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本日のこえめWorld、開店です。
【カーラ10】
魔法界王は、法殿から出て、
明るい日差しの中に立っていた。
暫らくの間、思いつめたように俯(うつむ)いていたが、
思いを振り切るように、顔を上げた。
「待たせた。帰るぞ」
「かしこまりました。風門の準備は出来ております」
法殿の外で控えていた若い従者が、
得意そうに言った。
後ろの二人の従者は、それで良いというように頷く。
そのうちのひとりが洩らした笑顔には、前歯が一本欠けて、
ユーモラスな表情をのぞかせていた。
そう、この者達は数日前、玉座の間で
危うく王座で下敷きになりかけた、あの三人だった。
あの時リカムが、隣の部屋のただならぬ気配を感じ、
間一髪のところで駆けつけ、
彼らの命を救ったのだ。
*
そのとき老年の従者ジイドの意識は、すでに朦朧としており、
ただその気力だけで、
岩のようなそれを支えていた。
ほかの二人も脂汗を流し、
すでに身体の感覚は無く、
持ちこたえていると言うよりは、
酷使しすぎた筋肉が、そのままの状態で
固まってしまったにすぎなかった。
もはや、己が肉体の限界を超えていた。
まさに運命が尽きるその時を、
今かと待っている状況であった。
リカムがすぐさま術を唱え、
その《ゲイン》の力で自らの肉体を強化し、
巨岩の下に入り込んだとき、
それを待っていたかのように、ジイドが床に崩れた。
(つづく)
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