Written-By - Feldman*        7:01

 ※太字がMiles DavisのOne Horn Quartetでの演奏です。

会社名など
レコード会社 - Columbia
著作権 - Columbia Records
マスタリング - Customatrix
プレス - Columbia Records Pressing Plant, Terre Haute

クレジット
Bass - Ron Carter
Drums - Anthony Williams (曲: A2, B1, B3), Frank Butler (曲: A1, A3, B2)
Piano - Herbie Hancock (曲: A2, B1, B3), Victor Feldman (曲: A1, A3, B2)
Tenor Saxophone - George Coleman
Trumpet - Miles Davis

ノート
1971 repress version on a red / gold style Columbia label.
Some copies may have a sticker on front sleeve with cat. N° "KCS 8851".

A1, A3 and B2 recorded in Hollywood
A2, B1 and B3 recorded in New York




"Basin Street Blues"


"Seven Steps to Heaven"


"I Fall in Love Too Easily"


"So Near, So Far"


"Baby Won't You Please Come Home"


"Joshua"




全曲Miles DavisのOne Hornでのアルバム"The Musings Of Miles"から数曲選びましたよ。メンバーは

trumpet Miles Davis
piano Red Garland
bass Oscar Pettiford
drums Philly Joe Jones

私はこのアルバムをレコードでもCDでも持っていないので、中古CDを買いたいと思ってるんですが、なかなかいい出物がありません。

"Will You Still Be Mine (RVG Remaster)"


"Gal In Calico (RVG Remaster)"


"Will You Still Be Mine (RVG Remaster)"





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Last updated  2024/02/11 03:52:40 PM
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