こんな本読みました


              佐藤和歌子   リトルモア  950円+税

  土曜日に新聞と一緒に届く大量の「建て売り」の家の間取りをくまなく
 読んでいる私も、こんな間取りたちには出会ったことがない。それぞれの間 取りについて一言ずつついているコメントもウィットに富んでいて、思わず
 ニヤッとしてしまいます。ただ、この面白さは、間取りを愛する「マドリス ト」にしかわからないみたい。
  夫に見せてみたけれど、「フ~ン」で終わっちゃいました。
  想像力の差?   



「渡辺篤史のこんな家を建てたい」 渡辺篤史 講談社文庫 971円(税別)

 さまざまな建築家の想像力に富んだ作品を見ることができます。けれど、時々「・・・ホントに住みやすいのかな?」と思うものや「ここまでして収納しなくてもいいんじゃない?」と思うものも。写真もふんだんに入れられているので、何度でもワクワクしながら見ることができます。 




「子供をゆがませる『間取り』」

          横山彰人  情報センター出版局 1500円+税

これから家を建てようと考えている人、マンションや建売住宅、中古住宅を購入しようと思っている人、リフォームをしようと考えている人、ぜひこの本を読んでみてください!

もともと「間取り」を見るのが大好きな私ですから、この本を本屋さんで見つけたときは、迷わず手にとっていました。

「ビフォー・アフター」という番組でも、単に家が古い・汚い・狭い、というだけがリフォームの動機にはなっていません。

家によって引き起こされている家族関係の問題、健康等の問題がいかに多いかは、あの番組を見れば、手に取るようにわかります。その大半は「間取り」の問題です。

この本のテーマは「間取り」であり、この切り口から家族のゆがみ、子育てのゆがみ、社会のゆがみを考えてみたい(プロローグ)とあります。

第一章 子供の狂気はこうして育てられた!

1 宮崎勤・連続幼女誘拐殺人事件
     リフォームの失敗で家族が分散する「解離型住宅」
2 金属バット両親殺害事件
     和洋折衷の高級建売住宅による「家族分離型」
3 女子高生コンクリート詰め殺人事件
     孤食を招いた両親による「設計失敗型」
4 酒鬼薔薇・神戸連続児童殺傷事件
     典型的な郊外建売住宅の「子供部屋孤立型」
5 新潟少女監禁事件
     充実しすぎた子供部屋による「自立失敗型」
6 住まいで育まれつつある少年犯罪者たち
     三田佳子邸地下室問題から学ぶもの

 これには驚きました!1~5までは、それぞれの犯罪を犯した人たちの家の間取りや、それぞれの部屋の使われ方などが詳細に調べて記されています。

家に興味がない人でも、子育てをしている人なら、非常に気になる事件ばかりです。自分の子供が「加害者になってしまう」なんて誰も考えたくないことですが、やはり、それらの事件から得られた情報から、短絡的に、マニュアル的にではなく、何かを受け取るのは、私たちの義務であると思っています。


第2章 こんな「家づくり」の発想が子供をゆがませる!

1 家を選ぶ基準を間違えていませんか?
2 間取りの中心を子供部屋にしていませんか?
3 子供部屋についてポリシーがありますか?
4 勉強して欲しいから子供部屋を与えていませんか?
5 子供部屋は6畳ではありませんか?
6 夫婦の寝室をおろそかにしていませんか?
7 今の家は「仮の住まい」と思っていませんか?
8 2世帯住宅は便宜上と考えていませんか?
9 モデルハウスに惑わされていませんか?
10 資産価値を気にして家を選んでいませんか?
11 予算優先の家づくりになっていませんか?
12 どこに住むかを「生活の便」で選んでいませんか?
13 「引きこもりたくなる」環境をつくっていませんか?
14 住まいの中に家族の気配はありますか?
15 テレビを見ながら家族バラバラに食事してませんか?
16 電化製品に頼った生活をしていませんか?
17 手入れを他人任せにしたいと考えていませんか?
18 住まいにお客を招こうと考えていませんか?
19 リフォームできる家選びをしていますか?

第3章 こんな「間取り」の発想が家族をゆがませる!
1 家族が顔をあわせずに暮らしていませんか?
2 パラサイト・シングルを生む家になっていませんか?
3 子供部屋を住まいのどこに置いていますか?
4 子供部屋との間に距離がないですか?
5 家族が集まる住まいの導線になっていますか?
6 家族の空間に「遊び」のスペースがありますか?
7 家族が集まるリビングになっていますか?
8 家づくりに父親が参加していますか?
9 モノを買うことで家庭を満たしていませんか?
10 気密性が高い「こもる」家になっていませんか?

第4章 家族をこわす「間取り」を変えるアイデア
・・・この章については略しますが、ここでは、マンションに多い間取り、一戸建てに多い間取りの問題点をそれぞれの具体的な間取りについて指摘し、それをどうすればよいか、改善した間取りも具体的に載せてあります。

特に第2・3章の問いかけには、耳の痛い部分がいくつかあります。

これは、「家」「間取り」の問題ではなく、私たちの「子育て」「家庭」に対するポリシーが問われているのだと思います。また、今の子供たちの状況を生んだ原因の一端がこの社会の意識の変化、「家」「間取り」のあり方にもあると痛感しました。

筆者は 建築家 横山彰人 一級建築士
凶悪少年事件の犯罪者の「間取り」の研究から、いち早く「間取り」が子供や家族関係に与える影響に警鐘を鳴らしてきた。
個人住宅を中心に建築からリフォームまで,豊富なアイデアをもって家族のコミュニケーションを活かす家づくりを実践している。


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