花より男子★二次小説　　　夢　桜　庵

新たな道へ　１２

つくし達は池上に言われるまま最上階に近い小さな会議室へ通された

しばらく待つように池上はつくし達に言うと

部屋から出て行ってしまった

しんと会議室に静寂が訪れた

つくし達はは会議室の椅子に一旦座って一言二言言葉を交わしたが

つくしだけ不安そうに立ち上がると

出版社のビルの大きな窓まで近寄り階下の景色をみた

外はもうオレンジ色に染まりつつあった

しばらく景色を見ていると出版社の入り口付近に黒い車が

止まるのが見えた

（あ・・・なんか偉い人がきたみたいね。黒塗りの車なんてみるの

　４年ぶりかも・・・

　ここの出版社の役員か何かなのかなぁ・・それにしても・・

　池上さん出て行っちゃったし・・どうしよう）

そんなことをぼんやり考えていると

ドアの扉をノックする音が聞こえた

ドアの方を振り向くと

池上とそしてもう一人男の人が部屋に入ってきた

すると男の人は

「春野さん、こんにちは。はじめまして」

・・・そう彼は言ってつくしに握手を求めた

春野さん・・そう呼ばれてつくしは最初分からなかった

「確か・・春野日向さんですよね？違いましたか？」

そう言われて、つくしはやっと

自分のペンネームを呼ばれている事に気がついた

「はっはい！！！そう・・そうです！！！」

つくしは、あわてて大きな声で返事をし、手を差し出した

「元気な方ですね・・とてもあのような切ない女心を書き上げた

人物とは思えませんけど・・私は今回の選考メンバーでもあり、

今後、君に関わっていくことになります担当の田嶋です。よろしく」

二人は握手を交わした

「それじゃ春野さん、今回の事、今後について今から説明しますので

　席に座っていただけますか？」

田嶋はそう言うと皆席に座り、つくしに対して説明を始めた

＜２６＞

花沢類は再び花沢物産の役員専用車に乗りながら

出版社に向かっていた

車は出版社の玄関に横付けされると

再び玄関にはうざったい出版社の役員が顔を揃えていた

そんな役員達と他愛の無い会話をそつなく交わしながら

花沢類は映画製作のプロジェクトチームの置かれているフロアへと

向かった

エレベーターに乗り、そのフロアーに到着すると

花沢類の顔を見るなり、メンバーの皆が

「花沢様、こんにちは！！」

と一斉に立ち上がり、丁寧に頭を下げた

先日あまり敬語を使わなくてもいい、年も俺の方が下だから

フランクに行きたいと言ったのに

目上（実際そうだから仕方ないが）の人に対する態度を止めてくれない

メンバーにもため息をつきながら、

花沢類は秘書と共に用意されている自分の部屋へと向かって行った

すると途中の小会議室から

つくしへの説明を一旦終えた田嶋が部屋から出てきた

田嶋は花沢類の事に気がつくと

「こっこんにちは！！夕刻からご出勤ですか？」

田嶋がそう聞くと

「うん。ちょっと時間が空いたからね・・今の進捗状況も知りたかったし

　・・・そうだ・・・そう言えばあなたは今回入選した方の

　担当につかれるはずですよね？」

花沢類は田嶋に言うと

「はい。その事で今入選した方がこちらに来ていまして

　会議室で後日行われる入賞式と映画化の打ち合わせについての

　話をし終えたところです」

「えっ？今作者来ているの？」

「はい。この会議室に知人とご一緒に・・・」

花沢類は、田嶋が言い終える前に会議室のドアノブに手をかけた

この扉を開けることが、二人の運命の歯車が再び

回りだすことも知らずに・・・

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