英国クラシックレシピ

teacup 英国クラシックレシピ
付録:ショートクラストペストリーの作り方

外に出るときは弁当(たいていはベーグルパンのサンドイッチ)&水筒持参で、頑なに外食をしないわたしたちも、さすがに英国滞在4ヶ月目に入り、パブでの食事や英国人のおうちにお邪魔する機会もあり、いくつかの英国料理をいただく経験をしました。「まずい」と評判のイギリスの食事ですが、そう言われるのもしかたないなと感じるところも、そうばかりでもないと思うところがあり、やはり文化を理解するには自分でやってみるのが一番と、英国料理に挑戦してみる気持ちになりました(結局外食はしないのね)。脂肪分の高い料理にわたしの胃がいつまで持ちこたえられるか、夫の腹がますますたるむかなど、若干不安はよぎりますが・・・。
おかず( savoury )とお菓子( pudding )、だんだんに作ってご紹介していく予定です。


付録:失敗しない! (いや、最初の1回くらいはするかも) ショートクラストペストリーの作り方

イギリスでは19世紀にオーブンが普及したそうで、賃貸の部屋にもビルトインのオーブンが付いているのが普通ですし、大学寮の炊事室にも、大きなオーブンとグリルが各1台あって、みんなじゃんじゃん使っていました(といっても冷凍のパイを焼くのが主な目的だったようですが・・・)。オーブン文化というのは言い換えると、パイの文化とも言えるようで、イギリス人はほんとうによくパイを食べます。
イギリスには、代表的なパイ生地が2種類あり、ひとつが折り込みパイの“パフペストリー”、もうひとつが練りパイの“ショートクラストペストリー”。わたしはまだ難しそうなパフペストリーには挑戦したことがないのですが、ショートクラストペストリーの方は、2度ほど悪戦苦闘しぐったりしながらあまりおいしくないものを作った末に、3度目くらいからコツがつかめて、短時間で気楽に作れるようになりました。パブで食べる機会の多い折り込みパイ生地も、わたしの作る練りパイ生地も、フランス料理のレシピに比べ、おそらくバターの量が少なく、とても軽い仕上がりでさっぱりと食べられます。
ここでは、苦労の末に辿りついた、ショートクラストペストリーの作り方をご紹介します。甘いものでもしょっぱい肉や野菜でも、工夫次第でいろんなものを包んだり載せたりできるので、つくづく覚えてよかったと思っています。あまり生地をいじくり回さず、さっと作るのがポイントのようです。

【材料】21cmタルト型1台分。
基本の分量は、薄力粉:バター=2:1。薄力粉50gに対し、水が大さじ1(15cc)。慣れないうちは、きれいに丸く伸ばせずにがたがたになるので、少し大目の分量でやるとよい。

 薄力粉(ふるっておく、夏場は冷やしておく)  150g
 バター(冷やしておく)  75g
 塩  少々
 冷水  45cc(少し多めに70ccほど用意しておく)

【作り方】
(1)薄力粉と塩を混ぜる。1cm角くらいに刻んだバターを粉の中に落とす。

(2)手が温かい場合は流水にあてて冷やす。指先を使ってバターに粉をまぶしつけながら、つぶしていく。つぶすといっても、親指と人差し指がくっつくところまで完全につぶしてしまうのではなく、つまんでは離す、という作業を手早く繰り返す。バターと皮膚の間には常に粉があるようにし、いつも指はさらさらした感じを保つようにする。

(3)2~3分やるとぽろぽろとパン粉状になってくる。少しくらい大きな塊りが残っていてもかまわない。

(4)水を基本量より少なめに加える。粉150gのときは、35ccくらい。水分が生地全体にいきわたるように、1~2分、バターナイフを使って、混ぜる。この段階では生地はまだボロボロしている。

(5)手のひらで、ぎゅっと大きく生地全体をつかんでみる。数回つかんでだいたいまとまるようなら完了。ぱらぱらと漏れる粉が多く、生地も分解するようなら水を少し足す。ボールの底に少し取り残された粉が落ち、やっとまとまるくらいが理想。

(6)こぼれた生地を塊りに押し付けて生地をまとめ、ラップフィルムで包んでから丸め、上下を平らに押し付けて、伸ばしやすい形(円形にするときは円柱、四角く伸ばしたいときは直方体)に整える。冷蔵庫で30分間冷やす。

(7)2mm厚に伸ばす。打ち粉をした台におき、生地の表面にも打ち粉をふってする。麺棒はいきなりぐりぐりころがさずに、最初は力を加減して押し付けるように使う。馴染んできたら(円形の場合)四方八方に転がして、バランスよく伸ばす。はじが少々割れても気にしない。型に敷くときに端は切り落とすし、足りないところはくっつけられる。焼いてしまえば目立たない。

(8)麺棒に絡ませて生地を持ち上げ、型の上にかぶせたら、たるませながら敷きこむ。型の上面に麺棒を転がして、余分な生地を切り取る。指で型のすみずみに生地を貼り付ける。冷蔵庫で30分、冷凍庫なら10分休ませる。

(9)中に水分の多い具を詰めるときは、空焼きする。フォークで数箇所空気穴を開けてから、200℃のオーブンで10分。重石のベーキングビーンズはなくても平気(だと思う)。


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