野分のあと

野分のあと  2001年秋

 また、はじめの年に話を戻そうと思う。
台風15号だったと記憶しているが、私の住んでいるあたりに上陸した台風があった。一晩中暴風雨が吹き荒れ、看板だとか一斗缶だとかが家の前をガランガランと転がっていった。

 朝、家の回りを点検して、コンポストのフタがないことに気付いた。

コンポスト本体も、マルチングの新聞紙も、みみずも無事なのに、フタだけがない。一応周辺を探してみたが、ない。きっとどこかへ飛ばされてしまったのだろう。ガレージの中だからと油断していたが。
 飛ばされていった先がどこかはわからないが、見つけた人もまさかミミズ箱のフタだとは思うまい…とぼけっと考えた。

 仕方ないので、コンポスト容器を売ってくれた「相模浄化サービス」に電話をかけ、「コンポストのフタを台風で飛ばされました…」と言って、フタだけ送ってもらう事にした。フタが届くまではダンボールを被せておくよう言われたので、そのようにした。

数日後フタだけが送られてきた。なんと、無料にしてくれた。
フタを包んであった紙に「みみずさんによろしくね(ハートつき)」と書かれていた。

それから台風の時には、コンポストの上にブロックを置いている。

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