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颯HAYATE★我儘のべる
高天の観察日記 18~21
カンは世界進出ってやつをしていた。
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも操られている可能性が出てきた。
僕はどうしたらいいんだろう。
―――僕が操られていないってことは僕しか知らない。
でも思うんだけど、世界中でカンに操られていないのが僕だけだったら・・・僕の方が悪者になっちゃうよね。
だって僕だけが「変」ってことになると思うんだ。もう、この家だけじゃなく外でも安心できない。
学校だって・・・先生も操られているかもしれないし、カン本人かもしれない。
あれ、そうなると僕はカンに勉強を教えてもらっているってこと??
もしかしたら、僕が勉強した全てはカンから教えられたってことかな?
じゃあ、もしもカンが嘘を教えていたら・・・どうする?
カンは僕が「変」じゃないってことを知っている。もしも「変」じゃないのが僕だけなら嘘を教えているかもしれない。
あれ?そうだったら、僕も操られているってこと??「変」ってことになっちゃうんじゃないの?
「僕は操られていないけど、操られている先生が嘘を教えて、カンの言うとおりに僕を動かしていたらどうなるの?」
高天の心は不安でいっぱいになり、どんどん訳のわからない妄想で膨らんでいった。
NYのお祖父ちゃんだって操られているんだから、先生が違うとは言い切れないよね。
ううん、お祖父ちゃんよりも可能性は高いと思うんだ。だって同じ国にいるんだもん。
本当に操られているのか、わからないけど確かめないといけないよ。
今まで僕の家族だけがカンにヤられているんだと思っていた。
まさか、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんまでとは思ってもみなかった。
―――あれ? お祖父ちゃんとお祖母ちゃんは一緒に住んでいないけど、僕の家族だよね。
それじゃ、やっぱり僕の家族だけがカンに操られているのかな?
でも、そうなると西田は操られてないってことだよね・・・。
西田はカンっていう奴を知らないから、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんがカンに操られているなんて考えないのかも。
どうしよう、教えてあげた方がいいのかな。
う~ん・・・でもさ、西田が操られてないって証拠もないんだよね。
「あ~!!! 全然わからないよっ!!!」
高天は思わず、頭を抱えて大声で叫んでいた。
本当にどうしよう―――。
そのとき、部屋の戸をノックする音が聞こえた。
「誰!?」
そう問うと、戸が開き、顔を覗かせたのは・・・お父さんだった。
「―――うるせぇな。何がわからねぇんだ。言ってみろ。教えてやる。」
どうやら、僕の叫びが聞こえたらしい。
「ほら、言ってみろ。この天才、道明寺司様が教えてやるって言っているんだ。早く言え。」
―――もう!!お父さんには言えないよ。だってカンに操られているんだから!!!
一番、相談なんかできないんだよぉ~!!
高天はどうしようもなく、頭を抱えて机に突っ伏した。
FIN
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■高天の観察日記 19■
「ほれ、言ってみろ。」
僕が叫んだばっかりに、お父さんが『何がわからないんだ』と僕を責めたてる。
でも、言えるわけないじゃないか。お父さんはカンかもしれないんだから!
だいたい、お父さんに『お父さんはカンに操られているんだよ』なんて言ってどうなるの?
高天は司の刺すような視線に見据えられながら、必死で考えていた。
「何とか言え。何がわからないんだ。この司様が教えてやると言っているんだ、早く言え。」
―――司様って・・・そう言えば、さっきも自分で自分のことを天才って言っていたなぁ。
お父さんって変――――やっぱりカンに操られているから、変なのかもしれない。
でも、お父さんはいつだって俺様とか言うし、カンとは関係ないのかな?
いや、でも普通はそんなこと言わないよ。だって学校の先生も言っていたもん。日本には謙遜って言葉があるって。
謙遜って何かわからないけど、自分のことを偉いなんて思わないことだって先生が言っていた。
お父さんは謙遜っていうのを知らないんだ。1年生の僕だって習ったんだから、お父さんだって知っているはず。
それを知らないのは、やっぱりカンだからかもしれない。きっと宇宙には謙遜って言葉がないんだと思う。
―――でもお父さんは・・・いつから俺様なんて言っているのかな?
僕がすっごく子供の時から俺様って言っているよね。お母さんだって「お父さんは俺様だから」と言うことがあるし。
じゃあ、そんなに前からカンに操られていたのかな。
あ、もしかしたら―――カンがお父さんの身体を乗っ取っているのかもしれない!!!!!!
「高天?おいっ!お前、大丈夫か?」
お父さんが何か言っている。どうしよう・・・きっとお父さんはもうカンに乗っ取られているんだ。
前にテレビで見たことがある。宇宙人が人間の身体に入り込んで地球人として暮らすんだ、そして正体を知った人を消していく。
消された人は一体どこにいったんだろうって思っていたけど、もしかしたら、宇宙に送られたのかもしれない。
そしてきっと、実験されているんだ。宇宙人が地球人になるためにきっと・・・解剖とかされているのかも。
もしかしたら、仮面○イダーみたいに半分機械とかにされているかもしれない。
でも仮面○イダーだったら、とっても良い人ってことになるよね、だって地球を怪獣から守っているんだから。
カンは絶対にそうじゃないと思う。地球を自分のものにしようとしていると思う。
ど、どうしよう・・・
高天は司の問いに答えることができず、ただグルグルと考え込んでいた。いや、妄想の世界に入り込んでいた。
「高天! お前・・・本当に大丈夫か?」
司はなぜか真っ青になっている息子をさすがにおかしいと感じ、心配そうに手を差し伸べた。
「う、うわああああっ! 触るな~!!!」
高天はその手を払いのけ、必死で司の脇をすり抜け、全力で部屋を後にした。
部屋に残ったのは、何がなんだかわからない司一人―――。
「ってぇ・・・何だ、アイツは」
司は叩かれた手をさすりながら、呆然と息子が走り去ったドアを眺めていた。
「いったい何だってんだ。俺様がせっかく勉強を見てやると言っているのに、あの野郎!」
司は眉間に皺をよせ、幼い息子に対してグチっていた。
しかし、『触るな』って・・・俺はバイキンか? いったいアイツは何を考えているんだ?
司はため息をつき、部屋を出て行った。教える相手がいなくなったのだから仕方がない。
「それにしても、本当にアイツは誰に似たんだ? あの落ち着きのなさは、絶対につくしだな。」
FIN
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■高天の観察日記 20■
恐ろしいことに、我が家は宇宙人?に支配されている。親玉のカンはなかなか正体を現さない。
外国にいるお祖父ちゃんやお祖母ちゃんまでカンに操られているみたいだ。
もう僕はどうしていいかわからない。頼みの綱のモリダーやスキリーも今となってはカンの手下となっているかもしれない。
僕は孤独だ―――。孤独って一人きりってことなんだって。だから僕は孤独だ―――。
お兄ちゃんもお姉ちゃんもたぶんカンに操られている。楸はわからないけど、赤ちゃんだから役に立たない。
お父さんは絶対に操られているし、お母さんもお父さんとずっと一緒だから絶対に操られている。
うちは完全にカンに乗っ取られているみたいだ。乗っ取られている・・・意味はよくわからないけど。
「タマ、どうしたの?」
慌しく動き回る使用人に戸惑いながら、そこに杖をついて立っていたタマに聞いてみた。
「旦那様が戻られるんですよ。先ほど突然電話がありましてね。」
「旦那様?」
「坊ちゃん・・・旦那様はおじい様ですよ。」
「・・・お祖父ちゃんっ!?外国から来るの?どうしてっ!?」
大変だ!!ただでなくてもカンのせいで味方がいないのに、これ以上カンの仲間が増えたら僕はどうしたらいいんだろう。
どうしよう、どうしよう、どうしよう~!!!!! 高天は頭を抱えて蹲った。
「坊ちゃん、具合でも悪いんですかね? 腹でも出して寝ましたか?」
―――もしかしたら、タマはカンの仲間じゃないかもしれない。だっていつもと同じだもん。
ちょっとだけ超能力がある人間なのかもしれない。前も変なことを知っていたし・・・普通の人間じゃないのは確かだけど、カンとは違うかも。
でも、どうやったらそれがわかるのかな。タマがカンとは関係ないってどうしたらわかるんだろう。
高天はタマをじっと見つめ、思案にくれていた。タマは視線を受け止め、ただ『また変なことを考えているんだろう』と肩をすくめた。
「坊ちゃん、そこに蹲られると邪魔ですよ。部屋にでも行っていてください。」
タマはひどい。僕がこんなに思い悩んでいるのに邪魔なんて言うんだ・・・
「タマはカンじゃないの?」
高天はつい正直に思ったことを訊ねていた。
うわっ!!! 前にもこんなことがあったのに~、僕ってば一体何をしているんだ~!!!
「カン・・・もしかしてまだカンを探しているんですか?」
タマはそういうと盛大に肩を落とし、ため息をついた。
「私があげた辞書はどうしました?カンを調べなかったのかい?」
「調べたよ! 調べたけど、カンっていっぱいあったんだよ!どれが僕の探しているカンかわからなかったんだ!」
高天は少しだけプライドを傷つけられ、大きな声で反論した。
「そうかい、それは確かにそうかもしれないね。私が悪かったね・・・」
今度は小さくため息をつくと、少し深呼吸をしてタマは続けた。
「いいかい、坊ちゃん・・・・カンって言うのはね」
高天はドキドキしていた。ついにカンの正体がわかる!!!!タマの言葉に耳を傾けながら、無意識に胸を押さえていた。
カンって言うのはね・・・何!?
「う、うん・・・」
高天がそう返事をしたとき、大きな声が響き渡った。
「旦那様が到着されました!!!」
「おや、もうお戻りかい。じゃ、出迎えないとねぇ」
タマはそういうと、言いかけたまま踵を返して高天の前から去っていった。
え・・・ちょっと、待ってよ!カンって一体何者なのさ!!高天は思わず、タマを追いかけた。
玄関先に並ぶ使用人達の先頭に杖を着いて立っているタマに向かって大声で叫んだ。
「タマ!カンって結局何者なんだよ!!!!」
僕の声は静かにお祖父ちゃんを待っていた使用人たちを全員振り向かせるほど響いた。そしてその瞬間にお祖父ちゃんが家の中に入ってきたんだ。
「―――何事だい?」
「お帰りなさいませ、旦那様」
冷静に主を出迎えたのはタマだけだった。タマの声に他の使用人たちが慌てて頭を下げる。
「やあ、タマ・・・久しぶりだね。相変わらず元気みたいで・・・何よりだ。いったいいくつになったんだ?」
「―――女に年齢を聞くもんじゃありませんよ」
タマはそういうとニッと笑った。まるで妖怪みたいだ。僕は心の中でそう思ったが、口には出さなかった。
「ところで・・・今の大声は高天か?」
「そうですね。なんでもカンの正体が知りたいと言うもんでねぇ・・・カンの意味を教えている途中だったんですよ。」
タマがそう言うとお祖父ちゃんは一瞬、眉を顰めた。なんでだろう。
「カン・・・。まだ意味は教えていないのかい?」
「ええ。まさに言おうとしたときに旦那様がお戻りになられたんでね、そのままですよ。」
「そうか、それは良かった。ちょうどいいタイミングだった。」
「・・・は?」
お祖父ちゃんの言葉にタマはキョトンとした顔をしている。だがタマは人の心が読める(たぶん)からお祖父ちゃんの心を読んだんだと思う。
しばらくして大きく頷くと「そういうことですか」と言っただけだった。
何が「そういうこと」なのか僕には全然わからない。だから僕は聞いた。当然だよね。
「高天、わからないことは人を頼らず、自分で調べなさい。」
「・・・タマに貰った辞書で調べたけど、わからなかったんだもん」
「じゃあ、違うやり方で調べなおしなさい。」
お祖父ちゃんはカンかもしれないから、こんなことを言うんだと思った。きっとタマに正体をバラされると困るんだ。
僕はジリジリと少しずつ後ろに下がった。早くここから逃げよう。お祖父ちゃんは絶対にカンの仲間だ。
そうじゃなきゃ、自分で調べろなんて言うはずがない!!!
僕は振り向いて、必死に走った。そして自分の部屋に飛び込んだんだ。これで安心だ。
お祖父ちゃんが家にいる間はなるべく隠れていよう、僕も操られたら道明寺家は終わりだ・・・。
高天は決意も新たに力強く頷いた。(すごく検討ハズレだけど・・・)
「旦那様の人が悪いですね。高天坊ちゃんで遊んでいるんでしょう?カンのことを知っているんですね。」
「ああ。NYまで電話してきたんだよ、道明寺家の一大事だってね。可愛いじゃないか。」
英はそう言うとタマに意味ありげな笑顔を見せた。
「まったく・・・本当に人が悪いよ。道明寺家の人間は悪趣味だねぇ、孫で遊ぼうなんて可愛そうだよ。」
「司のときはこんなことなかったからね。まさか高天がこんなに楽しいことを考えているとはね。脳の中を覗いて見たい気がしないか?」
「そうですね。こういう妙なことを考えるところは司坊ちゃんに似ているのかもしれないねぇ。榊坊ちゃんはどちらかというと思考はつくしに似ているからね。
椛嬢ちゃんは司坊ちゃんみたいに大胆だが、つくしが育てただけあってまともな思考をしているからね。」
タマが大胆にもそう言い切ると、英は顔を顰めた。
「おい、タマ・・・それは私と楓の育て方に問題があるってことか?司が失敗作みたいじゃないか。」
「失敗とは言っていませんよ。実際、育てたのは旦那様方ではありませんからね、私と大半は椿お嬢様でしょう。」
「痛いところをつくねぇ・・・」
「間違ってないでしょうが。」
「確かにその通りだな。だからだろう、司のときにできなかったことを今やっているのさ。孫の成長を楽しんで何が悪い?あの可愛い発想をもう少し楽しみたいんだよ。」
タマはため息をついたが、笑顔で頭を振っていた。その動作は「しようがない人ですね」と無言で告げていた。
FIN
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■高天の観察日記 21■
タマはカンの仲間じゃないかもしれない。だってカンの正体を教えてくれようとしたし・・・
いや、でも嘘を教えようとしたかもしれない。まだ決断は早いよね。
お祖父ちゃんは完全にカンの仲間だ・・・だってタマの邪魔をしたもん。正体を知られたくないからだ!
じゃあ、やっぱりタマは本当のことを教えようとしていたのかな?
う~ん・・・謎は深まるばかりだ。お祖父ちゃんがカンの仲間なら、お祖母ちゃんもそうだと思う。
でもタマが違うとすると・・・もしかしたら、お母さんやお兄ちゃんは違うかもしれない。
お父さんは絶対にカンに操られていると思うし・・・どうなんだろう。
どうしたら確かめられる? 今まではタマは違ったかもしれないけど、今はもうカンに操られているかもしれない。
だって、僕に正体を教えようとしたんだから、きっとカンは怒っていると思うんだ。
タマを無理やり仲間に入れたかもしれない。テレビで言っていたけど、拉致って言うんだって。
きっとタマを拉致してUFOの中で実験とかしているんだと思う・・・。
そうなると・・・タマは僕のせいでカンに拉致されたってことだ!!! どうしよう!!!
やっぱり、今からタマを助けようとしても遅いのかな? もしかしたら、まだ間に合うかな?
でも、どうしよう、本当は最初からカンの仲間かもしれないし・・・違うかもしれないし・・・
高天はしばらく考えていたが、パッと顔を上げるとタマの部屋へ飛んでいった。とにかくタマと会ってみよう!
高天は部屋の前でノックを躊躇し、ウロウロと歩きまわっていた。
「坊ちゃん、何をしているんだい?」
突然、後ろから聞こえた声に高天は飛び上がった。タマは部屋にいなかった、仕事をしていたらしい。
「タ、タマ!!」
「何をそんなに驚いているんだい・・・まったく」
ドキドキする心臓を押さえながら、高天は大きく息を吐き出した。
「タマが突然現れるからだろ!?」
「・・・ここは私の部屋だからね、私がいて何かおかしいですかね?」
そういわれてみれば、ここはタマの部屋の前。タマと話をしようとやってきたことを思い出した。
「タマ・・・さっき話してたでしょ、あれ・・・」
高天はおずおずと話しはじめた。とにかくカンの正体を知りたいし、毎日緊張の連続から開放されたかった。
「ん?さっきの話ってなんだい?」
―――タマは覚えていない!!!!! 高天は大きく喘いだ。遅すぎたんだ!!!
タマはすでにカンに洗脳されてしまった。UFOに連れて行かれたんだ!!
お父さんもそうだった、カンのことを覚えていなかったし・・・タマも同じだ!
自分が言ったことを覚えていないなんて、カンの仕業に違いない。
「どうしたんだい?」
高天はタマをじっと見つめて、少しずつ後ずさりしていた。
「坊ちゃん?」
「タマ、ごめん!!!僕のせいだね・・・でも、きっと助けるから!!」
高天はそれだけ言うと、その場から一目散に駆け出した。とにかく部屋に戻って、これからのことを考えなくちゃ。
部屋に戻ると高天は息を吐き出した。やっぱり誰も信じられない。
もう僕以外にカンに操られていない人間はいないのかもしれない―――。
そうなると、学校にも行けない。学校でもカンに見張られているに違いない!
どうしたらいいんだろう。この家は完全にカンに乗っ取られたんだ・・・!!!
高天は優しく楽しい両親を思い出し、涙を流した―――(いや、死んでないから)
普通に見えても、お父さんもお母さんもカンに操られているんだ。お兄ちゃんもお姉ちゃんも・・・
楸はわからないけど・・・赤ちゃんだから、どうでもいい。だって『あ~』とか『う~』しか言わないから何もわからないもん。
お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも操られているし、西田もたぶん操られている。
だから、この家の使用人だってカンの仲間に違いない。タマだって洗脳ってヤツをされたんだから緒方さんだってカンの仲間だ。
何を信じたらいいんだろう、もうわからないよ―――! 高天はベッドに突っ伏して頭を抱えた。
タマは慌てて立ち去る高天を見て、大きなため息をついた。
おそらく、高天坊ちゃんはまた変なことを考えているんだろう・・・。
本当にこのままでいいのかねぇ・・・旦那様は自分で調べるべきだと言うが教えた方がいいんじゃないかねぇ。
まったく、高天坊ちゃんはおもしろいよ。
何で勘をカンという宇宙人だと思えるんだろうか。その発想は個性的で司坊ちゃんに似ている気もするが・・・
だが、司坊ちゃんよりは常識的な部分があるから―――余計に厄介で変な考えを持つのかもしれないね。
「どうしようかね・・・」
タマは旦那様の言うことに従い黙っているべきか、カンとは何かを教えるべきが頭を抱えた。
カンは二人の人間の頭を悩ませ、それでもまだ―――正体不明。
FIN
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