クレセントムーン4


「実はな・・昨日・・」
「お?あそこの電気街パソ半額セールだってよ!行こうぜ」
薙を無視して走りだす雄志。
「でさ・やっぱり。。って雄志?あの野郎完全なるシカトをかましてくれたな」
真剣に話をしていた薙は雄志が聞いていなかったことに気付き拳を握り締めながら仕方なく追い掛ける。
「ぜぇぜぇ。雄志・おまっ・げほっ」
追い付いたものの、ほぼ全力疾走だったため中々息が整わない。
「ん?薙、お前なんか言ったか?」
全く薙の話を聞いていない雄志。
「雄志!天高く音を上げて飛ぶ気はないか?」
拳を震わせながら睨み付ける。
「いや~。じょ・じょうだんに決まってるだろ」
苦笑をしながら まぁまぁと薙を落ち着かせた。
「で、昨日なんだって?」
いきなり話をふってくる。
「昨日の昼と夜に少女に会ってさ・それで」
薙は昨日出会った少女のことを雄志に覚えている限りを話した。
「ほ~う!それは何か?その娘が気になると?」
意味ありげな問いをされる。
「べ・べつにそんなわけじゃ・でも少し気になるかな・・とかな」
焦りながらなんとか答える。
「そんなに気になるなら本人に会って聞いてみればいいんじゃねぇの?」
チラシに目を通しながらの返事。
「だよな~。でもいつ会えるか、分からないし」
ブツブツ言っていると
「だぁ~。どうしてお前はそんなにマイナーなんだ?心当たりを探せばいいだろうが!」
雄志がいきなり大声をだした。
それに驚いた薙は思わず鞄を雄志に投げ付けてしまった
「うごっ・・薙・お前・何しやが・」
そのままその場に倒れこんだ。
後頭部を直撃ヒット!1ラウンド。KO勝ち。
「まぁ・どうであれ。お前しだいだよ」
頭を押さえながら起き上がる。
「それもそうだな。心当たりでも探すとするか」
しばらくの雑談後、雄志と別れて歩きだす。
「今日も寒いな」
ポツリと呟く。
野原からは虫達の演奏が止まる事無く響き続けるばかり。
「さて・・戻るか」
鞄を片手にまたゆっくりと歩きだす。。。


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