場所についても、onは「接触している」が基本だと述べました。時間についてもそれは言えるのです。 それでなくても、時間についてのonは比較的単純に覚えられます。【on+「日」】という図式がほぼ確定的ですから。曜日でも、日付でも、特定の日(誕生日やバレンタインデーとか)でも構いません。 接触のイメージをこれにあてはめると、いわば、カレンダーの日付のところに予定がポンと書いてある、という感じでしょうか。その日のうちの何時頃…というのはとりあえずここでは視野に入りません(on Saturday night, on Monday morning、のように朝昼晩を指定することはあります)。
ある「範囲」の中にある「in」→ in +年、月、週、季節、午前午後など
場所については、inは「囲まれている」または「ある『地域』の中にある」というイメージでした。時間についても同じく、「ある『時間範囲』の中のいつか」という感じです。onと違って、「接触して固定されている」イメージではなく、その範囲内で流動的な感じ。 in (the) summer→ 夏の間のいつか in the second week of August→ (8月第2週の間のいつか) in the morning→ 午前中 (深夜0時から正午までの間のいつか) (流動的、と言っても、予定が決まっていない、という意味ではなく、話し手が細かい時間や日にちまでは言及していないということです) ただし、【in + 時間の長さを表す語】の場合は、今(またはある時点)から「それだけ経ったとき」を示しています。 in two weeks→ 2週間後、2週間経って She got her driver’s license in two weeks.彼女は2週間で運転免許を取った。 I’m going to be twenty years old in a month.あと1ヶ月で20歳になります。
+時刻は、まあ分かりやすいでしょう。 at 9:30とか、at noonとか。それから at the end of May at the beginning of July これもまあ分かるかな。 (ただし in the middle of Juneinは「囲まれている」だから当然ですね)
at dinner これはどうでしょう。 dinnerが一瞬で終わるわけではないですよね(^_^;)。でも、別に時間の長さとかを意識はしていない。これがポイントです。実際の時間の長さはあったとしても、それを意識していない。意識しているのはむしろ、その「機能」です。 単純に言えば、日本語の「~のとき」というのに一番近いのが atです。 (ちなみに、場所で言っても「~のところに」という訳がたいがいピッタリ来るのがatです)
もうひとつ例を見ましょう。 at Christmas「クリスマスのときに」 これは、on Christmas とはちょっと違います。on Christmas は、「12/25に」という意味です。ですが、at Christmas は、その日だけとは限りません。欧米ではクリスマスが大事で、2ヶ月も前から準備にかかる人もいます。その人にとっては、「クリスマスの時期」は2ヶ月もあるわけです。いつからいつまで、とはっきり期間が決められない。でも、クリスマスという、いわば「機能」に着目して「~のとき」と言っているのです。「~に際して」などとも言えるでしょう。これは、場所についてもat schoolやat work と言う場合と全く同じ発想です。
at は、時間の具体的な長さに着目しない「点」、そして「機能」に着目する前置詞なのです。
では at night は? 私もはっきり分かりませんが、言語が成立したぐらいの大昔は、夜になってしまうとほとんど人は活動できなかったでしょう。だから夜の時間を「なにかするための長さのある時間」と捉えにくかったのでは、と考えます。evening ならまだ活動できたから in the eveningと言えますけれどね。
さて、以上のように説明しても「ややこしい」ことには変わりない!と思われるでしょうね。 ですが、「基本イメージ」を意識するのはやっぱり大切なのです。 基本イメージを意識した上で、あとは様々な例を暗記して下さい。暗記、といっても、アタマで暗記するのではありません……というと妙ですが、「口に」暗記させるつもりで。つまり、in the morningとかon Sundayとか典型的な例を、それがあたかもひとつの単語であるかのようにリズミカルに発音して、口に慣らしてしまうのです。 イメージを意識しつつそれをやると、こんどは逆に、例を意識することでイメージが強化されてきます。