空を眺めていたら
「君、可愛いね」と　近づいてきた人がいた。
怪しい奴…何者なんだ！まさかナンパ？…

私は　空をみつめたまま　その人を無視していました。
バスを待っているらしき　その人は　
私をじーっと見つめながら
「名前は？」なんて図々しい事を聞いてくる。

知らん顔を決めた私に　その人は腹を立てたのでしょう…
乱暴に私の葉っぱを引きちぎる…と
「くっせ～！」と言い放ち　
バス停近くにある　公園の噴水に向かって一目散…

ふふふふ…乱暴な事するから　バチが当たるのよ…
皆さんも、御用心されたし。
可愛い花…と　私を摘んだりすると　臭い匂いがするのよ
これは植物の食害防御策なの。

私の名は…ヘクソカズラっていうの。
この名、本当は余り気に言ってないのよ
別名、ヤイトバナ（灸花）もあるんだけどこの名もねぇ…
花の外側が灰白色、中心が紅紫色で　
その色合いが　灸を据えた跡のようだから…って。

名前を付けられた身にもなって頂きたいわ…
そうそう、
私のように変な名前を付けられた仲間が沢山いるのよね…
オオイヌノフグリ、ママコノシリヌグイ、カキドオシ…
あげればキリがないけど、みんな見た目は可愛い花なのよ。
名付け親の感性の問題かしらね。

私にはもうひとつ別名があるの…
サオトメバナ（早乙女花）素敵な名前でしょう。
勿論、私はお気に入りの名前よ。
これから　皆さんも私を見かけたらヘクソカズラじゃなくて
サオトメバナと呼んで欲しいなぁ…なんて　無理なお願いかしら…
意外と思うかも知れないけど、
私は薬用や化粧料としても利用されたりしてるのよ。

原産地…日本　中国　朝鮮半島
アカネ科、ヘクソカズラ属の蔓性多年草
臭いの原因は　メルカプタンという揮発性物質にあります。
メルカプトンは、ガス漏れ検知のために
ガスの臭い付けにも使われている。

花言葉…人嫌い　誤解を解きたい　意外性のある…

諺…屁糞蔓も花盛り（漢字で書くと下品ですね）
嫌な臭いがあって、あまり好かれない屁糞蔓でも
愛らしい花を付ける時期があるように　
不器量な娘でも　年頃になれば　それなりに魅力がある…
という意味のようです。

バスを待つ間、公園のフェンスに絡まっていた
ヘクソカズラを眺めながらの妄想…

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