颯HAYATE★我儘のべる

颯HAYATE★我儘のべる

司: 最高の幸せ




つくしが倒れた・・・連絡が入ったとき、俺は会議中だった。

だが、そんなものはどうでもいい。 つくしが倒れたんだぞ!!

大事な会議中、通常なら電話は取り次がない。だが、秘書が緊急を感じ取って繋いでくれた。

出来た秘書でよかった。 秘書の給料を上げてやってもいいと思った。

電話の相手は、桜子だった。 一緒に買い物に出ていたが、店で突然倒れたらしい。

そういえば、今日は朝から顔色が悪かった。 いや、昨日だって顔色が悪かった。

アイツの「大丈夫」という言葉なんか無視して、無理やり医者に見せるべきだった!

俺はつくしが運ばれた病院に向かいながら、不安でたまらなかった。

俺たちはやっと3年前に結婚したんだぞ。 やっと幸せになったんだぞ。

このままじゃ、あの女との地獄の生活の方が長いじゃないか・・・死ぬなよ、つくし!!!

俺はこれ以上はないほど、運転手を急がせていた。 

車の中で、急に思い出して小学校にも電話をした。 榊と椛も病院に連れて行かなければ。

電話は即座に校長につながり、二人を早退させてくれるということだった。

「うちの運転手をそちらに向かわせます、待っているように言ってください!!」

怒鳴るように言って電話を切った。 ああ、つくしが倒れるなんて・・・

いったいどんな病気なんだろう。 アイツは大病をしたことはない。

倒れるなんて、とんでもないことだ。 きっと最近ずっと体調が悪かったに違いない。

アイツはすぐに無理をして、元気なふりをする。 自分の体のことなど何も考えない。

ああ、どうしよう。 つくしがこの世から消えたら・・・。

俺も生きてはいられない。 いや、アイツを死なせるもんか!!!

そうだ、どこの病院だった? 診断結果次第ではその病院を潰してやる!!!

司の頭の中はつくしを失うかもしれないという不安でいっぱいだった。




病院に着くと、目に入った看護士に怒鳴った。

「道明寺つくしの部屋はどこだ!!」

怒鳴られた看護士は目をパチクリとさせて、でも冷静に答えた。

「・・・最上階にいらっしゃいます・・・」

俺はエレベーターに乗り込み、最上階を目指した。 

つくし、待っていろよ、俺がついているぞ!!

最上階につくなり、俺はエレベーターのドアをこじ開けた。 ゆっくり開くのを待っていられなかった。

最上階には部屋は一部屋しかなかった。 病院もつくしを特別室に入れてくれたようだ。

「つくし!!!!!」

部屋の戸を開けるなり、俺はつくしのベッドを目指して走りこんだ。

ベッドの脇では、桜子が嬉しそうに笑っていた。 つくしも横になって頬を染めている。

大丈夫なのか・・・?

「つくし、大丈夫か? 俺が来たからにはもう安心だぞ。」

「安心って・・・アンタ、医者じゃないでしょ?」

「顔色は朝より良くなったな。 いったいどんな病気なんだ?」

俺が聞いた途端、桜子がクスっと笑った。

「道明寺さん、先輩は・・・」

言いかけたときに医者が入ってきた。 俺はそれを見て、医者の胸倉をつかんで揺すった。

「おい! つくしは大丈夫なんだろうな!? 死なせたりしたらただじゃ済まねぇぞ!」

「道明寺!!! 何をしてるの! 離しなさい!!!!」

つくしは怒ると俺を昔のように道明寺と呼ぶ。 つくしが怒っている・・・その事実が少し嬉しかった。

怒る元気があるなら、大丈夫だよな。 そう思ってニヤリとした。

俺が手を離すと医者は大きく息をはいて、白衣を整えた。

「道明寺さん、奥様は病気ではありません。 大丈夫ですよ・・・」

その言葉で俺はまたこの医者を殴りたくなった。 病気じゃないだと!?

病気じゃないなら、なぜ倒れた? 倒れたってことは何か病気に決まっている!

「つくし、病院を変わるぞ。 こんなやぶ医者のとこじゃダメだ。」

「・・・道明寺・・・いい加減にしなさいよ・・・」

「道明寺さん、落ち着いてください。 先輩は大丈夫ですから。」

桜子がニヤニヤして言った。

「道明寺さん、奥様は病気ではありません。 妊娠されてるんですよ、妊娠・・・4ヶ月です。」

・ ・・妊娠? つまり・・・赤ん坊?

「司、大丈夫? 私、赤ちゃんが出来たみたい。」

俺とつくしの赤ん坊・・・マジ? やっと、やっと念願の子供が!!

榊と椛のときは何もできなかった。 お腹の中で育っていくのを見ることができなかった。

俺もつくしと一緒に成長を見られる・・・その赤ん坊ができたのか?

「・・・子供・・・」

「そうですよ、道明寺さん。 おめでとうございます。」

桜子のお祝いの言葉も微かにしか聞こえなかった。 俺の子供だぞ!?

「や・・・やったぁ~!!!!!!!!」

俺は病院中に聞こえるのではないかというくらいの大声で叫んだ。

「「・・・おとうさん??」」

そこに丁度、榊と椛がやってきた。 俺の狂喜乱舞に目を大きく開けて驚いている。

「榊、椛、赤ん坊だ!! お前らの弟か妹だ!」

二人は顔を見合わせて、大きく頷きあった。

「赤ちゃんができたの? 赤ちゃんができたから倒れたの?」

俺は榊の言葉につくしが倒れたことを思い出した。 妊娠して倒れる?

「そうなのか? 妊娠すると倒れるのか?」

「・・・そんなわけないでしょ!! 最近、気分が悪くて食事を殆どしていなかったから、

めまいがして倒れただけよ!! 原因はつわりだったの。 もうわかったから無理してでも食べるから大丈夫。」

「そうです、先輩ってば、つわりがあるのに妊娠を疑ってもいないんですから。

普通は2ヶ月か3ヶ月で気づきますよ、それが4ヶ月って・・・今まで気がつかない女性も珍しいですよ。」

桜子は多少、呆れ顔で言った。 

「そうなのか? もう大丈夫なんだな? お腹の子も大丈夫・・・なんだよな?」

「もちろん、大丈夫よ。 司、元気な子を産むから大丈夫、心配しないで。」

「お前が無事なら俺は・・・それでいいぞ。」

「ありがと。 それにしても私も本当に鈍いよね。 生理が来ていないのに、全然妊娠なんて考えてもいないんだから。」

「・・・お前は昔から鈍いし、鈍感だ。」

「なにそれ。」

「そうです、先輩は鈍いし、鈍感です。 4ヶ月なんてありえませんよ。 

生理が来なくて、気分が悪い。 妊娠じゃないなら、いったい何! 先輩って本当に女ですか?」

桜子の言葉に少しだけムットしたが、怒りは胎教に悪い。 つくしはグッと堪えて怒りを抑えた。






異常などないので、即日退院のはずだったのに、司は無理やりに入院させた。

倒れたのだから、動かない方がいい。そう言って・・・自分もなぜか一緒に入院?

特別室で、並のマンションよりも絶対に広いので泊まる場所はいっぱいある。

司が泊まるとわかった途端、榊と椛も泊まると言い出し、一家で“病室”に泊まった。

病室なんだよ・・・ここは。

「ね、お母さん・・・男かな? 女かな?」

椛が嬉しそうに聞いた。

「椛はどっちがいいの?」

「女の子! 妹ができたら、私が面倒みてあげる」

・ ・・つまり生身のお人形がほしいのね・・・そう思ったが口には出さなかった。

「ありがとう。でも男の子かもしれないよ。」

「・・・男の子は嫌。 お母さん、女の子を産んでね?」

「椛、どっちでもいいだろう? 弟でも妹でもかわいいに決まってるぞ。 俺とつくしの子供なんだから。」

「お父さん、僕は弟がいい。 女の子はつまんないよ。」

榊と椛は弟か妹かで言い合いをしながら、寝てしまった。

「司、司はどっちがいいの?」

「・・・どっちでもいいさ」

「そう?」

「どっちでもいいが、また双子ってのはどうだ? 今度は同性の双子がいいな。」




5ヶ月後、予定日より少し早めに生まれたのは・・・男の子だった。

生まれた瞬間から、完全に司に似ている男の子。

次の日、お見舞いとお祝いに来てくれたF3は赤ちゃんの顔を見たとたんに大笑い。

「「「つ、司にそっくり!!!!」」」

三人で声を揃えて言わなくても・・・でも、それくらいそっくりな男の子だった。

命名「高天」

みんなが帰ると司は愛しげに赤ん坊を見つめながら、私に言った。

「ありがとう・・・つくし」

「どういたしまして。 ・・・司、幸せ?」

「ああ、最高に幸せだ。・・・お前は?」

「幸せだよ!!!」

FIN


(鈍いし、鈍感・・・どっちも同じ意味じゃないのか? 自分でツッコミ!

でも、書き直さない。 だって、「~し、~だ。」って言葉にしたいけど、思い浮かばないから。)



よくわからないけど、高天誕生のお話でした。

そのうち、つくしが妊娠中の「司×つくし」を書いてみようかな。

凄く、司がつくしを過保護にしてそうな気がしますね。



© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: