しーくれっとらば～’S

悠季誕生日記念創作。

２月１１日
For 悠季 and LOVE

先週、圭から
「来週の水曜なのですが空いてますか？１日僕に付き合って欲しいのですが。」
と言われた。

「・・・んと、うん。何もないからいいけど？」
「Ｍ響のコンサートなのですが、マネージャーの真似事なんてやって頂けないかと思いまして。」

あ、そっか。そうだったね。
最近、出入り待ちする女性がいたりで困ってるって言ってたもんな。
「僕で良ければ喜んで。」
そう思ったから軽く答えてしまった。

当日・・・

僕は圭のマネージャーよろしく、彼のバッグや何かを持って。
と、言ってもなかなか持たせてくれなかったのを無理やり
「今日は君のマネージャーなんだから！」と言い張って、だったけどね。

会場のＭ響ホールには開演の何時間も前だっていうのに
人だかりが出来ていて、流石にトップのオケともなると違うんだな・・・なんて
事を思い知らされて、さ。

誰かが圭を見つけたらしく（そりゃあの長身だもの。簡単に見つけられるって。）数人のファンらしき人たちがこちらに向かって走ってきた。

・・・おっと、これが「入り待ち」って人たちですか。
聞いてはいたけど迫力あるなぁ。
・・・っと、ボーっとしてちゃダメなんだっけ。

「はい、はい、どいて下さいね、あ、ダメですよ押したりしちゃ。」
なんて言いながら僕は圭を庇って・・・の筈だったんだけど、アレ？

反対に僕が女性たちに潰されないように庇われてる・・・？
ちょっと見上げると圭が物凄く怖い目つきで女性たちを睨んで。

「ちょ、ちょっと圭！」
何事かと僕を見下ろして
「どうしました？足でも踏まれましたか？大丈夫？」
って涼しい顔で言ってくる。

「・・じゃなくて、えっと・・・」
「それなら良かった。さ、入りましょう。」
あたふたしている間に関係者入り口なんて所にまで来ていた。

ああ、こんなんじゃ何の役にもたちゃしない、まるで逆じゃないか！と自己嫌悪。
楽屋に入ると
「ここで暫くゆっくりしていて下さい。リハをして来ますので。」
と圭は座っていたイスから立ち上がった。

「見る・・のもダメ？」
見てみたい。圭が振るＭ響は何度か見てはいるけどリハーサルってのは
見た事がなくて。
と、
「本当はここで大人しくしていて欲しいのですが・・・」
「ん？」
「君が見ている、傍にいると思うと・・・」
「あ。気が散る？ごめん、ごめん。それならいいよ。ココにいる。」
あー、気が付かないなんて間抜けだった・・・ん？んん？？

「け、圭？」
僕の腰を引き寄せ噛み付く様な口づけ・・・・。

「気が散るのではありません。君を、悠季を誰かに見られるのかと思うと
　僕の中の何かが、・・・君を独り占めしていたいと思う何かが邪魔をして・・」

そこまで言うとさっきより激しいキスをしてきて。
僕は情けなくもその場にへなへなとしゃがみこんでしまったわけで・・・。
まるで圭の魔法にでもかかったみたいに。

「すぐに戻ります。いいですか？そこを動かないで待っていて下さい。」
うん。と頷くしか出来なくなってしまって・・・。

リハが終わり、本番までの間、僕は圭の好きにされてしまって・・・・。
ああ、今日は何しにココへ来たんだ！
もぅ、こんなんじゃマネージャー失格じゃないか、と落ち込み。
が、落ち込んでる暇なんて与えないほどの圭からのアタックで・・・。

彼は最大に御機嫌良く本番を迎え、素晴らしいほどの出来でその日の
Ｍ響コンサートを終えた。

“関係者入り口”と書かれたドアを開け数歩歩くと１台のタクシーが
僕たちを見つけドアを開けた。

「君はいつも帰りはタクシーを使うのかい？」
不思議に思って聞くと
「いいえ。今日だけです。君が女性たちに揉まれて怪我をしてはいけませんから」
と。・・・・相変わらず気障だなぁ、なんて。ホントは凄く嬉しいのだけど
「大丈夫だよ。そんなに軟じゃない。」
ちょっとだけ拗ねたフリをしてみせた。

僕の背中をちょっとだけ押してタクシーに乗り込ませ
「そんな可愛い事ばかり言うと、ここで押し倒しますよ。」
だって。バカ・・・・。

タクシーが着いた場所は僕たちの家でなく都内の一流ホテルって所で。
来た事はあるけど、見るたびに凄い所だなぁと感じてしまうほどの豪華さと
泊まり客らしい人たちの華やかな事。
どちらかと言うと日本人より外国の人の方が多いのではないかと思ってしまう。
ここだけ“外国”って雰囲気だよなぁ・・・。

僕がぼーっとしてる間に圭はチェックインを済ませたらしく
「行きましょう」
と僕をエスコートする。
「？え・・っと、何？ここへ泊まるのかい？」
「はい。気に入りませんでしたか？」
ってさ、聞いてないんですけど。
「そんな事はないんだけどね、着替えとか持ってないし・・あ、いや、そうじゃな　く、どうしてなのかなぁーってさ。ははっ」

圭が何を考えているのか時として判らない事が多い。
今もそう。
出来れば早くに僕らの家に帰りたいんですけど・・・。
圭にくっ付いて歩いて。
どうしてもこういう場所は慣れないもので。

僕が連れてこられたトコはホテル内の高級（多分）レストランで。
「どうしました？気分でも悪いですか？顔が青いですが・・」
「ううん。そ、そんな事ないよ。ただね、ちょっとビックリしただけ。」
「それならいいのですが。気に入らなかったのなら戻りますが？」
「ううん、大丈夫。来慣れないから面食らってただけ。」
「そうですか。」

圭が選んでくれた食事を美味しく頂きながらワインを飲んで。
店の中に流れる曲はどれも僕と圭が好きなものばかりで・・・

「アレ？もしかしてこれって君が選曲したのかい？」
すっと顔を上げ
「判りましたか？」
僕にだけ判る優しい微笑みで。

僕はワインと君の心遣いに酔ってしまったみたいで。
フワフワとしたまま僕たちが泊まるという部屋へ連れてこられて。
どうやらその部屋っていうのが超高級スィートらしいっていうのは判った。

「な、なんでこんな贅沢な部屋・・・」
そこまで言った僕に圭はもっと凄いビックリを僕に与えた。
背中を押され通されたベッドルーム。

ベッドの上には真紅の薔薇の花びらが一面に敷かれていて。
まるで、いや、本当に『真紅の薔薇のベッド』なのだ・・・。
ただただ驚いている僕を圭は軽々と抱き上げ

「君の誕生日にふさわしい事をしたかっただけなのですが。」
・・・・？？？
「・・やはり忘れていた様ですね、僕の愛しい人は。」
と、溜息半分に僕の顔を見詰め、そっとベッドの上に降ろした。

「今日って・・・あ、2/11・・・。」
ふふふっと君は笑っている。

「それにしてもコレってやり過ぎじゃないのかい？」
半分困惑、半分以上驚いている僕にやれやれと呆れた顔で
「だから言ったでしょ？僕の愛しい人にふさわしい誕生日を僕がしたかったのです　と、それとも気に入らなかったのですか？」
って言いながらボタン外してるってのはどういう事ですか、圭！

熱い吐息を僕の身体中に吹きかけ、甘い言葉を囁き・・・。
長い指での優しい愛撫に僕は酔い・・・。
僕は君の最高の愛に溺れ・・・。

気が付くと部屋の中にあるピアノから優しい曲が耳元へ届き。
僕の好きな君が弾くピアノの音色・・・

「起こしてしまいましたか？」
なんて言っちゃって。僕を起こしたかったんだろう？
「ちょっと、その、激しすぎましたか？」
って・・・照れて。圭らしくもなく。
半分溜息をつきながら皮肉っぽく
「そうだね。」
って言ってやったのに。
ニコニコと笑いながら僕をまた抱きかかえ風呂へと連れて行った。

バスタブには既に湯が張ってあり、湯の中には今度は
ピンク色の薔薇の花びらが浮いている・・・。

「・・・・・こいうい事を何気なく出来るのって君くらいのもんだろうね。」
「そう言って頂けて嬉しいです。」
・・・ああ、もう！何を言っても君にはかないませんよ。
言った僕がバカだった！！

「でも・・・・最高の誕生日になったよ。ありがとう、圭。」
「どういたしまして。」
って優しく口づけてくれた君の瞳は満足気だったよ。

後日、
あれは君が考えた事なのかって聞いたら、以前外国のホテルに泊まった時に
ルーム係がぼやいていたのを聞いたって言ってた。
“新婚さんの部屋の係りになったのだけど、ベッドに薔薇の花を撒き散らし
　バスタブに薔薇の花びらを浮かべろって指示でさ。奥様は喜ばれたそうだけど
　こっちはたまったもんじゃないよ”っていうのを。

それを知っていながら実行させてしまう圭ってば・・・。
でもそんな圭も・・・大好きな僕の圭なんだけどね・・・・・。

ありがとう圭。
やっぱり君は僕の最高の『伴侶』なんだね・・・。

こんなん作ってみました。一応「TEZUKA ZONE」４万超過記念と
いう事で「手塚の母」さまに押し付けてしまいました。（ごみ～んｘ）
甘甘、ベタベタの２人です。
やっぱりオイラの作る悠季って『をとめ』なんだわねぇ・・・（涙）
リレーが終わってすぐなので結構短時間で出来てしまいました。
（リレーの番外編って事で見てやって下さいまし。）
夢壊しちゃってないっすか？？？すんまそん・・・（逃） From丘　椎名

有り難い事にこんな駄文だのに「TEZUKA ZONE」にて背景付きで置いて下さいました。どうぞご覧頂きたく・・・ここより素敵になってるので見に行ってみて下さい！（願）

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