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いらっしゃいませ。 こえめ です。おやつと一緒がおすすめです。 紅茶も、コーヒーも、お酒も、オレンジも、それからチョコレートでしょ、ポテチ、あッ、きんつばもいいね!
はじめての方、ほかを読みたい方は(上にないとき) こちらに目次 があるよ。
【カーラ20】
『魔法医師の館』に、
キンキンと耳障りな声が響いた。
「これはこれは! バイロン公爵ではございませぬか!
わざわざこのようなところまでお越し頂かなくても、
こちらからお伺いいたそましたのにッ」
そう言うと、リスザルのようにバイロンの周りをくるくる動き回り、
黒いボードに何か書き込んだ。
「骨格変成なし。筋肉の収縮なし。眼光きらびやかなり、と。
見たところは健康そのものでございますな。
して、どの辺りですかなッ、今回具合がお悪いのは?」
「相変わらずお気が早いですね、先生。
私はどこも悪くありませんよ」
「はッ?」
くいと首を傾けたところが、ますます猿そっくりだ。
「けが人の見舞いに参ったのです」
「はあ! これはこれは、そうでございましたかッ。
いやはや、リカム殿の見舞いに。ではこちらでございます」
バイロンは魔法医師の案内に従って歩きながら、
建物の中をさぐった。
「先生。いつもの看護婦たちは今日はどちらに?」
「はッ、彼女らには薬草を取りに、
妖精の泉のほとりまで行かせております。
それから立ち止まって振り返ると、
意味ありげに口元を寄せてささやいた。
「公爵殿がいらっしゃる事が分かっておりますれば、
ライナを残しましたのに」
紫の瞳が冷たく光った。、
「今日はそういうことではない」
魔法医師は縮こまるようにして押し黙り
一番奥の部屋の前まで案内した。
「ここがリカム殿のお部屋にございます」
「うむ。少し話がある。お前はもう下がれ。」
「公爵殿。リカム殿はまだ完全ではございませぬゆえ、
手短にお願いいたしたく……」
魔法医師はバイロンと目が合うと、
慌てて言葉を切って立ち去った。
バイロンはノックもせず、いきなりドアを開けた。、
リカムは既にベッドに腰掛け、
真っ直ぐこちらを向いていた。
背中から胸へ、包帯が何重にも巻きつけられていた、
「私に何か御用ですか。バイロン公爵」
(つづく)
魔法の真矛ちゃん【カーラ38】の2終 July 8, 2009
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