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「(彼女は未だ見せない手を幾重にも持っているでしょうねぇ、全く・・・)」
(・・・ですが、恐らく彼女はこの霧の中で動いてはいないでしょう、一点で二重三重に仕掛けた罠で私の動きを操るつもりでじっと・・・・・・)
(ふふっ、あのグレーの機械っぽいの、見た目は変だけど少しは頭の回る相手みたいね・・・・・・)
(でも無駄無駄・・・此処は既に私の舞台上・・・・・・勿論脚本・演出・主演は私、貴方は私を盛り立てる三流役者・・・・・・そのまま踊り狂い果てるのよ!)
(とりあえず攻撃を凌ぎながら接近するとしましょうか・・・!)
あら、柱に隠れてチャンスを窺うつもり?・・・でもそんな余裕をあげる程、お姉さんは優しくないわよ!
――!?またあの厄介なナイフですか!
ほらほらぁ、今度はワイヤーでのマリオネットダンスよ、ふふっ♪
それなら稀代の魔術師の方が良いわ、勿論観客は全員あの世逝きだけどねっ♪
それは面白い話で・・・!
ですがそれは叶えられません、何故なら私が総ての種を暴いて差し上げますから。
可愛くない反応ね、でもだからこそ燃えてくるわ・・・ こんな風にね!!
グッ・・・時限式の火薬で一度放ったナイフの跳躍とは、本当に器用な真似をする――
ですが、これで貴女の居場所は完全に見えた・・・・・・これで終わりです。
へぇ、がむしゃらに偶然近付いていたワケじゃなかったんだ、見直したわ、灰色の騎士さん―――
でもね、私の舞台から降りるのにはまだ早いわよ!!
何・・・?
これが本当のクライマックスよ!! 刃の牢獄《MESSER GEFAENGNIS》!!!
(これは、彼女が今までに放っていた総てのナイフ・・・・・・成程、これが彼女のチェックメイトの手ですか)
360度全方位からのほぼ同時攻撃、貴方にこれが凌げるかしらぁ!?
貴女も大した曲芸ですねぇ・・・・・・ データエンチャント、重力《GRAVITY》。
ッ!?
何これ・・・・・・立って、いられない・・・!?
じ、重力・・・?
我が魔典アルケミスは私自身が記した大規模な魔術、または過去に見た偉人の技や能力を任意に発動させる事を可能とします。
に、人間技じゃない・・・非常識にも程が・・・・・・。
えぇ・・・総てを完璧に計算された戦闘法の貴女を倒すには此処一番のイレギュラーが得策ですから。
尤も、少しでも悟られない様に念を入れて魔典に予め蓄えた魔力でのみ発動しているので・・・。
(ブツッ)
―――ッ!?
そろそろ魔力が切れる頃合なので四肢の腱を斬らせてもらいました、これで反撃はおろか、逃げる事すら出来ませんねぇ。
お、お願い・・・何でもするから、殺さないで・・・・・・。
ほぅ・・・・・・。
(私がこんな奴に痛め付けられるなんてお笑い種ね・・・でも私の能力にして究極の武器、『誘惑《APPLE MEAD》』の前には誰であろうと私の虜・・・・・・)
「(そして付け入る隙さえあれば――)」
命乞いですか・・・貴女も運が悪かったですねぇ、他の二人と違って私はフェミニストではありませんから。
なっ・・・そんな、有り得ない!?私の『誘惑』が効いていないなんて・・・!?
ほぅ?そんな手もあったのですか、ですが私も一介の騎士を名乗る以上、守るべき御方以外には斯程の興味もありません・・・ さぁて?
ひぃっ・・・!?
今は怖がる必要はありません、そう楽には殺しはしませんから。
それよりも・・・私が飽きるまで甚振ってあげましょう、貴女の"今まで"を清算出来る程に、ねぇ・・・・・・。
(まさか、私の『誘惑』が別のベクトルに働いて・・・!?)
や、やめて・・・・・・ いやああああああ!!!
[Femme Enfant]Terminal 2012.08.30
Femme Enfant:あとがき 2012.08.30
Femme Enfant:第十九話 2012.08.30
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