花より男子★二次小説　　　夢　桜　庵

遠く離れてても（司つく）<ｷﾘﾘｸ>

　教会での出来事の後の場面を妄想して書きました）

＜遠く離れれても・・・＞

---つくし視点---

パリの教会で静さんからブーケを受け取った後
みんなでお祝いをしようとしたけれど
静さんが

「明日の離婚調停の裁判の準備をしなくちゃいけないから」

って言って、旦那様と一緒に帰ってしまった

そのとき、道明寺が

「俺、もう少ししたら帰んなきゃなんねーんだわ。
　わりーけど、ちょっとこいつと別行動するわ」

そう言って、私の手を持って、すたすたとみんなから離れていった

私はなにがなんだか分からなくて

「あっ・・あとでね！！」

Ｆ３にはその一言しか言えなかった

「おー司ー！最初が肝心だかんなー」

「おにいさんにあとで鉄パンツ脱がせたか聞かせろよ！！」

西門さんと美作さんの爆笑しながら言ってる声が遠くで聞こえた

道明寺はそんな二人の野次にも目もくれず、どんどんと歩いていった

すると、黒塗りの車が道端に横付けされた

「牧野、これに乗るぞ」

「うっうん・・」

そう言って二人が乗り込むと車は静かに走り出した

窓の外からはきれいな夕焼けが見えていた
あまりに今日１日で色々なことがありすぎて
わたしはボーっとしてたけど、繋がれたままの
道明寺の手のぬくもりに、はっと我にかえった

（・・・そうだ・・・私は最初気が付かなかったけど
　みんなの前でキスしちゃってたんだ・・・）

まさか上から見られているとは思わず、
自分から道明寺にキスをしたことに急に恥ずかしさがこみ上げてきた
でも・・・道明寺が近くにいる・・その実感に
恥ずかしさよりもむしろ嬉しさの方が勝っていた

そして・・短い時間だからこそ自分の気持ちに素直になろうと思っていた

・・・そう思っていたら急に

「あーくそ！！せっかくお前に会えたのにもう離れなきゃなんねーんかよ！
　おい！もう少し時間とれねーんかよ！！」

道明寺が前の席に座っている秘書らしき人間に声を荒げた

「申し訳ございません、司様。これが精一杯でございます」

秘書らしき人がそう答えると、憮然としたまま無言になってしまった

しばらくすると車は高級そうなジュエリー店の駐車場に滑り込んだ
無言のまま道明寺に手を引かれて店の中に入り、奥にある応接へと
入っていった
すると・・・目の前に出されたのは、まばゆいばかりの指輪・ゆびわ・・・

私はあっけにとられて

「道明寺・・・なにこれ？」

そう問いかけると

「はぁー？何言ってんだよ。虫除けに決まってるだろ！！
　これを左の薬指につければ男がいるって分かるだろ。
　特に類には『俺のモンだ』って分からせないとな！！」

そうぼやくと颯爽と指輪を選び始めた

「あたしはあたしのモンなの！！なに言ってんのよ！！
　それにこんな豪華な指輪なんていいよ！！私には似合わないし」

「うるせー！！似合わなくてもいいんだよ！
　俺が『お前はおれのモンだ』って安心してーんだよ！！わかったか！！」

道明寺がそう言うと、耳まで真っ赤になった
それにつられてわたしも顔が真っ赤になってしまった

（素直に素直に・・・）
そう思って、一息つくと

「でも、石付きはやめてよね・・・
　シンプルなら毎日つけられるから・・・さ・・」

最後の声は恥ずかしくて小さな声になってしまった
でもちゃんと道明寺には聞こえたみたいで

「おっおう・・・」

そう言って、顔を赤くしながらも
シンプルなプラチナの二連のリングを手に取って、私の左の薬指につけた

なんだかシンプルさが余計に結婚指輪みたいに見えて

「ふふ・・道明寺・・・なんだかこれ・・結婚指輪みたいだね・・」

そうつぶやくと余計に道明寺の顔が真っ赤になった

「でも・・わたしだけじゃなくて道明寺のも選ぼうよ」

私はそう言って同じような形の男モノのシンプルな指輪を選ぶと
それを道明寺の薬指に入れた

「道明寺・・これでおそろいだね・・一緒のをしてると
　遠くにいても繋がってる感じがするね／／／」

そう言って指輪のついた手を空にかざした

道明寺は私の意表をついたらしい素直な甘い言葉に
ゆでだこのようになって、カチンコチンに固まってたけど・・・

ふたり指輪をつけたまま、宝石店を後にすると
車は小高い丘へと登っていった
丘の頂上まで来ると、町が一望できた
さらに夕焼けの太陽が町の屋根に照り付けて
黄金色で一色になっている町並みがとてもきれいだった

ふたりは車から降りると
その景色にしばらく見入っていた

すると後ろから道明寺にぎゅっと抱きしめられた

「道明寺・・・ありがとね」

「あぁ？なにが？？」

「だから大学とか・・いろいろ・・」

「ああ・・・お前・・頭いいだろ・・
　きっと勉強してぇだろうなと思ったからな・・
　ちょっと強引だったけどよ・・・」

「ちょっと所じゃないよ！なにも会社買収までしなくても・・・」

「うるせーよ。それにお前が俺の目の届かないところにいるのは
　俺が嫌なんだよ・・」

「うわっ／／すごい独占欲・・・」

「うるせーよ／／離れてるんだからしゃーねぇーだろ／／
　それくらい多めに見ろ」

「しょうがない。多めに見てやりましょう／／
　でも学費は出世払いって事で・・何年かかっても絶対返すから」

「いいよ。俺の勝手でしたことなんだからよ」

「ううん・・でもこういうことはきっちりしないと。
　なるべく早く奨学金取れるように頑張るから」

「うわっ、かわいくねぇ女」

「かわいくなくってすみませんね！！でもこんな女がいいのは誰よ？」

「俺様」

「ばか／／／／」

そう言うとくるっと向きを変え、道明寺と向き合った
そして、私の方からぎゅっと抱きしめた

「おっおい／／／」

「次の時までの充電だから」

「じゃあ俺も充電／／」

道明寺はそう言うと、両頬を持って長く甘い・・キスをした・・・

それからみんなと合流した・・
私と道明寺が人目をはばからず手をにぎり、
さらには二人お揃いっぽい指輪を発見し、
西門さんと美作さんには散々冷やかされたけど・・・

・・・でも・・・

今までは一本のラインも繋がらないことに不安だったけど
遠く離れてても・・もう・・大丈夫だよね道明寺！

（おわり）

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