花より男子★二次小説   夢 桜 庵

びっくり箱(後編)(10万打記念SS)


通常の外来をして夕方から小児病棟の勤務へと続いた
激務が続いたので明日は久々にお休みを取ることになっていた

つくしは診察中でも病棟での勤務の時も花沢類からもらった箱が気になって仕方が無い
(あーーー!気になる!!仕事を抜け出して持ってくるくらいだからなぁ・・・
 なんだろう?
 ・・・でも花沢類のことだからなぁ・・・
 ほんとにおもちゃのびっくり箱って可能性もありえるし・・・)
うーんと綺麗にラッピングされた箱を見ながらうなっていると
 「牧野先生?何してるんですか?なんか変ですよ」
今日同じシフトに入った看護士に言われてしまった
 「あはは・・まあね・・・なんかこの箱の中身が気になってね」
 「へぇー。それってプレゼントですか?まーきーのーせーんーせー
  もしかしてそれってさっき病院に来たって言う
  かっこいい彼氏からですかぁ」
ニヤニヤしながら聞いてきたけど
 「えー違う違う。彼はそんなんじゃないよ。なんていうか・・・まあ
  体の一部というか・・・所謂『心の友?』」
 「ふーん?・・まあそういうことにしときますよ」
 「だから違うって!私が彼女なんて思われてるなんて
  かえって相手が迷惑だよ」
 「そんなことないと思いますけどねー」
看護師の言うとおり、つくしは今まで自分自身頑張ってきたという
自信と内面の輝きからか女性としても医師としても病院内でも
憧れの存在だったのである

 (そうだよ・・・私と花沢類は・・・私がいくら花沢類のこと想って
  いたって、所詮身分が違いすぎるし背負ってるものの大きさも
  違いすぎる・・・彼の背負ってるものを一緒に持てることの出来る
  人じゃなきゃ・・・だめなんだよ・・・)

つくしは十年もの長い間の中で辛いとき悲しいとき・・そして嬉しいとき
全て傍には花沢類がいた
次第につくしの心の中も花沢類の存在が無くてはならないものと
育っていたのだった
しかし、そんなことを思っている事は絶対に
誰にも知られちゃいけない・・・と思っていた
昔の道明寺との一件で身分違いの恋がどれだけつらい結末が
待っているか身にしみて分かっていた
お互いがつらい思いをする・・・
だからこそ、はじめからこの想いそのものを
消せないにしろ、自分の心の外からあふれないようにしっかりと
封印しようと決心していた
想い続けることは自由だから・・・



 「だからーそれはあの人に悪いから!ほんとに!じゃあはじめるよ!」

つくしはプレゼントから視線を離し、看護師と打ち合わせを始めた


それから仕事を11時に終えて病院の敷地内にある寮に帰った
その寮は古い為、同僚の医師たちは敬遠して
みんな近くのマンションを借りていた
しかしつくしは奨学金を返済している身でもあり、
また昔からの貧乏性だった為、古いがこの家賃の安い寮が気に入っていた
部屋に入ると花沢類からもらった箱を机の上に置いた
つくしは部屋着に着替えるとちょこんとプレゼントの前に座り込んだ
(さて あけますか)
ビリビリとラッピングをやぶった
そして箱の蓋を開けると白い封筒が見えた
その脇にはビロード調の生地の小さな箱が入っていた

(・・・・・これ・・・・・)

つくしはその小さな箱を手に取るとごくっと息を飲んで箱をあけた
あけるとそこにはシンプルで小ぶりながらも
一粒光り輝くダイヤモンドのついた指輪が入っていた

(・・・花沢類・・・)

つくしはあまりの驚きに卒倒しかかりながらももうひとつ入っていた
白い封筒を手に取った

つくしは手が震えてきた
その震えをなんとか冷静になろうとすることで抑えると
封筒の中身を出して開いた











  そこには
















  『婚姻届』の文字











  そして









  花沢類の署名、捺印












  さらに













  保証人の欄には













  花沢類の両親の名前が連なっていた


つくしの手がブルブル震えてきた
事態が把握できないほどつくしの頭は真っ白になった
そこにつくしの携帯が光った
画面を見るとそこには『花沢類』の文字
はっと気づいてつくしは出ようかどうか迷ったが
思い切って電話に出ることにした

「・・・・・・・・・」
「牧野?」
「・・・・・・・・・」
「おーーーーい牧野?聞こえる?もしかして箱の中味見た?』
「・・・・・・・う・・・ん」
「そっか・・・」


お互い少し無言になった



「牧野驚いた?」
「うん・・・・・・」
「俺からの手紙読んだ?」
「えっ、手紙?それは見てない・・・どこに入ってるの?」
つくしは箱の中味を確認した
するとメッセージカードがはらりと落ちた
それを見ると




『牧野へ

 驚かせてごめん。でも俺の口からいくら言っても牧野鈍感だから・・
 これくらい驚かせないと俺の本当の気持ちが伝わらないと思ったんだ

 ・・・牧野・・・俺は牧野がいたから今の自分があると思ってる
 どんな時もいつも傍には牧野がいた・・・いてくれた・・
 牧野が俺をずっとずっと支えてくれたんだ

 俺はずっと牧野を愛してる・・・
 10年前からそれはずっと変わらない
 ・・いやアイシテルじゃ言い尽くせないよ・・・

 もう俺の一部なんだ・・・かえがえのない存在なんだ・・

 もし牧野さえよければすぐに婚姻届を出したいくらい
 牧野を今すぐにでも俺のものにしたいって思ってる・・・
 牧野、一生お前の隣にいる権利を俺に頂戴
 ずっと傍にいさせてほしい・・・

 牧野が心配することはなんにもない
 うちの親も喜んで婚姻届に名前書いてくれた
 あとは牧野の心ひとつで決まるんだ

 牧野・・・俺と結婚して下さい
 アイシテル

                 花沢 類』


そう書いてあった

読んでいくうちにぽろぽろとつくしの頬を涙が伝っていた
花沢類のあふれる位の自分に対する想いが伝わって
つくしの頑なな心の封印を解いていた

「牧野・・・外見て」

類がそう言うとすぐつくしは窓の外を見た
そこには自分の車の傍に立ってつくしに向かって
はにかみながら微笑んでいる花沢類の姿があった

つくしは部屋を飛び出した
指輪を持って

花沢類のところまで来ると思わず花沢類の胸に飛び込んだ

「牧野・・・・」
花沢類が強く強くつくしを抱きしめる
つくしもまた花沢類を抱きしめ返した


「・・牧野・・・答え聞かせて・・」
抱き合いながら花沢類がつくしの耳元でつぶやいた
「・・わたしでいいの?」
「牧野がいい。牧野じゃなきゃダメ」
「私何も持ってないよ。花沢類の足ひっぱるかも」
「大丈夫。今の牧野がいいんだ。
 それに俺も牧野に甘えるから」
「ええっ!甘えるって」
「こうやって」
そういうと花沢類はつくしの顎を持ち上げてキスをした
花沢類からのやさしくも情熱的なキスはつくしへの想いであふれていた
つくしもまた花沢類への想いをキスに込めた

キスが終わっても
つくしはぼーっとしたまま花沢類の胸にもたれかかっていた

花沢類はつくしの手のひらにあった指輪を取ると
つくしの左手の薬指にはめた
「クスッ。もうこれで牧野は予約済み」
「花沢類・・・」
「牧野の気持ちはさっきのキスでわかっちゃったけど
 直接言葉で聞きたいなぁ」
「えっ」
途端につくしの顔は赤く染まった
「ぷっ牧野靴は?」
ふとつくしが気がつくとつくしは裸足だった
「えっうわっ!気がつかなかった」
「ぷぷぷ。牧野おもしろすぎ」
クスクス笑いながら花沢類はつくしを抱きかかえた
「えっ花沢類・・いいよ・・はずかしいったら」
「だって牧野裸足のまま歩いたら痛いでしょ」
そう言ってつくしの部屋に向かった

そのあとは・・・
花沢類の十年分の想いを込めた情熱的な意地悪と甘え方に
つくしは朝まで何度も何度も「アイシテル」を言わされ続けましたとさ。



                        おしまい


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