Memorial flight days

Memorial flight days

04/04/10足尾クロカンチャレンジ2004



・大会初日 (43位 飛行距離記録 39.2km)
茨城県足尾での初めてのクロスカントリー(長距離飛行)大会参戦。
上昇気流を乗り継いで、どこまで遠くまで飛んで行けるかを競う大会。
クロスカントリー大会の醍醐味は特に目的地はなく飛行禁止区域を除けば東西南北どこに
でも飛んでいっていいこと。
冒険心の強い自分にとってはたまらない大会。
この大会に参加したいが為にクロスカントリー証の資格を取得。
大会当日もクロカンするには良い条件に恵まれた。
テイクオフ(離陸場所)に登ると、大会参加者のみならずフリーの人を含め足場がない程の
賑わい。

テイクオフ地点
足尾1.jpg

テイクオフの順番を待っている間に先発隊は高度を上げていく。
1.jpg

テイクオフすると自分もすぐに正面で サーマル(熱上昇気流) に乗ることが出来た。

ソアリング開始.jpg

 * サーマル(熱上昇気流)
 基本的に丸い形をしており半径数mのものから数十mのものまで様々。
 コアと呼ばれる上昇率が最大となる中心があり、出来るだけこのコアをつかむのが効率
 よく上昇する秘訣。
 コアから離れてしまうと上昇帯の外側は下降域である為下降してしまいます。
 サーマルも風によって東西南北に流される為、上昇し続ける為にはサーマルの強さを飛び
 ながら感じ取り、どこにコアがあるのかを捜し求め、サーマルの中心にとどまっていなけれ
 ばなりません。
 経験を積むと、頭の中にサーマルの形を描くようになり、サーマルの大きさによって旋回中
 のバンク(角度)を変えながら効率よく飛ぶようになります。
 大きいサーマルではバンクを小さくつまり旋回半径を大きくした方が上昇率が良く、小さい
 サーマルではバンクを大きくつまり旋回半径を小さくした方が上昇率が良くなります。
 学校の校庭の上で羽を羽ばたかせることなく、回りながら飛び続けているとんびを観たこ
 とがあるでしょう。
 普段はバリオメーターという機器を持ちながら飛んでいますが、上昇下降により音が変わ
 り、音のテンポによってサーマルの強さがわかるので便利です。

一気に1,000m以上高度を獲得
上昇中.jpg

今回足尾で飛ぶのは初めて。
エリア情報が全くないので上空で待機をし、他の機体に先行してもらい後を着いて行くことにした。

上空で待機中、下から次々に何十機もの機体が高度を上げてくる
足尾2.jpg

テイクオフ上空にて予想以上に高度を稼ぐことが出来た。
高度に余裕があるので、とりあえず先に北の方角へと進み、そこで他の機体を待つことに。
足尾から北に伸びる山の稜線先端に到達。
足尾の稜線先端から高峰の山へ渡るまでは平地が続いており、ここを独りで渡りきる勇気
がないことから他の機体が飛んで来るのを待っていたところ、30~40機の集団が一気に私
の上空を通過し始める。
遅れてはいけないと高度を稼ごうとするもなかなか上昇気流に乗れず、再度足尾テイクオフ
付近まで戻り上げ返すこととなった。
集団から一歩遅れたが、後に先方組がダミーとなってくれたことがエリアを知らない自分に
とっては後に幸いとなる。
高度を獲得し、テイクオフより10キロ地点の高峰へ向かう。

写真の奥に見える高峰山へ向け平地上空を移動中
足尾6.jpg

写真手前に見える山が高峰エリア(10キロ地点)
足尾4.jpg

途中で同じスカイ朝霧の仲間であるチャンプを発見。一緒に高峰まで移動することに。
足尾5.jpg

予想通り高峰までの平地上空を通過する際は高度がロスしてしまう。
途中でヒットしたサーマルを周りの機体と伴にガーグルを組みながら高度を稼ぐ。
周りの機体とともに他のサーマルを探しながら高峰に到達。
高峰到達後、一緒に移動してきた集団が大きく二通りに分かれ始めた。
高峰エリアより北に伸びる尾根に対し尾根東側を飛ぶ集団と西側を飛ぶ集団。
チャンプは西側のルートを進んでいったが自分は東側のルートを飛んでいくことにした。
途中、知り合いで大会に同行したT村さんの機体が高度を落とし消え去っていく。
サーマルに乗り切り暫く北へと進むと途中でサーキットらしき場所を発見。
後に調べたらツインリンク茂木であった。
このあたりには高い高圧線があり、サーキット上空のサーマルで高度を稼ぎ通過出来た。
茂木町あたりで次第に高度が落ちてしまい、あたりを見渡すとランデイング(着陸)していく
機体が次々に現れる。
自分もあと高度200~300mくらいという高さまで下がってしまうも、運良くサーマルを捕まえ
上げ返すことが出来た。
この辺りからは周りに機体はおらず、自分独りで進行方向を決めていくこととなる。
茂木の北にある那珂川に到達すると、前方には平地がほとんどない山岳地帯が見えてくる。
南北に3本の稜線が連なる山岳コース上空を飛行して行くか、あるいは山岳の西側を流れる
那珂川の河川上空を飛行して行くか迷った挙句、稜線の上にいけばサーマルにヒット出来る
可能性が高いだろうと山岳コース上空を北に飛行するルートを選択。

山岳コースに突入(35キロ地点)
足尾7.jpg

実際に進んでみると、前方遠くには何本もの高圧線が見える。
ランデイング場所も進むに連れ次第に狭くなっているのがわかった。
後に聞くとこのコースは男コースといい、降ろせる場所が少ないという理由で飛んで行くに
はかなり度胸がいるとのこと。
その名の通り、この後自分もかなりヒヤリとする経験をすることになる。
しばらく進んだ後に上空の風が強まり、尾根の上に出てもサーマルは強風の影響かほとん
どヒット出来ず。
次第に高度が下がり、距離を伸ばすのは諦め安全にランデイング出来る場所を探すことに
した。
稜線上空を北に進んでいたが稜線山頂より東側に高度が下がってしまった為、ランデイン
グ体制に入ろうと東側に向きを変えるも強風により前に進むことが出来ない。
やばい!!
東風強風で前に進まないどころか時にはバックすることも。
ブレークコードをリリースし、アクセルをフルに踏み込みフルグライド滑空。
しばらく前に進まず垂直降下状態。
自分の真下にある山は周りがほとんど木で覆われおり、無事ランデイングする為には東側
前方に見える木に囲まれた狭い畑に降ろす以外選択肢が無かった。
自分がツリーラン(木の上に落下)する姿が頭の中をよぎる。
あと50mでツリーランというところで、急に東風が弱くなり前方へ進み始めた。
これが昔講習生の時に習った ウィンドグラジェント現象 なのかな。
林と林の間の幅が15m位しかない畑になんとか降ろすことが出来た。

ウィンドグラジェント現象
 地面に近づくと急速に風圧が下がる(風が弱くなる)現象。着陸時に失速を招きやすい
 ので注意が必要。


ランデイング地点
足尾8.jpg

初クロカンに記念撮影
クロカン.jpg

機体をバックにしまい、自分が果たしてどこにいるのか調べる為地図を広げるも全くわからず。

とりあえず道路に出ようと歩いてみることに
ランデイング.jpg

機体を背負い林の中を歩いていくと道路を発見。
しばらく歩くと民家が見えてきた。
農家の方に自分が果たして何という町にいるのか、地図上のどこにいるのか尋ねることに。
教えて頂き自分の居場所がわかったものの、一番近い駅まで行くには10キロ以上歩かな
ければならないとのこと。
大きな荷物を背負いここまでどうやって来たのかと尋ねられ、茨城県の足尾という所より飛
んできましたと答えるも反応が無い。
恐らくリュックの中にしまってあるグライダーで40キロもフライト出来るなんて想像する人は
少ないでしょうから反応無いのもうなずける。
家にあがって休んで行きなということで、家に上がらして頂きお菓子をご馳走になる。
家には息子さんがおり、パラグライダーのことを知っていたことから1時間位話で盛り上がっ
たことか。
ここまで飛んできた経緯を聞かれたり、息子さんもパラグライダーに興味を持ち、近くにスク
ールがないか質問されたりと。
携帯電話も電波が届かない程の田舎であったため電話を貸してもらい大会本部へ連絡。
居場所を伝えると、大会の選手は近くにある茂木の道の駅に何人か集まっているとのこと。
民家の方がそのことを聞き茂木の道の駅くらいまでなら車で送って下さるとのこと。
何とも親切なのか、その言葉に甘えさせて頂くことに。

お世話になったおじさん達
足尾9.jpg

道の駅まで送って頂く
移動.jpg

茂木の道の駅到着
足尾10.jpg

茂木の道の駅にはファルホークの岡さん(1977年第1回鳥人間コンテスト優勝者)含め、たく
さんのフライヤーが待機していた。
有名な茂木アイスも食べられ、初めてのクロカンにしては大満足な1日でした。
ただランデイング時に味わった怖い経験。
クロカンする際はランデイング場所を常に意識しながら飛ぶことがいかに重要かを学んだ良
い経験となりました。
2日目は絶好のコンデイションに恵まれるも、初日の疲れでクロカンせず。
ちなみに今回の大会の優勝者は98キロも飛んだようです。
すごい!




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