紀りんの館

紀りんの館

動詞の話




長き航海ぞ汝らが使命
大海原を耕すべし。
かくてわれわれは
濡根を海に押し入れ
土を蹴って
白い帆をかかげた。
日光は音をたてて
帆に舟場屋に刺さった。
海は日ごと
われわれの心に粘った
われわれはいろいろと心を傾けて
海をすいこみ流し出して
海の心をはかった。
すべてを快活なものとし
すばらしい新世界をその末に望むために
動詞の話をした。
歩く走る踊る働く歌う愛する欲する・・・・
死ぬ
という言葉を使わざる得ないときには
生きる
という言葉を二度三度四度口にした

          By 安水 稔和


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