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座敷わらしは大喰らい
どうして、どうして俺だけ……!
座敷わらしは大喰らい
「ったく……何本目だそれ?」
「さっきから不平不満ばかりだな。酒の席でそれは問題だぞ」
「一滴も飲めない酒の席ほどつまんないものはないんだよ……だいたい事務所の連中みんな帰っちまったじゃねえか」
とある居酒屋。フォルトと日向は二人で酒を飲んでいた。正確に言うとフォルト一人で酒を飲んで日向はシラフだが。
「15のくせに酒を飲むな馬鹿が。訴えられても弁護してやらんぞ?」
「いらんよ素人同然の弁護士なんぞ。だったら最初から連れてくんなってんだ」
「そう言うな。所長が先日の礼だって驕ってくれるって奮発したんだから」
「その所長はどこ行ったんですか?」
「……酒弱いクセに好きだからな、あの人」
元々事務所の仲間内で飲んでいたのだが、変態所長が酔ってラリって暴れて大騒ぎになりかけたので自主的に追い出した。ちなみに他の所員は所長を運びに帰った。
「一時間持ったのが奇跡なくらいだな。あれでお前に迷惑かけないように自制してたんだぞ?」
「だったら酒飲むなよ……結構残っちまったなつまみ」
焼き鳥を喰らいながらテーブルを見下ろす。最初つい調子に乗ってジャンジャン頼んでしまったから焼き鳥だの鍋だのどっさりある。二人で食えるかこんなの?
「まあなんとかなるさ。あいつらだって戻るって言ってたし……ん」
ふと、隣の座席がうるさくなった。色々聞こえてくる。「酒足りねーぞ!」「社長それは専務です、タコじゃありません!」「脱ーげ、脱ーげ!」……なかなかカオスな世界になっているようだ。
「ああ、あれこの近くのデザイン事務所の連中だよ。たまに一緒になるんだ」
「デザイン事務所?」
「ちっちゃなもんだがな。仕事で毎日徹夜で事務所に寝泊りして家ない奴結構いるんだと。で、仕事が終わるとこの店やってきてああして酒かっ食らうんだ。事務所目と鼻の先だから、みんな泥酔して前後不覚になっても帰れるからここに来るらしいぞ。まあたまに早朝ベロンベロンになって歩道で死んでるの多いがな」
そりゃまたずいぶんだこと……と、ジュース切れたな。
「おお、俺もビール切れたから頼んでくれ」
「ザルのくせに飲んで楽しいのかよ……すいませーん、生ビールとオレンジサワー一つー」
「どさくさに紛れて酒を頼んでるんじゃない!」
「あいだ!」
ぶん殴られてる間に店員が来た。坊主頭の若造だ。
「えーと、ご注文は……」
「生ビールとオレンジジュース、あとイカ刺し一つ」
「まだ頼む気か!?」
「はい、生ビールとオレンジジュース、それとイカ刺し二つですね」
「ん? いや一つ一つ」
「あ、すみません間違えました」
と謝ると、そそくさと去っていった。なんか普通に間違えたなあいつ。
「さっきから店員あの坊主頭ばっかりだな……人いないのかアメリカンスタイルなのか」
「こんな純日本風の居酒屋がアメリカンスタイルなわけないあるか。あの店員いつも見るよ。おおかた経費削減のために人少なくしてんだろ」
「ふうん……しっかしずいぶん喰ったなあ……あれ?」
ふと、何の気なしに伝票を読んでいた日向が眉をひそめた。
「なんだ、どうした」
「いや、その……あれ?」
伝票とテーブルを交互に見ながら首をかしげる。フォルトはどうしたのだかわからない。
「何なんだよ、どっか変なとこでもあるのか?」
「変って言うか……ええと、多くないかこれ?」
「多い?」
なんだそりゃ、とフォルトが聞くと、日向は伝票を渡して話を続ける。
「焼き鳥さあ、一人前五本で、六人前頼んだよな」
「ああ。三十本な」
「その伝票、三十五本になってんだ」
「なに?」
伝票に目を落とすと、確かに焼き鳥は三十五本になっている。しかしテーブルの皿には串は三十本分しかない。
「んで他のも見てみたら、串揚げもそうなんだよ」
そう言うと、フォルトは串揚げの本数を数えだした。日向はメニューを確認する。
「あれ……五本どこ行った?」
「……ん? んん!?」
日向がメニューを見ながら唸りだした。
「今度は何が増えた?」
「いや、減ってる」
「はあ?」
思わず素っ頓狂な声を出した。日向は一瞬吹きそうになったが、フォルトの怖さを十二分に知っているので止めておく。
「あの、この、刺身盛り合わせなんだけど……メニューの写真より減ってないか?」
「あん? 何言ってんだお前。んなもん食ったからに決まってんだろ」
「それさっき運んできたばっかのじゃねえか。全然箸つけてないだろお前」
「あ」
言われてみれば確かにそうだ。しかし、と反論する。
「写真は写真だろ。品不足で減らされたか?」
「おいおい、今時分に俺と隣の連中しかいない居酒屋で品不足なんてあり得るか? それに、それって一応法律に抵触しないのか弁護士?」
「あっと……変更されるとか注意書きがなければまずいが……あん? なんだ?」
気がつくと、隣が騒がしい。いやさっきから騒がしかったんだけど、なんか様子が変だ。
「……俺の茶碗蒸しはどこだあ! 誰が食ったあ!」
「あんたこそ俺の大吟醸飲んだでしょ! このセクハラ社長!」
「私の! 私のプリンちゃああああああああああああああああああん!」
……無視したい。すごく。気にするとやばい気がする。ていうか絶対やばい。
しかしそういうわけにはいかない。フォルト行くな。
「やめようよ相手しない方がいいって」
「何言ってるんだ、気付いたのお前だろ」
「は?」
「伝票のこと。あっちも被害者らしいぞ」
それだけ言うと、さっさと隣室に入っていった。
「……空っぽ?」
「ぞヴでずよ。ぜっがぐぢゅヴもんじだどぐぜいぢゃわんむじぐわれぢゃっだんでず」
「だから誰も食べてないって言ってるでしょセクハラ!」
「もはや社長ですらないのかよ……」
隣の座敷は地獄と化していた。社員達が暴れ狂ったのか皿は割れ壁はスープがべっとり床は焼き鳥のタレで足の踏み場もないというメチャクチャな有様。店員見たら泣くな。
「つまり、注文したものがいつの間にか食べられているってことですか?」
「ばい。っだぐ、でじおにがげでぞだでだのにごんなぶりょヴじゃいんにじがならながっだなんで」
「だから食ってないって……ヴヴ」
「吐くな吐くな! あんたしかまとも喋れるのいないのに……」
日向は顔を覆いたくなった。この地獄絵図の中で応対できるのはこの二人だけ。あとはグースカ寝てるかゲロ吐きながら倒れているかのどちらかである。飲みすぎだこいつら。
「飲みすぎじゃない? 倒れるまで飲む奴いるかよ」
「いづもごんなもんでずよ。がいじゃまでぢがいがらだいごヴびづよヴないじ」
「いつもこれなのか!?」
呆れてものも言えなくなる。と、フォルトが不適に笑った気がした。
「しかし、この様じゃ誰が何を頼んだなんて覚えてないんじゃないですか?」
「まあ確かにそうですけど、でも実際に皿は空っぽで、誰も食べてないとしたら座敷わらしの仕業としか……ブロロロロロロロロォ!」
「堕ちた……」
最後の一人、脱落。
「座敷わらしねえ……面白いこと言う人だ」
「でも実際に消えてるわけだし、まあ泥酔状態だからあまり信用できんが、確かに座敷わらしの仕業と言われても納得な気がするなあ」
一昔前ならまるで信用しなかったろう、しかしここ最近そういう異常事態に遭遇しすぎてどんな不可思議な事態も受け入れられる度量を手に入れた気がする俺からすれば座敷わらしだって別段変なことでもないと思える。
だけどそれは思考停止と言うらしく、
「お前……それ正気で言ってんの?」
フォルトに笑われてしまった。
「フォルト?」
「なにが座敷わらしだよ。色々ありすぎて感覚麻痺してるみたいだな。ちょっと考えればわかるだろ」
「え……?」
全然わからない日向に呆れて、フォルトは「よし」と立ち上がる。
「えっと、どこ行くんだお前?」
「決まってるだろ、座敷わらしに会いにだよ」
ガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュ……。
空いた座敷の中で、ただその『モノ』の食べる音だけが響いていた。
その『モノ』の顔からは食事の満足感も満腹感も感じられず、ただ憎しみしかなかった。
「旬のイカ刺しの味はどうだい、座敷わらしさん」
「!?」
いつの間にか戸が開けられ、人が目の前に立っていた。
逃げようとするが、やすやすと捕まえられてしまう。
「遅いねえ。そんな遅さじゃサワーの氷全部溶けちまうぜ」
「フォルト、こいつは……」
日向が呆然とした顔で指差す。
そこにあったのは、つるつるの坊主頭。
「さっきの店員じゃねえかよ!」
「そ。こいつが注文水増ししてたんだよ」
そう言われると、ああと日向の頭の中で疑問が見る見るうちに解けていった。
なるほど、店員だったら注文を水増しして出すことも出来るし、届ける間に水増しした分食べてしまえば気付かれることもない。
「でも、伝票みたらバレちまうだろ」
「だからあのデザイン会社の連中選んだんだろ。一人残らず泥酔まで飲むんだ、いくつ注文したかなんて覚えてるわけない。しかも焼き鳥だの串揚げだのちょっと増えててもわかり辛いのばっかり選んでいた。まったく考えたもんだよ」
もっとも、調子に乗って俺たちにまで手出したのは失敗だったな……と付け加える。しかももうほとんど倒れているからと注文した品にまで手を出したのはまずかった。おかげでこちらに知られる羽目になったのだから。
「なるほど……で、店員さん、動機は?」
「単に食いたかったからだろ」
「そんなんじゃない!」
フォルトに押さえ込まれている店員、わりかし大きい声で反論する。
「俺は毎日毎日安い給料でこき使われ食べ物を山のように運んで……でも俺は一つも食べられない! あのケチ店長バイト全然雇わなくて仕事全部こっちに押し付けやがって! 理不尽だ、不公平だ、差別だ! どうして、どうして俺だけ食べられないんだあ!」
「……それが動機かよ」
二人揃って溜息をついた。同情して欲しいのかもしれないが全くそんな気になれない。
「弁護士さん、一応労働基準法違反ってことでここの店長訴えたら?」
「やだよそんなの引き受けたくない」
「くそう、くそくそう!」
坊主頭ついに泣き出した。ああ面倒くさい。
「というわけだそうです、皆さん」
「え?」
坊主頭が振り返ると、死屍累々としていたデザイン会社の皆さんが鬼の形相で立っていた。
「そんじゃこいつ引き渡しますんで、あとは煮るなり焼くなりご自由に。帰るぞ、日向」
「あいよ」
「え? ちょっと待てなにそんな軽く、あ、すいません悪かったです二度としません許してくださいごめんなさいさんきゅーべりまっちってこれ感謝する時のセリフだ何言ってだ俺アハハってすいません悪ふざけが過ぎましたあああおまわりさーん!!」
悲鳴をBGMに店から出て行く。店の従業員はみんな坊主頭殴りに行ったので勘定しようにもできないのでツケとのこと。
「やれやれ、付き合ってらんねーな」
フォルトを呆れ顔を横に見ながら、日向は恐る恐る聞いてみる。
「フォルト、お前いつから気付いてた?」
「? 何に」
「あの店員が怪しいってことにだよ」
「最初からに決まってんだろ。正確にはイカ刺し注文した時かな。あの間違え方があまりに自然だったから、注文増やすクセでもついてるのかなと変な想像してたんだが、思わずビンゴだったってだけだ」
つまりあの店員は前々からこういう水増し行為をやっていたということになる。多分クビだな。
「しっかし、見事に裏かかれちまったなあ。お前の言うとおりだよ。最近変なことばっかだったからいつの間にかそれが普通に思えて、どんな不条理なことも自己完結するクセがついてた」
「慣れってのは恐ろしいな。そのクセ治しておいたほういいぞ。何事も最初は疑うクセを身に着けておかないと、詐欺とかに引っかかる」
「そうするよ……」
――でも、あんたの存在も含めて、今の現実が俺には詐欺(ファンタジー)っぽいんだけど。
そう言いたいのを必死に堪えて、日向は帰路についた。
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