会場は不思議



白亜のテントに赤い扉、青い旗が音を立ててはためいている。
そこは大阪南港の埋め立て地の一角で、いつも強く海風が吹いている。
私は水と風があるところが断然好きなので、今日のお出かけはショーを観る前から最高である。


bigtop2会場付近は秋の風、9月なのに10月半ばの風情。



なんと舞台は客席が北側で、舞台が南を向いている。これは一般的な劇場とは逆である。
舞台は、すり鉢状の会場の一部を占めていて、中央が平ら、奥に向かって登り坂になっている。
正面上奥がバンド演奏部、その左右に出入り口、坂を下りた水平な舞台の両脇にも花道のような出入り口がある。
舞台には幕も何もなく、じゃぁ、と上を見ると
ドーム状のテントの天井まで機材やパフォーマンス用の道具がぎっしり準備してあって、
どうにも一般的な劇場とは全く趣が異なるのだった。


照明の吊り方も様子が違う。

通常の横長の舞台であれば、上にサスバトンと呼ぶ電源付きの梁が数本渡してあって、そこに照明器具を吊る。
他、背景、脚光、顔をてらすための客席側の上下、あたりが普通と聞いた。
私は舞台は日本風の演出の演劇しか見たことがない。照明はたいていは太陽光を基調とした天然風の演出になっている。

ところがこの会場では舞台を囲むように設置されている。

天井付近の両側にはスポットライトと、光の境界をぼかせるフレネルレンズと思われる小さな照明が
向きを固定されて鈴なりになっている。
奥にも色の入ったフレネルレンズがたくさんくっついている、真上にも蜂の巣のように付いている、客席にも斜め上を向いて径の大きなのが置いてある。そして顔をてらせる位置にはピントを変えられるような動く照明がついている。
それにはレンズ付近に制御用ランプが点灯していて、想像するに、色も自動で変わるんだ・・・?

丸くせり上がる舞台の、せり上がる時だけ光る照明、一度も使われず、たぶん万が一の時の予備の照明など、
これだけあれば発生する熱でテントは気球のように宙に浮かぶはずである。


暗いところをつい双眼鏡など持ち出して真剣に眺めてしまったが、
せっかくのショーの裏側を暴こうというのでは決してないのである。

緻密な仕事の、奥の深さをかいま見て癒しとしたいのである。




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